平成23年4月に行われた、福岡県議会議員選挙におけるポスターの公費助成をめぐり、1枚ごとの契約金額で、低いものと高いもの価格差が、最大8倍以上も違っていたことが分かった。
選挙区ごとに限度額の差はあるものの、当選した候補者の中でもっとも低いものは1枚541円、高いものはその8倍以上となる4,704円だった。
福岡県の公費助成制度では、ポスター代金の内訳提出を求めておらず、不透明な実態に改めて批判の声が上がりそうだ。
(写真はポスター掲示板のイメージ)
当選候補―最低541円、最高は4,704円
福岡県議会議員選挙では、選挙用ポスター作成費用の一定額が公費でまかなわれている。平成23年の選挙では、129人が立候補し、一人を除くすべての候補者が公費助成にかかる契約書など所定の文書を提出していた。
このうち、当選した候補者における契約金額ベースの単価を確認したところ、1枚あたりの金額がもっとも低かったのは、築上郡・豊前市選挙区から立候補した自民党・後藤元秀議員の541円、次いで大牟田選挙区・大橋克己議員(無所属)の560円となっている。
一方、単価が極端に高かったのは、太宰府選挙区で当選した自民党の井本邦彦議員で、1枚あたりの金額を4,704円で契約していた。以下、高額なポスター制作費には自民党系候補がずらりと並ぶ。大川市・三潴郡選挙区の秋田章二議員が3,941円、春日市選挙区の松尾嘉三議員が3,656円、八女市選挙区の桐明和久議員と福津市選挙区の阿部弘樹議員がともに3,500円といった具合だ。
ちなみに、井本議員は請求の限度額となる677,376円で契約し、印刷業者も同じ金額を県に請求していた。
8倍以上の価格差
契約上、1枚の単価が541円でもっとも低かった後藤議員と、最高額だった井本議員の4,704円との価格差は4,163円。井本議員の契約額は、最低額の8倍以上だった計算になる。
契約枚数を見ると、後藤議員は築上郡・豊前市という広い選挙区であるため544枚を作成。ポスター掲示板が少ない大宰府選挙区の井本議員は144枚を作成していた。
枚数の違いが価格差に出た可能性もあるが、印刷業者はそうした見方に否定的だ。「540枚と140枚で、8倍もの価格差がつくはずがない。紙の質が極端に違うとも思えない。第一、1枚4,700円などという金額は聞いたことがない。考えられるのは、法外なデザイン料や撮影料を乗っけたということぐらいだが、それにしても高すぎる」(福岡市の中堅印刷業者)。
不透明な県議選のポスター助成
ポスター制作費の公費助成額は、選挙区ごとのポスター掲示板の数によって変わる。枚数が多ければ1枚あたりの単価が下がるが、少ない枚数だと単価が上がるというのが普通だ。
しかし、雨で濡れても破けたりシワになったりしない紙質が一般的となっている昨今、単価にそれほど大きな差がつくことはないという。事実、46選挙区で立候補し、当選した86名の候補者たちのうち、7割以上にあたる63名が1枚2,000円未満で契約、22名が1枚2,000円以上で契約していた(1名は未請求)。大半は1枚1,000円台の契約金額だった。
福岡県の公費助成制度では、ポスター代金の内訳提出を求めておらず、代金の積算根拠が明かされていない。国政選挙をはじめ福岡市長・市議選などでは契約内容の詳細を提出するよう義務付けており、県議選における杜撰な管理体制だけが際立つ形となっている。