今月8日投・開票の鹿児島県知事選に絡み、県が現職の伊藤祐一郎氏陣営に大量の写真を提供していた問題で、事実関係の隠蔽を図る県の姿勢が鮮明となった。
HUNTERは4日、改めて県広報課に写真収集の命令者と、知事陣営に写真またはデータを渡した職員についての確認を求めたが、写真を渡したのは「私どものところ(広報課)ではない」と質問への回答をはぐらかすばかり。最後は知事側が使用した写真と県が保有する写真との同一性まで否定。真相究明を図る考えがないことも明らかにした。
新たな証言
今月2日に鹿児島県庁が現職陣営に便宜供与を行った疑いがあることを報じたが、その後県関係者から次のような証言が飛び出した。
・後援会報やマニフェストで使用された写真は、県職員が撮影したものに間違いない。このままでは県庁職員が政治活動に利用されたことになる。
・我々県職員が現職の政治活動を手伝っているかのように思われることは心外。写真を提供したのは事実なのだから、ただちに県民に謝罪し、ことの経緯を明らかにすべき。
・法的問題があるのは明らか。政務と公務の区別がついていないという指摘は間違っていない。
・写真を集めるよう指示したのは知事本人。本人が出てきてことの真相を語るべきで、選挙が終わるまで知らんふりは許されない。
注目したのは「写真を集めるよう指示したのは知事本人」との証言。同様の指摘が複数に及んだため、事実確認のため県広報課に取材した。
記者:広報課にあるべき写真が現職陣営に渡り、後援会報やマニフェストに転用された。知事の指示があったという指摘があるが、事実か?
広報:先日申しあげたとおりと言うしかない。
記者:分からないということか?
広報:そうです。(知事の指示という話は)どこからの話ですか?
記者:県庁内部からの話だ。
広報:・・・・・。
記者:知事が指示したということで間違いないか?
広報:先日お話したとおりですから。
記者:答えになっていない。きちんと内部で調査したのか?
広報:だから、こちらからは渡していないと・・・。
記者:県庁内部の人間が渡さない限り、知事側が公務中の写真を二次使用することはできない。誰が渡したのか?
広報:こちらからは渡していない。各課のことは分からない。
記者:広報で管理している写真が使われているではないか?
広報:写真はアングルとかいろいろありますから。
記者:明らかに同一の写真だ。
広報:分からないと申しあげています。
記者:事実関係を調べる意思がないということで良いか。
広報:その権限はないですし、こちらの仕事ではないので・・・・。
知事側が使用した写真が県庁職員の撮影によるものであることは明らかだ。写真が一人歩きするはずもない。当然、知事側の誰かが県に写真の提供を依頼し、県側の誰かが知事側に渡す(あるいはデータを送る)という過程を経ていたことになるし、県庁内部に写真の取りまとめをした職員もいたはずだ。
真相究明は行政機関としてあたりまえのことだと思っていたが、鹿児島県にはその意思がないのである。
県広報は、写真の同一性を否定したが、県のホームページと現職陣営が使用した写真を比べて見れば、同一の写真が使用されたことは一目瞭然だ。
下の写真、左は県のホームページ(→)、右は後援会報の一葉だ(同じ写真はマニフェストの4ページにも掲載 [PDF] →)。
どこから見ても同じ写真。アングルがどうのという話ではない。同様の写真のケースは数百点に及ぶ。
これでも県はシラを切るのだろうか。