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「記者クラブ」検証 -1-

2012年8月10日 11:05

(イメージ)ノートとペン 政治や行政が国民の期待を裏切り続ける中、権力を監視する役割を担ったメディアは、どれほどその機能を発揮してきたのだろう。
 監視する側とされる側、おのずと付き合い方には一定の配慮が必要となるはずだが、日本独特のシステムが、ともすれば両者の間に癒着を招き、真相を隠すための道具立てに使われてきた可能性すらある。それが「記者クラブ」制度である。
 記者クラブの現状を取材するため、九州各県の県庁に設置された記者クラブに簡単なアンケートを「お願い」したが、きちんと回答するクラブもあれば、あまりのお粗末さに呆れるしかない答えもあった。
 アンケートの顛末と取材によって得られた証言をもとに、記者クラブ制度が抱える問題点を報じていく。

記者クラブ
 記者クラブは、主として国や地方自治体、業界団体ごとに「一般社団法人 日本新聞協会」加盟社(新聞105社、通信4社、放送23社が加盟)及びこれに準ずる報道機関から派遣された記者によって構成される組織だ。
 歴史は古く、明治23年に帝国議会が開会した際、傍聴取材を要求する記者たちが「議会出入記者団」を結成したことに始まるとされる。

 その後、時代に合わせて名称や内規、運営方針を変えながら現在まで続いてきた我が国独自の“特異な”システムであるが、日本新聞協会が発表した見解の中で、《記者クラブは、公的機関などを継続的に取材するジャーナリストたちによって構成される『取材・報道のための自主的な組織』》と定義されているように、記者クラブはあくまでも個々の記者によって構成される任意団体なのである。

 日本新聞協会は、記者クラブの役割について次のように謳っている。
《記者クラブの機能・役割は、(1)公的情報の迅速・的確な報道 (2)公権力の監視と情報公開の促進 (3)誘拐報道協定など人命・人権にかかわる取材・報道上の調整 (4)市民からの情報提供の共同の窓口 ―である》。

記者クラブへの質問
 それでは、その記者クラブが実際にはどのような運営を行っているのか?HUNTER は先月中旬、実情を確認するため九州7県の県庁に設置された記者クラブに、簡単な質問を「お願い」と題して送付した。質問は次の4項目である。

  1. 記者会見の主催は記者クラブ、県のいずれでしょうか?
  2. フリーランスの記者をはじめ、貴記者クラブ所属ではないメディアの記者の会見参加を認めておられますか?認めている場合と認めていない場合、それぞれの理由も合わせてご回答下さい。
  3. 記者クラブ所属以外の記者が会見に参加する場合、質問することも可能ですか?質問ができない場合はその理由をご回答下さい。
  4. 貴記者クラブの運営に、どの程度の金額の公費が費消されているかご存知でしょうか?ご存知でしたらお教え下さい。
顛末
 極めて基本的な質問だったため、回答期限を先月23日としたのだが、郵便事情や大雨への対応などもあって、対応はまちまちとなった。
 取材の趣旨を聞いてきたクラブや、回答が遅れる旨をきちんと連絡してくるクラブがある一方、なしのつぶてとなったクラブもあった。

 取材依頼の「お願い」には、「記者クラブの現状について取材しておりますが、次の点についてお尋ね致します。ご多忙のところ誠に恐縮ではございますが、幹事社の方でご確認の上、ご回答いただきますようお願い申し上げます」と記しており、当サイトの住所、電話番号、メールアドレスも明記している。
 対応するかしないかも含め、連絡ぐらいはしてくれてもよさそうなものだが、伝言を頼んでも音沙汰なし、という記者クラブもあった。

 熊本県庁の記者クラブの幹事社である朝日新聞の記者は、回答はいつになるか分からないとした上で、「回答しないとは言ってないでしょう」。なんとも上から目線の対応ぶりである。

 記者クラブでは、クラブ内の連絡や取りまとめを行う役割が一定期間ごと(通常2ヶ月交代)に回ってくるのだが、記者個々の集まりであるはずの組織において、なぜかこの役割を「幹事社」と呼んでいる。幹事ではなく「幹事社」なのだ。熊本県庁の記者クラブの幹事社がたまたま朝日新聞だったわけだが、ネットメディアの取材などまともに相手にするつもりがないらしい。日本新聞協会は「開かれた記者クラブ」を標榜しているが、謳い文句と実態が違っているのは、胡散臭い不動産広告と同じである。

 現在までに回答を得たのは、長崎、鹿児島、宮崎、大分、福岡の各県庁の記者クラブからで、佐賀県庁の記者クラブは来週にも回答するとしている。
 真剣に対応してくれた記者クラブもあれば、熊本のようなケースもある。しかし、たった7県の記者クラブから、前述のような簡単な質問の回答をもらうのに、1ヶ月近くかかっていることになる。

 各クラブで回答をまとめるには、幹事社が加盟各社の意向を取りまとめる必要があるのは承知している。ゆえに時間を要することに異議を申し立てるつもりもない。
 しかし、尋ねたのは今現在のクラブとしての対応であり、認識である。難しい質問をぶつけたつもりはなかったのだが、記者クラブによっては、過剰な反応を示したところもある。なぜこうも外部からのアプローチに拒絶反応を示すのだろうか?

 次回(16日)、各記者クラブから得た質問への回答を紹介しながら、制度が抱える問題点を詳しく検証する。



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