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鹿児島・メディポリス関連病院 外国人留学生に人体実験

2012年12月 3日 10:22

gennpatu 1864410859.jpgのサムネール画像 鹿児島県指宿市で、陽子線を利用したがん治療施設「がん粒子線治療研究センター」を運営している財団法人「メディポリス医学研究財団」(永田良一理事長)の一部門が、外国人留学生に金銭を渡し、薬剤の治験を行っていことが明らかとなった。
 新薬などを開発する過程では、動物を使った前臨床試験に続き健常者を対象とした臨床試験が必要になるが、同財団に属する治験専門病院がこれを担当していた。治験と言えば聞こえはいいが、要するに人体実験のことである。
 問題は、同財団が外国からの留学生を狙って被治験者を集めていたこと。とくに中国からの留学生が多数含まれていたことが判明しており、同財団の治験の在り方が論議を呼びそうだ。

治験
 薬事法は、医薬品や医薬部外品などを製造販売をしようとする者に、その製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならないと定めており、申請書には臨床試験の試験成績に関する資料その他の資料を添付するよう義務付けている。
 「治験」とは、提出すべき資料のうち臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験のことだ。

 動物を使った前臨床試験を経て、人体による治験へと進むのが通常の過程であるが、治験には協力する「人」が必要となる。製薬会社や治験施設は、常に被治験者を募集する必要に迫られるが、対象者を「ボランティア」と呼んでおり、登録者のデータをボランティアパネルという。
 「ボランティア」と呼ばれてはいるが、実際には治験に参加した人に10~数十万円が謝礼として支払われており、製薬業界の闇を指摘する声が絶えないという。

「中国人」を売りもの
 下は、「メディポリス医学研究財団」のホームページの一部で(赤い矢印はHUNTER編集部)、同財団の中に組み入れられている「シーピーシー治験病院」の薬の臨床試験に関する記述だ。
 同病院が、《独自のボランティア募集》を行っており、《治験依頼者のご要望に応じて、ボランティアパネルの中から、被験者の治験への組み入れを迅速に行う》ことを明記している。 
 つまり、“いつでも被治験者を用意できます”と宣伝しているわけで、健康な成人男女、閉経後の女性、高齢者に加え、《欧米人男性》と、《中国人男性》とある。
 ボランティアパネル登録者として、欧米人という表現を用いて国名をぼかす一方、アジア諸国の中で「中国」だけを特記している。これを売りものにしているということだ。

ボランティアパネル

731部隊 
 第二次大戦中、旧日本陸軍には731部隊(石井部隊)と呼ばれる在満州特殊機関が存在していたことが知られている。同部隊は、病原菌の感染実験などを目的として、数多くの中国人を抗日組織の一員として拘束。「マルタ」と称して人体実験の対象としていたとされる。ハルビンの同部隊施設跡は現在も残されており一般に公開されているが、中国人を人体実験の対象として虐待したことに対し、同国の人々の激しい怒りが存在することは言うまでもない。 

 その中国からの留学生を、新薬開発のためとはいえ、人体実験に等しい「治験」に利用することが許されるとは思えない。しかし、メディポリス財団に属する「シーピーシー治験病院」は、高額な謝礼を提示して中国人をはじめとする外国人留学生を実験に利用しているのである。
 
シーピーシー治験病院
 シーピーシー治験病院は、平成5年に治験専門施設「シーピーシークリニック」としてスタートし、平成14年に「医療法人幸良会」を設立。平成21年のメディポリス医学研究財団発足に伴い、基本財産として4,000万円を寄付し、幸良会を解散し てメディポリス内の一機関なった。昨年になって病院化しており、「財団法人 メディポリス医学研究財団 シーピーシー治験病院」の名称になっている。
 次稿では、留学生らから得た証言を基に、治験の実態を報じる。



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