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鹿児島県 産廃処分場建設で嘘・強弁のオンパレード 
環境汚染や土砂災害の危険性を隠蔽

2012年7月30日 10:50

鹿児島県庁 嘘、強弁、ごまかしに開き直り。タチの悪い詐欺師まがいの行為を、行政機関が行なっている。

 鹿児島県が薩摩川内市で建設を強行している産業廃棄物の管理型最終処分場「エコパークかごしま」(仮称)の建設をめぐって、伊藤祐一郎鹿児島県知事が、県民から突きつけられた公開質問や要請を2か月近く放置したあげく、ようやく出した回答文書で嘘や強弁を繰り広げていたことが明らかとなった。

 法の趣旨や地元住民との約束を無視した愚行に、住民らの怒りの声が上がっている。

隠されてきた防災上の欠陥
 今月25日、処分場工事に反対する地元住民らから鹿児島県知事に出されていた公開質問や要請に対する回答が、住民代表のもとに送付されてきた。質問や要望が提出されたのは5月23日で、回答までに2か月も要した形だ。

 公開質問は、処分場整備地を3箇所の砂防ダムが囲む形となっており、周辺が砂防指定地に指定された極めて危険な場所であることを指摘した上で、この事実を公表しなかった理由を聞いたものだった。

 砂防指定地とは、大雨などによる土石流、山崩れといった土砂災害を防止するため、砂防ダムなどを設置したり、土地利用に一定の制限が課せられる土地のことである。
 「砂防法」は、都道府県が砂防指定地を進達し、国土交通大臣が指定・告示を行うと規定。指定された土地では、防災の観点から施設の新築・改築はもちろん、土地の掘削、盛土、切土、土石の採取といった行為のほか、竹木の伐採なども制限される。
 指定地に隣接する土地に土砂災害の危険性があり、土地利用にも慎重な判断が求められることは言うまでもない。

 しかし、質問に対する知事の回答は、事実関係や住民らの思いを無視した身勝手な内容だった(赤いアンダーラインはHUNTER編集部)。

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 知事の回答では、砂防ダムの存在には一切触れず《処分場整備地は砂防指定地ではなく》、《危険な区域ではない》と断定しているが、この主張自体が県によって周到に作り上げられた虚構だ。

 たしかに、処分場整備地そのものは、砂防指定地に含まれていない。しかし、処分場の図面に、砂防指定地の地番を当てはめていくと、判明分だけでも次のような色分けになる。ピンク色の部分が処分場用地で、青で示したのが砂防指定された地番である。

エコパークかごしま(仮称)整備工事

 県が処分場予定地を取得する過程で、砂防指定地の住所地だけを避けたに過ぎず、実際は砂防予定地に隣接しているのが分かる。行政機関による“まやかし”であることは一目瞭然、砂防ダムや砂防指定地に囲まれた処分場整備地が《危険な区域ではない》はずがない。

 知事はこれまで、定例会見や県議会で処分場整備地の安全性ばかりを主張してきた。

  • 「私は、前から申していますように、あの川永野の地区は、地形からいい、岩盤の状態等、いろんな状態から見て、日本に1,000箇所くらいありますが、私もいろいろ見ていますが、やはりベストの場所ですね」(平成21年7月の定例会見)
  • あの地区は極めて高い安全性を持った地域と私は確信致しております」(平成24年4月の定例会見)。
  • 「県といたしましては、まだ賛同をいただいていない自治会も含め、地域住民の方々の理解に努めながら、安全性の高い全国でもモデルとなるような施設の整備を進めてまいります」(平成23年9月・県議会定例会)。

 公式の場で砂防ダムや砂防指定地の存在に触れたことは一度もなく、事実上県民を欺いて処分場建設を進めた格好だ。

国交省への申請文書にも危険性明記 
 その証拠に、県が処分場整備地付近の危険性を知っていたことは、県自ら作成した砂防指定地申請書類(国土交通省に提出された文書)からも明らかとなる。

