原発安全協定の締結過程に関する情報公開をめぐり、福岡県の隠蔽姿勢が露わになった。
安全協定の協議議事録を非開示にした県、その決定を容認する答申を出した「福岡県情報公開審査会」。改めて審査会が答申を出すまでの議事内容を開示請求したところ、隠す必要のない部分を含め、大半を黒塗りにして再び非開示扱いにした。
県だけでなく、情報公開を推進すべき県情報公開審査会も、必要な公文書の開示を拒否した形だ。
組織ぐるみで舞台裏を隠そうとする県の姿勢によって、原発安全協定への信頼度が揺らいでいる。
情報公開審査会の議事録も非開示
HUNTERは昨年、福岡県が福岡、糸島の両市と共に九電と締結した原発安全協定について、締結までの過程を記した協議議事録などの情報公開請求を行った。協定の内容が、原発事故時の連絡体制の取り決めに過ぎない上、短兵急にことが運ばれたからである。
原子力行政への不信が募る中、県が積極的に情報開示するのは当然の流れだ。
しかし、福岡・糸島の両市が、協議内容を含む関連文書を全面開示したにもかかわらず、県だけが大半の文書を非開示。舞台裏の情報を隠す方針であることが分かった。
異議申立てをしたものの、これを審議した県情報公開審査会も事実上県側の主張を容認。県の主張に沿った答申を出したため、今年に入って改めて審査会の議事録を開示請求していた。
これに対し、県が開示したのが下の黒塗り文書の数々。議事録をはじめ答申の案文まで非開示なのだという。
公表事項まで隠蔽?
問題は、HUNTERが提出した「意義申立て」の内容や、送付されてきた答申の案まで非開示にしたことだ。
言うまでもなく「異議申立て」はHUNTERが作成した文書で、この内容を隠す必要などどこにもない。さらに答申は、HUNTERに送付されただけでなく、県のホームページ上にも掲載されており、公表済みとなっている。すでに公開された内容のすべてを黒塗りにするのはあまりに乱暴なやり方だ。
生かされぬカラ出張問題の経験
抗議したところ、時日をおいて、県として非開示決定を変える意思がないことを連絡してきた。何から何まで隠蔽する構えなのである。
結論から言って、福岡県の情報公開に対する信頼度はゼロ。かつてカラ出張問題で、封筒の裏に書かれた走り書きさえ公文書であるとの判決を受けた時の経験は、何も生かされていない。
ちなみに、県情報公開審査会の会長は九州電力の顧問弁護士で、数々の訴訟において同社の代理人を務めていたことが判明している。会長は、審査会における九電がらみの審議から外れているというが、全体の議論に影響を与えている可能性は否定できない。
原発再稼働が視野に入り始めたが、安全協定の舞台裏は不透明なままである。