「選挙が(東日本)大震災と重なり、税金を節約することが支援に回ることにつながると考えた」として、今年4月に行なわれた福岡県議会議員選挙の公費助成の申請を辞退した民主党の堤かなめ議員(博多区選出)。
税金による助成金を、当選前から自分のカネと決め付けた公私混同ぶりにはあきれるばかりだが、堤県議の政治家としての資質を疑わせる事例はこれだけではない。
同県議の政治資金や政治活動に関する認識は甘く、政治家としての初歩を身につけていない状態なのだ。
県議選に関しては、公費助成辞退にともなうポスター代金の支払いで不可解な処理を行なっていたほか、同県議の陣営では昨年、堂々と違法行為が行なわれていた事実もある。
堤県議は九大卒。大学教授を経て昨年7月の参院選に民主、社民の推薦で立候補し大差で落選。4月の統一地方選では民主の公認を得て博多区から県議に挑戦、初当選を果たしていた。
選挙ポスターを後援会から購入?
同県議側が県選管に提出した県議選の「選挙運動費用収支報告書」には、"印刷費"のなかにポスターの製作費371,700円が計上されているが、その支出先は印刷会社や代理店ではなく、なぜか「堤かなめ後援会」。堤県議は自身の後援会からポスターを買ったという珍しい形になっているのだ。
この点について県議本人に話を聞いたが、要領を得ないばかりか、違法性を疑わせるような話になってしまった。
Q:県議の「選挙運動費用収支報告書」では、ポスター代金を自分の後援会に支払ったことになっているが、これはどういうことか?
堤:後援会の通帳にすべてのお金を入れていましたから。私のお金を入れるんです。会計の人に任せてすべてはそこから払いをすることになっていました。だから後援会が払った。
Q:選挙運動費用は、後援会のカネとは別だ。選挙運動費用を後援会が支払うということはないはずだが?
堤:私はポスター代を後援会に支払ったことを知りませんでしたから。今はじめて聞いたのでわかりませんが・・・。
Q:通常、後援会から県議に寄附がなされて、選挙運動に関するの収入として計上したうえで、ポスター代金の支払いがなされるべきではないか。なぜあなたが後援会からポスターを買い取った形になるのか?
堤:選挙前にポスターの発注をしていたので、それは、後援会から(発注)したものですから、後援会で支払って、という形になったということです。
「私はポスター代を後援会に支払ったことを知りませんでした」と言いながら、その直後にはポスター発注の経緯を話し始めるというあわてぶり。さらに、後援会が購入した選挙用ポスターを使用したのなら、後援会から堤候補への寄附として計上すべきで、後援会に代金を支払ったことには疑問が残る。
後援会が物品を発注して支払いを行なったのなら、それは選挙運動費用ではなく政治活動の費用ということにほかならない。選挙費用を後援会が支払うこと自体が間違いなのだ。
堤県議は、政治家としての基本的な勉強をしていないらしい。
県議失格
HUNTERが、ポスター代金の支払方法にこだわったのには理由がある。
選挙運動費用は、告示前の「政治活動」にかかる政治資金とは区別されるもので、前者が公職選挙法の規定にしばられるのに対し、後者は政治資金規正法の規定に従う。
当然、帳簿も預金通帳もまったく違うものを用意しなければならず、堤県議が話すように、ひとつの通帳で後援会活動と選挙運動の費用をまかなうことには違法性が生じる。
堤県議にはそのあたりの認識が欠如しているということで、自身の政治資金管理さえ満足にできない人間が、膨大な県予算のチェックなどできるはずがない。
つまりは「県議失格」ということだ。
民主党の責任
民主党県議団には、候補者として疑問符がついていた堤氏をあえて公認した責任がある。
昨年11月、県議への転身が決まっていた堤氏は、福岡市長選で民主党が推薦した吉田宏前市長を支援。その選挙戦の終盤で、堤氏陣営が「電話作戦」のアルバイトを時給700円で募っていたのである。明らかな公選法違反だ。
しかし、民主県県議団側は、この事実を知りながら、「たいした話ではない」として、出馬を認めていた。(写真は、電話作戦が行なわれた当日の堤後援会の事務所)
《こんにちは~ ご無沙汰してて、すみませんm(_ _)m 福岡市長選の件で明日・明後日、時給700円で人を探してます。 宜しければ...お願いしますm(_ _)m》。
これがアルバイト募集の折に発信されたメールの原文である。「たいした話ではない」と言うのなら、民主党は法律遵守の意思がないということになる。