 次に示す文書は、鹿児島県が砂防指定地の進達にあたって国土交通省に提出した指定理由調書だが、「指定の理由」には、《降雨時の土砂災害》、《渓岸食崩壊》(注・『渓岸食崩壊』を入力ミスしたものと見られる)と記されている。

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 土石流の発生は、崩れた土砂が渓流に流れ込むケースや、渓流の水が渓流沿いの岸を浸食することで土砂災害につながる場合などが考えられるが、問題の薩摩川内市の地域には、両方の危険性があったということになる。

 県砂防課に確認したところ、処分場周辺が砂防指定地であることは県も認識していたのだという。
 問題化するのを避けるため、砂防指定された土地だけを処分場用地から外し、「安全な土地」を装ったというわけだ。
 ちなみに、処分場整備地を決定したのは伊藤知事で、他の候補地の十分な調査さえ許さなかったとされる。背後には、地場大手ゼネコン「植村組」がらみの黒い利権が蠢いている。

汚水垂れ流しも隠蔽
 地元住民らは、処分場工事現場から排出されている汚水について、県側が公表してきた基準値が守られていないことへの調査と報告の要請も行なっていた。
 この要請に対しては、下のような建て前だけの回答しかなされていない。

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 DSC00303.JPG要請への回答文書には、《窪地内をはじめ工事に伴って発生する水については》、《濁水処理設備で処理・調整した上で阿茂瀬川に放流している》と明記されているが、この説明が真っ赤な嘘であったことが既に判明している。

 処分場工事現場で発生する水は、ポンプアップされ、隠されていた排水口から濁水処理をすることなく垂れ流されていたのである(右の写真参照)。《濁水処理設備で処理・調整した上で阿茂瀬川に放流している》という主張は、既に崩れているのだ。

 また、濁水の流出を《一時的》とした点も事実とはまったく異なる。
 地元住民らが指摘した基準値を上回る汚水については、今年3月26日に濁水処理装置を通したはずの水を採取して検査したものだ。しかし、白濁した水の放出はここ数ヶ月間続いており、HUNTERの1か月以上にわたる現地取材でも、その点を確認している。

狂った県政
 都合の悪い事実は隠蔽。明るみに出れば“ごまかし”と開き直りで対応。これが鹿児島県における小役人行政の実態だ。

 公開質問や要請に対する知事の回答文書は、聞かれたことにきちんと答えていないばかりか、嘘と強弁で塗り固めた最低の内容。開き直った文言は、伊藤知事の性格をそのまま投影している。

 地元住民への不誠実な対応の背景には、7月8日に投・開票が行われた鹿児島県知事選挙があったと見られる。処分場問題を報道されることを恐れた知事が、回答を遅らせ、結果的に身勝手で理不尽な回答を作らせたということだ。

 同県では、情報公開請求や公開質問といった県民からの問いかけに、必要以上に時間をかけて情報の隠蔽を図ることが常態化しており、県政の透明性はゼロに近い。
 昨年は、HUNTERが提出した処分場関連文書の情報公開請求を拒否するなど、常軌を逸した県政運営が続いている。「狂っている」と言っても過言ではない状況だが、割を食うのが県民であることを忘れてはならない。

 ある地元住民は、怒りを込めて次のように話す。「嘘とごまかしの連続だ。砂防ダムのことは計画段階でも指摘されていた。地元は皆知っていたが、公式には何の説明もなされてこなかった。こんな場所が安全であるはずがない。土砂災害が起きて処分場が被害を受ければ、産廃で汚染された汚水は川や地下水に深刻なダメージを与える。県民の命や自然環境が脅かされるのは明白だ。(県は)汚染水の問題でも嘘ばかりついている。濁った水は垂れ流しではないか。県の言うことはまったく信用できない。どうか県民に、こんなもの(処分場)に100億もの税金を使うことの愚かさを分かってほしい」。



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