政治・行政の調査報道サイト|HUNTER(ハンター)

政治行政社会論運営団体
社会

〈民主党―霞ヶ関〉癒着の実態
~隠蔽された入札妨害~

2012年6月26日 10:10

 平成22年6月4日、総務省は同省が発注する公益法人絡みの業務委託契約の"開札"をすべて止めた。

 当時、取材に応じた総務省大臣官房会計課は、開札中止が同省の政務三役からの指示であることを認めたうえで「公益法人が参加することが判明している入札について、開札を止めている」(同課課長補佐)と明言。公式発表がなかったため大手メディアが報じることはなかったが、異例の措置であったことは間違いない。

 当時の総務省に何が起こっていたのか知る人は少ないが、省内では特定法人へ委託する業務の入札価格を同省職員が漏洩したとの疑いが浮上していたのである。
 入札妨害である可能性が高かったが、数ヵ月後、民主党と総務省はこの話を闇に葬り開札を再開する。政・官で犯罪行為を隠蔽したのである。

 総務省が天下り法人に発注した業務委託の実態を3回に分けて報じていくが、見えてくるのは改革を進めてきたとする民主党が、じつは切所で霞ヶ関と妥協、官僚の既得権益を擁護していたという現実だ。

隠れ天下り法人と開札中止
 東京都中央区日本橋人形町の雑居ビルの8階。ここに総務省と関わりの深い「一般社団法人 テレコムサービス協会」(以下、『テレサ協』)が入居している。
一般社団法人 テレコムサービス協会 テレサ協は平成6年設立。システムインテグレーターやインターネットサービスプロバイダー、ケーブルテレビ会社、回線事業者、コンテンツ事業者などで組織された情報通信関連の業界団体である。

 歴代事務局長には総務省OBが就任しているが、国は天下り法人について省庁OBが「役員」に就任していることと定義付けているため、総務省への確認では見つけることできない"隠れ天下り法人"である。

 平成22年6月4日、冒頭で述べたとおり、総務省はこの日行われる予定だった公益法人絡みの入札について、すべての開札を止めたが、本当の狙いはテレサ協が入札に参加していた「インターネット上の違法・有害情報対応相談業務」の開札を見合わせることにあった。
 同省は、その理由について政務三役からの指示としか話していないが、じつはこの業務委託に関し、"入札妨害"の疑いが生じていたのである。

内部告発
 ことの発端はテレサ協関係者からの告発だった。内閣府・行政刷新会議による事業仕分けが進められていたこの頃、複数の国会関係者などに対しテレサ協の実態が詳細に知らされていたのである。

 告発の内容はおおよそ次のようなものだった。

・総務省側からテレサ協の幹部に対し、民主党議員が事業仕分けの前段階である調査に入るらしいとの事前通告があった。その後、テレサ協は総務省担当者からアドバイスを受け、指示通りに動いた。通告の通り民主党議員が調査に訪れた後、事務局長が総務省側に調査が無事終了した旨の報告をしていた。総務省とテレサ協による実態隠しである。

・総務省から委託される業務については、入札金額について官僚と団体側との事前の打ち合わせで決定され、形式的な入札が行われる。

・民間が手掛ければ3分の1から半分程度の予算で済むものを過大に見積っており、税金の無駄遣いである。

・業務委託に基づいて作成される「成果物」は薄っぺらな冊子1冊。データは使いまわし。民間企業ではあり得ないことが平然と行われている。

・最大の問題は、総務省の事業としてテレサ協内に設置された「インターネット上の違法・有害情報対応相談業務」。数千万円の予算をかけて事業者からの相談を受け付けているが、相談件数は1日数件程度。ゼロの日も少なくない。相談員の選定から人件費の決定までが総務省とある一部の関係者で決められた。

 告発内容を知った記者は、告発者本人との数回の接触を経て、テレサ協の業務実態を取材。政府関係者に当該事業の問題点と入札妨害の疑いがあることを知らせたが、この直後から同省政務三役を中心とした動きが始まった。

つづく



【関連記事】
ワンショット
 ガラスの向こうに積み上げられた洋書。オシャレな入り口の奥...
過去のワンショットはこちら▼
記事へのご意見はこちら
調査報道サイト ハンター
ページの一番上に戻る▲