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大飯原発・おおい町長の後援会 政治資金処理で虚偽記載
買収行為を伴う物品購入も

2012年7月20日 09:00

 関西電力大飯原子力発電所の再稼働をめぐり注目されてきた福井県おおい町の時岡忍町長の政治団体が、収支の実態を隠して虚偽の政治資金収支報告を行っていたことが、HUNTERの取材で明らかとなった。
 これに関連して、平成22年に行われた"おおい町長選挙"における選挙運動費用の収支報告に、後援会活動の支出が含まれていることも分かった。

 政治資金規正法および公職選挙法に抵触する状態だが、意図的に後援会活動の収支を選挙運動費用に算入した可能性が高く、時岡町長の政治家としての資格が問われる事態だ。

(写真はおおい町役場)

ありえない後援会の収支「0」
 これまで鹿児島や佐賀といった原発立地自治体の首長による不適切な政治資金処理の実態を報じてきたが、今回注目したのは時岡忍おおい町長の政治資金処理の不透明さだった。

 問題の政治団体は町長の支援団体である「時岡忍後援会」。同後援会が福井県選挙管理委員会に提出した政治資金収支報告書によれば、平成19年、20年、21年、22年の収入・支出ともに「0」。後援会としての政治活動を行なった事実がない形になっていた。(下は、福井県公報に掲載された「時岡忍後援会」の政治資金収支報告書の要旨。左から平成20年、21年、22年分)

政治資金収支報告書 要旨 平成20年分 21年分 22年分) 政治資金収支報告書 要旨 平成21年分 22年分 政治資金収支報告書 要旨 平成22年分

 しかし、平成22年3月にはおおい町長選が行なわれており、3選を目指した時岡氏と新人との一騎打ちとなったこの選挙では、告示の数ヶ月前から前哨戦が繰り広げられていた。
 地元住民らによれば、時岡陣営は選挙前から事務所を構えて後援会活動を行ない、印刷物も頒布していたという。

 選挙の告示までは後援会活動しかできない。当然、時岡陣営が使用した印刷物の費用や人件費、事務所費等が発生したはずだが、後援会の収支は前述したとおり「0」。政治資金収支報告書上は、後援会活動が行なわれていないことになっていた。明らかな虚偽記載である。

 福井県選管への確認では、時岡氏の支援組織は「時岡忍後援会」だけで、他に届けられた政治団体は存在しないことが分かっている。となれば、後援会の収支を選挙運動の収支に紛れ込ませた可能性が高いと見て取材を続けた。

後援会活動の経費を選挙運動費用に記載
 18日、おおい町役場の選挙管理委員会を訪ね、時岡町長陣営が提出した「選挙運動費用収支報告書」を閲覧したところ、明らかに後援会活動にともなう支出と判断できる記載や領収書等の存在が判明した。

 下は、時岡陣営が町選管に提出した選挙運動費用のうち、事務所費の領収書に添付された請求書だ(赤いアンダーラインはHUNTER編集部)。
 平成22年3月1日から31日までの家賃16万円が請求されており、告示日である3月23日の前日、すなわち1日から22日までの"後援会が支払うべき家賃"まで選挙運動費用に算入していたことが分かる。
 通常は、選挙運動期間の5日間分を選挙運動費用として別扱いし、日割り計算で報告書に記載すべきものだ。

請求書

 請求書も領収書もあて先は「時岡忍後援会」となっている上、列記された備品のリース代などのすべてが選挙運動費用として処理されている。
 2月分の事務所費も発生していたはずだが、選挙運動費用としての記載はなかった。後援会の支出も「0」であることから、2月末以前の事務所費はどこにも計上されておらず、意図的に隠された形だ。

 次の請求書分も、物品を購入した日付やあて先から見て、後援会活動にかかる支出であることが想像できる。(赤いアンダーラインはHUNTER編集部)

請求書

 「金封」の購入日は1月18日となっており、告示の2ヶ月以上前。「芳名録」購入は2月8日と9日で、早い時期から"後援会活動"が行なわれていたことを示している。「金封」も「芳名録」も、選挙運動で使用されるものとは思えないからだ。
 時岡陣営は、後援会活動と選挙運動を区別しておらず、大半の支出を選挙運動費用に算入していたことになる。

 ただし、県選管に対し後援会の収支報告を毎年欠かさず行なっていることを考慮すれば、確信犯的に後援会活動の収入、支出を隠したと見られてもおかしくない状況。収支「0」の報告書自体が虚偽記載ということになる。

 政治資金規正法は、すべての収入、支出を会計帳簿に記入した上で、一定額以上を政治資金収支報告書に記載することを義務付けており、違反した場合は5年以下の禁錮又は100万円以下の罰金となる。

買収行為うかがわせる「金封」購入
 時岡陣営が購入した物品の中には、使用した場合、"買収行為"となる品物が含まれている。前出の「金封」がそれだ。

金封

 購入された「金封」とは、冠婚葬祭の時に現金を納入れる封筒のことで、一般的には祝儀袋、不祝儀袋、香典袋などと呼ばれる。

 町長が個人として使用することはあっても、選挙運動用に使用されることなど、絶対にあってはならないシロモノだ。個人使用なら選挙運動費用には含まれず、報告書に記載されることなどないはずだが、請求書に明記してある以上、選挙運動か後援会活動で使用したということになる。

 選挙運動用に購入し、現金を入れて誰かに渡したとしたら、公選法上の「買収」。また、後援会が購入して使用した場合は、後援団体の選挙区内への寄附に該当することとなり、これまた処罰の対象となってしまう。
 「金封」が何に使われたのかについて、時岡陣営に説明責任があるのは言うまでもない。

 時岡陣営の政治資金処理は、明らかに違法な状態だ。時岡氏は町長3期目であり、「法律を知らなかった」との言い訳は通用しない。
 政治資金関連の事件に詳しい弁護士に話を聞いたが、「告発されれば処罰される可能性がある案件」だと話している。

 ただし、問題はこれだけではなかった。 

つづく



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