鹿児島県が薩摩川内市で整備を進める産業廃棄物の管理型最終処分場「エコパークかごしま」(仮称)の建設工事が大幅に遅れ、完成時期が明示できない事態となっていることが明らかになった。
汚泥混じりの水を川や近隣に捨てるなどの違法行為に加え、危険な爆薬まで使用して工事の遅れを取り戻そうとしたが果たせず、処分場完成がいつになるか分からない状況。HUNTERの取材を受けた県側も回答に窮している。
付帯工事を含め約100億円もの公費を投入する事業でありながら、同県の計画が杜撰だったことを証明した形だ。
事業を遅らせる「水」
これまで県は、問題の処分場を平成25年度中に完成させ、同年度中に稼働させるとしてきた。
しかし、現実には建設工事が大幅に遅れ、平成25年度とされてきた稼働時期が翌年度にずれ込むことが確実な状況となっている。
工事を遅らせている原因は「水」である。処分場予定地は、薩摩藩の時代はもちろん、古来から地元住民などが「お山」と呼んで崇拝の対象としてきた霊峰・冠嶽の山麓だ。
緑豊かな自然と、豊富な地下水に恵まれた同地は、近隣地域の水源となっており、当然処分場予定地にも水が湧き出ている。
その湧水のため工事は難航、さらに雨水が多かったことも工事の遅れに拍車をかけており、結果的に完成時期が明示できないほどの事態を招来しているのである。
下の写真は、昨年夏頃の処分場工事現場の中心部分だが、大量の汚水が溜まっているのが分かる。
地元住民の処分場建設反対運動を支えているのは、霊峰・冠嶽と水源を、次代のために守るという使命感である。
住民らが愛してやまないその冠嶽の自然と豊富な地下水が、県の強引な事業推進を押し止めた格好だ。
繰り返される違法・脱法行為
処分場工事現場では、大量の水を処理するため、明らかに違法もしくは脱法と見られる行為が繰り広げられてきた。
まず県側は、処分場工事現場で発生した汚水を濁水処理施設を通して排出するとしていた県民との約束を反故にし、こっそり処分場予定地直下を流れる「阿茂瀬川」に垂れ流すという手段に出た。下の写真が、「隠されていた排水口」である。
工事現場に溜まっている水には、産業廃棄物とみられる汚泥が混じっており、そのまま川に捨てることは危険だ。阿茂瀬側の水は、下流で農業用水として利用されており、人体への影響も懸念される暴挙なのだ。

それでも「水」は減らなかった。やむなく県側がとった次の手段が「夜間工事」による違法行為だ。
溜まった汚泥混じりの水をバキューム車で汲み上げ、夜陰にまぎれて通常の建設残土に混入。翌日、ダンプで搬出し、近くの採石場などに捨てさせていたのである。
夜間工事の状況を撮影したのが次の写真で、バキューム車から大量の汚水を捨てる瞬間を捉えたものだ。

固い地盤―ついに「発破」まで
工事を遅らせたのは「水」だけではない。処分場は、固い岩盤の上に建設されることになっているが、あまりの地盤の固さに歯が立たず、予定になかった「発破」を利用するしかなくなったのである。「発破」とは爆薬やダイナマイトを使って対象物を破壊することである。近くに民家があるというのに、爆発物を使用して工事を行なっているのだ。もちろん、近隣住民は抗議したというが、県側は聞く耳を持たなかったとされる。
先週の取材中も、1日に2度の発破作業が行なわれていた。

完成時期 明示できず
「湧水」が多いことや地盤への疑問は、数年前の住民説明会の折に、地元住民から警告されていたことだ。しかし県は、地域住民の声を無視して、強引に計画を進めてきたという経緯がある。工事の遅れは自業自得と言うしかないが、笑って済ませられる問題ではない。
処分場工事は、約80億円で鹿児島県環境整備公社が発注したもので、河川や道路の改修といった付帯工事を含めた総事業費は100億円に上る。工事が遅れることでムダな税金が積み増しされることになり、県民の負担は増える一方だ。
処分場の完成時期はいつになるのか?県と環境整備公社に取材したが、答えは同じで「精査中。いつになるか分からない」というものだった。
100億円の公共事業で、完成時期が明示できない事態に陥っているのである。明らかな設計ミス。計画そのものが杜撰だったことの証しだ。
改めて工期延長の理由を尋ねたところ、県も公社も、おかしなことを言い始めた。