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100億円産廃処分場-「植村組ありき」の証明
鹿児島・伊藤県政の実相

2012年9月20日 08:55

IMGP2603.JPG 地元住民らの反対を無視して鹿児島県薩摩川内市で建設が強行されている管理型の産業廃棄物最終処分場「エコパークかごしま」(仮称。事業主体:鹿児島県環境整備公社)。鹿児島県(伊藤祐一郎知事)への情報公開請求によって、この事業そのものが地場ゼネコン「植村組」グループの思惑通りに進められたことを示唆する文書の存在が明らかとなった。
 植村組ありきで始まったとされる同事業。同社のグループ企業が処分場の土地を提供し、建設工事を本体の植村組が請け負うという展開に、伊藤県政と地場ゼネコンの癒着が囁かれていたが、新たな文書がそれを証明した形だ。

説明会資料-「植村組」グループが提供
植村組 植村組グループの主導で処分場計画が進んだことを示す文書は、鹿児島県が計画段階で地元住民向けの説明会を開いた折に配布された資料の一部だ。
 薩摩川内市川永野の当該地は「候補地」とされており、他の3か所の調査結果の概要を記した文書も含まれていることから、処分場候補地を県内4か所に絞った直後の説明会用資料と見られる。
 HUNTERが鹿児島県に対する情報公開請求で入手した文書だが、開示されるまでには紆余曲折があった。

 平成20年9月の処分場候補地決定前後に実施された地元向け説明会で度々出されていたのは、「企業側の資料で説明するのはおかしい」とする住民からの指摘だった。
 これに対し、県側がどう答えたのか、確認しようにも最初に入手した一連の地元説明会の記録は住民側の意見や質問を列記しただけのもので、県側の説明部分が欠如している。議事録の体を成していなかったのである。

 処分場用地の所有者であるガイアテック及び植村組グループから何らかの説明用資料が提供されたと見て、同グループから県に提出された文書の情報公開を請求したが、回答は「不存在」。県の担当職員も、植村組グループが県に提供した文書は「ない」と明言していた。

 それでは、地元説明会で何度も指摘された「企業側の資料」とは何を指すのか?
 改めて《説明会で指摘された企業側の資料》について請求したところ、「配布資料-2」と題するA4版14枚の文書が開示された。

 事業を所管する県環境林務部廃棄物・リサイクル対策課によれば、企業が提供した資料を基に作成された文書が存在しており、請求の趣旨に合致するのが一連の文書なのだという。ただし、企業側が提供した資料の原本は残されていないとしており、返却したのか廃棄したのかも分からない状況だ。
 HUNTERの確認に対し、県は説明会用資料の基を提供したのが、植村組のグループ企業である「ガイアテック」であることを認めている。

 下が開示された文書の一部だ。1枚目には「この資料は、企業が行った調査を基に作成したものです」と謳っているが、これ以降の文書には「(企業作成資料)」と明示されているのが分かる。どの文書も県側が手を加えた形跡はない。つまり、ガイアテックが提供した資料そのものを、公式な説明会で使用したということになる。

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 ガイアテックが提供したのは、植村組グループが独自に産廃処分場を建設するために行なったボーリング調査や施設設計に関する資料だ。屋根付きであることを含め、基本的な施設構造は現在建設が進められている「エコパークかごしま」(仮称)と同じようなもので、管理棟の配置や規模、安全対策などが違っているだけである。
 植村組グループの計画をさらに巨大な公共事業に仕立て上げ、土木・建設工事にかかる投資金額を積み増しした形と言っても過言ではない。

 ガイアテックの土地を取得するため費消された公費は5億円。そして建設工事を落札したのは、当事者企業ともいえる「植村組」が構成員となったJV(大成・植村・田島・クボタで構成)だった。落札金額は77億7,000万円(税込み)である。

「癒着」を示す伊藤県政の動き
薩摩川内市に関する動き 植村組グループは、平成17年頃から採石場だったガイアテックの土地に産業廃棄物最終処分場の建設を計画していたとされ、建設計画の前提となる現地調査などを行っていたことが分かっている。
 同グループの計画は資金的な問題で頓挫したとされるが、その直後から問題の土地を県の処分場用地として売り込んでいた。用地提供を打診してきたのが植村組グループであったことは、県も認めている。

 植村組グループの処分場計画が暗礁に乗り上げた時期、つまり平成18年になって突如進み始めたのが、県による公共関与型最終処分場建設計画だったというわけだ。両者の動きはピタリと符合する。

 これまで報じてきた通り、県による処分場候補地選定の過程は不透明で、薩摩川内市川永野以外の対象地では必要な地質調査さえ行われていない。
 県幹部は、ある地元関係者に対し、伊藤知事から“薩摩川内市に限定して調査を進めろ”という指示を受けていたことを明かしており、知事の強い意思が働いていたことは間違いない。

 処分場候補地が決定した後も、力ずくの事業推進は続いた。伊藤県政は、住民の反対を黙殺した上、数百人の県庁職員を動員して説明を求める住民らを排除。県警の警察官まで出動させて建設工事を始めたのである。

 経過を見る限り、“植村組ありき”で始まった巨大公共事業であると断定せざるを得ない。地元説明会で、県が恥ずかしげもなくガイアテック提供の資料を使って説明したことはその証左であろう。
 ことを急いだ県が、本来なら自らの調査データを使って説明すべきところを、あろうことか利益を得るために作成された当事者企業の資料を転用したのである。そこに不利になるような記載があるはずがない。
 産廃で一儲けを狙った植村組グループが作成した資料に、信頼性があったとは思えない。だからこそ、地元住民は説明会の席上でこの点に異議を申し立てたのである。

 最終的に100億円もの公費が投入される「エコパークかごしま」(仮称)の建設事業は、癒着の産物なのだ。伊藤県政が強引に進める処分場工事の実相がそこに在る。



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