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増税急ぐ霞ヶ関の裏事情

2012年6月 7日 10:45

 5日、野田第2次改造内閣が発足した。政権が目指すのは消費増税の一点である。
 長引くデフレ不況のなか、増税が追い打ちとなって経済状況が悪化することは自明の理だが、霞ヶ関の操り人形である野田首相は、この愚行に政治生命をかけると息巻く。

 大手メディアや評論家は「増税しなければ国がもたない」と断じてきたが、現段階では到底この説には賛同できない。彼への好悪は別として、小沢一郎氏の「削るべきものがある」という主張は事実だからだ。

 実際、民主党が主張してきた無駄の削減は進んでいない。ことを進めようとはしてきたのだが、霞ヶ関の抵抗が激しく、徹底した公費支出の見直しには至っていないのである。

 とくに各省庁が行っている「調達」と呼ばれる領域には、驚くべき無駄遣いが隠されており、それが官僚と官僚OBに利益を生み出している。
 財務省を中心とした霞ヶ関の官僚たちが増税を急ぐ裏に、彼らの既得権益を死守しようとする目論みがあることを忘れてはならない。

「調達」めぐる官僚の抵抗
 民主党のマニフェストはその大半が守られていないが、政権交代後、行政の無駄を省くと主張してきた民主党が霞ヶ関の利権構造にメスを入れようとしてきたことは事実だ。事業仕分けは財務省主導の茶番だったが、党内の改革派が中心となった動きには一定の評価を与えることができる。
 そのうちのひとつが、同党行政改革調査会「調達・公共サービス改革ワーキングチーム」(以下、調達・公共サービス改革WT)での議論だ。 

 同WTは、国の政策コストや調達コストを引き下げ、税金の無駄遣いをなくすことを目指した政府行政刷新会議による「公共サービス改革プログラム」をさらに加速させることを目的として今年1月に発足。各省庁に改善計画を提出させ、議論を重ねている。

 「調達」とは、省庁が行っている物品購入、役務、工事発注などを指すが、随意契約、一者応札が横行してきたことは周知のとおりだ。
 省庁ごとの調達にかかる支出は、それぞれ数十億円から数千億円と違いがあるが、国土交通省だけを見ると、調達件数が約16万件、総額で約2兆円に上る。
 巨大利権となった「調達」をめぐって、業者との癒着、天下り法人への便宜供与が続いてきたことは言うまでもない。

 じつは、この調達・公共サービス改革WTでの会議の過程に、既得権益を守るため「政治主導」に抵抗する霞ヶ関の姿勢が如実に現れる。

 下は、今年3月22日に議員会館で開かれた民主党の行政改革調査会「調達・公共サービス改革ワーキングチーム」の会議資料だ。
 各省庁が提出した調達改善計画への中間評価が◎×△で記されている。概して低い評価ばかりだが、これが政権交代から3年近くもかけてやっとたどり着いた現状である。

調達改善計画の中間評価(案)

 改善内容が一定の水準を満たすとされる「○」が目立つのは、せいぜい内閣府、法務省、財務省くらい。ほとんどの省庁が不十分なままである。外務省にいたっては改善する気配さえない。
 この中で注目したのは、率先して調達の改善を進めるべき総務省に「○」がひとつもないことだった。

「業務委託」と霞ヶ関の狙い
 これまでHUNTERは、調達のひとつである「業務委託」について、数々の問題提起を行ってきた。
 福島第一原発の事故に際しまったく役に立たなかった緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI」や、現場で走行不能となったモニタリングロボット(ともに文部科学省による)など、国が行ってきた無駄な業務委託の事例は枚挙に暇がない。
 とくに、天下り法人への業務委託は、常識を超えた金額での発注が横行しているほか、違法性を疑われるケースも存在する。

 次稿から、象徴的なケースとして「総務省」が行ってきた天下り法人への業務委託の実態を報じていくが、同省の改善計画に「○」がつかないのはあたり前で、税金を食い物にする官僚の姿が浮かび上がる。

 無能で無責任な首相を抱き込み増税を急ぐ霞ヶ関の狙いのひとつが、混乱に乗じて彼ら官僚の既得権益を温存することにあるのは疑う余地がない。



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