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石破自民党幹事長 政治資金でライオンズクラブ活動

2012年11月13日 11:00

 政治家の「政治とカネ」に対する認識は、依然として甘いようだ。 
 石破茂自民党幹事長が、ライオンズクラブの会費を、関連政治団体「石破しげる後援会」の「政治活動費(組織対策費)」として支出させていたことが明らかとなった。
 ライオンズクラブの活動理念と合致しないうえ、同後援会には政党交付金の受け皿となっている自民党支部から寄附がなされており、適切な政治資金処理とは言い難い状況だ。
 野党関係では、自民党・甘利明政調会長や、たちあがれ日本・平沼赳夫代表の資金管理団体が、同じくライオンズクラブの会費を、政治活動費のなかの渉外費、交際費として支出していたことも分かった。

政党交付金でライオンズクラブの会費?
 「石破しげる後援会」は、地元県議が代表を務める石破幹事長の支援団体。同団体が鳥取県選挙管理委員会に提出した政治資金収支報告書によれば、政治活動費のうち「組織対策費」の名目で、「鳥取中央ライオンズクラブ」に『会費』として次の支出が行われていた。

【平成21年】
gennpatu 1864410871.jpg・1月29日 45,000円
・4月30日 45,000円
・7月27日 30,000円
・9月30日 30,000円
・11月30日 30,000円

【平成22年】
・1月29日 45,000円
・4月30日 45,000円
・7月27日 30,000円
・9月30日 30,000円
・11月30日 30,000円
 
 ライオンズクラブ側が発行した領収書のあて名は、すべて「石破茂様」となっている(冒頭の写真)。

 ライオンズクラブは、個人での入会を原則とする国際的な社会奉仕団体で、地域ごとに単位クラブがある。活動の中に政治や宗教を持ち込まないことを原則としているため、“政治活動の一環”として参加することはできない。
 しかし、石破しげる後援会は、ライオンズクラブの会費を政治活動にともなう支出として計上しており、名目は「組織対策費」。つまり、後援会活動の一環として位置付けた形であり、ライオンズクラブの運営理念には合致しない。

 さらに、同後援会には政党交付金の受け皿である「自由民主党鳥取県第一選挙区支部」(代表:石破幹事長)から平成21年に約1,600万円、22年には約800万円が寄附されており、税金を迂回させている状況だ。見ようによっては、税金でライオンズクラブの会費を支払っていることになる。

 石破後援会に会費の領収書を発行した鳥取中央ライオンズクラブに確認したところ、石破氏個人が会員であることを認めたうえで、ライオンズクラブは地域貢献を目的としており、政治活動とは無縁であると話している。

 石破氏の事務所に対して、不適切な支出ではないかとしてコメントを求めているが、出稿までに回答を得ることはできなかった。

問われる政治家の意識 
 ライオンズクラブの活動を、政治活動の一環と見なしている例は少なくない。
 甘利明自民党政調会長の資金管理団体「甘山会」は、政治活動費のなかの渉外費として平成21年に29万7,500円、22年には28万4,500円を、平沼赳夫代表の資金管理団体「平沼会」は、交際費として毎年22万3,000円のライオンズクラブ会費を計上していた。
 いずれも適切な政治資金処理とは言えまい。

 12日、「国民の生活が第一」の小沢一郎代表が政治資金規正法違反に問われた陸山会事件で、東京高裁が無罪判決を言い渡したことを受け、石破幹事長は、「有罪と断定できないという意味での無罪だった。国会で説明責任を果たすべき」として厳しい姿勢を示した。
 しかし、自身の政治団体が不適切な会計処理を行っているのであれば、五十歩百歩の話ではないのか。
 増税を決める前に、政治家の資金処理の在り方こそ改めるべきであろう。



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