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土建国家の象徴 鹿児島・産廃処分場工事の現実

2013年1月21日 09:50

 鹿児島県が、住民の声を無視して薩摩川内市川永野に建設中の産業廃棄物の管理型最終処分場「エコパークかごしま」(仮称)。県民の声を力で圧殺し、100億円もの公費を投入する事業の違法性・不当性を報じ始めて1年半あまり経つが、状況は悪化する一方だ。
 建設工事による環境汚染、繰り返される違法行為、垂れ流される税金・・・・。県および事業主体である県環境整備公社、そして大手ゼネコン大成建設や地場の植村組を中心とする「大成・植村・田島・ クボタ特定建設工事共同企業体(JV)」は反省の色すら見せていないが、悪いことはできないもので、昨年来、工事現場に暗雲が漂いはじめている。
 HUNTERは、昨年末から先週にかけて現地取材を重ねたが、そこに拡がっていたのは、まさにこの国の縮図だった。
 今週から、シリーズで鹿児島の現状を報じていく。
(写真は「エコパークかごしま」(仮称)の建設現場。20日撮影)

県議会で利益誘導
 平成22年、処分場建設予定地である薩摩川内市区選出の鹿児島県議会・外薗勝蔵議員(自民・当選4回)が、企画建設委員会で県側と次のような質疑を交わしていた。

 外薗:道路建設課長さんと河川課長さんにちょっとお尋ねします。いよいよ我が地域の産業廃棄物の管理型処分場の事業者が、今月末か来月早々決まるような話も聞いております。全体的な事業者が決定すると同時に来年度4月着工という、本体工事がそうなんですけれども、あそこに阿茂瀬川ですかね、とそれから国道三号から道路を入れる工事が残っております。一部用地買収とかいろいろあると思いますけれども、あれは整備公社がやるんですか、それとも振興局の土木部がやるんですか。どうなんですかね。ちょっとそこを教えてくださいますか》。

 県側:まず、県道のアクセス道路でございますけれども、基本的なことについては整備公社のほうでやりますけれども、実質的な測量設計等々については振興局のほうでやることになっております。

 外薗:整備公社が発注となるんですかね、それとも建設部の発注になるんですかね、発注は。河川と道路ともう二つ、河川もありますね、道路もありますよね。整備公社の発注になるんですかね、発注は。

・・・・・・ 中略 ・・・・・・

 外薗:そうすると、県の所轄は道路建設課長であり、河川課長ですが、用地取得については、あれは若干道路はあったと思うんですけれども、あれは公社がやるんですかね、それとも建設局がやるんですかね、どっちがやっているんですか。

 質問はこの後もくどくどと続けられたが、要は処分場がらみの今後の公共工事の見通しを確認し、あげく発注主体が県のどの部署になるのかを聞き出しているに過ぎない。
 建設業界を代表した露骨な情報収集とも思えたが、後日、じつは外薗県議自身のファミリー企業のための誘導質問だったことが明らかになる。
 下の2枚の写真が、その証拠である。(赤いアンダーラインと矢印はHUNTER編集部)

外薗県議のファミリー企業 (1)

外薗県議のファミリー企業 (2)

 問題の処分場「エコパークかごしま」(仮称)の建設工事自体に、外薗県議のファミリー企業「外薗建設工業」が1次下請として参加しているほか、昨年9月の入札で、処分場の付帯工事である周辺地域環境整備(阿茂瀬川1工区)を、県の出先である北薩地域振興局から同じくファミリー企業の「外薗運輸機工」が、落札金額3,490万円で受注していたのである。同社は処分場工事にもクレーン車を提供している。
 100億円の処分場建設事業に、計画を推進した政治家のグループ企業が群がる構図だ。

外薗グループ 
 外薗議員の関連企業には、鹿児島県産業廃棄物協会薩摩支部の支部長を務めてきた外薗輝蔵氏が代表である土木関連業者「株式会社外薗運輸機工」、西薩クレーン協会会長を務める外薗達蔵氏が代表の産廃処理業「川辰都市環境株式会社」、そして達蔵氏が同じく社長を務める「外薗建設工業」などがある。輝蔵氏、達蔵氏が県議の身内であることは言うまでもない。
 同県議は、「外薗運輸機工」と「外薗建設工業」の大株主だったことや、「川辰都市環境」の取締役を務めていたことから、毎年多額の株主配当などを受けていたことが分かっている。

 そのほか、平成23年4月に行なわれた県議選では、北薩地域振興局発注の公共工事を受注している 「外薗建設工業」から無償で車両を借り上げ、「選挙運動費用収支報告書」に会社側からの『寄附』として記載していたことが判明。地方自治体からの請負契約の当事者に、当該自治体の議員選挙に関する寄附を禁じている公選法の規定に抵触していたことが分かり、外薗議員側はHUNTERの報道後に報告書の訂正に追い込まれていた。

 前述した議会質問の目的が、一族の利益確保のためだったとの見方は間違いではあるまい。

自民・参院選候補に外薗議員
外薗勝蔵議員 昨年、鹿児島県議会の自民党県議団は、今年夏の参院選の公認候補に県連幹事長を推薦することを決めた。
 参院選には、参院副議長経験者で現職の尾辻秀久参院議員(比例選出)など複数が名乗りを上げており、現在公認候補の選考中であるが、同党県議団が推薦候補として一本化した人物とは、利権グループを代表して県議会に席を置く外薗勝蔵議員その人である。(右の写真が外薗議員。同氏の公式HPより)

 薩摩川内市選出の県議として、川内原発(薩摩川内市)3号機や産廃処分場の建設を強く推進、自身の一族だけでなく建設業界のために政治活動を続けてきた外薗勝蔵氏が、国政に進出する可能性が高い。
 国土強靭化を提唱し、公共事業の大盤振る舞いを始める予定の安部政権だが、外薗議員が参院議員に当選すれば、復活した「土建国家」の象徴的なケースとなる。

 公共事業に予算をつけ、票とカネを吸い上げる自民党政治が、どれほどこの国を蝕んできたか。鹿児島県の現状を検証した明日からの記事で、その実態を明らかにしていきたい。



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