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不透明感増す「原発安全協定」

九電との交渉過程 出し渋る福岡県

福岡、糸島両市も追従

2012年5月 9日 09:20

gennpatu 007.jpg 九州電力と福岡県など3自治体との間で締結された原発の「安全協定」に、不透明感が漂いだした。
 
 福岡県は先月、福岡・糸島の両市とともに、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)に関する安全協定と覚書を締結した。
 この協定に関する九電との交渉過程を示す文書について情報公開請求したところ、3自治体とも同じ理由で開示決定までの期間を延長。「開示・非開示の判断に時間を要する」として情報開示に慎重な構えを見せている。

 原発再稼働の是非が問われる中、求められているのは原発に関する徹底的な情報開示のはずだが・・・。
(写真は、玄海原子力発電所)

名ばかりの「安全協定」 
 福岡県は4月2日、福岡市、糸島市とともに、九州電力との間に玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)に関する安全協定および覚書を締結した。
 しかし、安全協定とは名ばかりで、玄海原発で事故が発生した場合に九電が迅速に連絡することを定めているだけ。いったん事故があれば甚大な被害をもたらすことが明らかであるにもかかわらず、再稼働の事前同意など立地自治体並みの厳しい内容が盛り込まれたわけではない。これのどこが「安全協定」なのか?
 関西圏の自治体とのあまりに違う対応に、知事やそれぞれの市長への不信が生じていた。

異例の速さで延長通知
 gennpatu 006.jpg安全確保への実効性に乏しい協定は、どのような過程を経て締結されるに至ったのだろう。
 HUNTERは先月23日、福岡県、福岡市、糸島市に対し、協定書締結までの交渉過程を記録したすべての文書について情報公開請求した。
 これに対し、福岡県が同月27日付で郵送してきたのが、右の開示期間延長通知である。
 延長理由として「公文書の特定及びその公文書の開示・非開示の判断に時間を要するため」と記されていた。

 福岡県の情報公開条例では、請求があってから開示決定を行なうまでの期間を15日間と定めている。この期間を延長してくるのは、対象となる文書が大量で事務執行に支障を来たすと判断される場合が大半で、「公文書の特定及び開示・非開示の判断に時間を要する」などという理由での延長は極めて稀。こうした場合「文書はあるが表に出したくない」というケースが多く、交渉過程を明らかにしたくないという福岡県の思惑が透けて見える。

 請求からわずか4日で「延長」を通知してきたことも異例だ。前述のとおり、県条例では開示・非開示の決定までの期間を《開示請求があった日から15日以内》と定めており、期間延長の場合でもこれほど早く通知することはない。請求された公文書の中に、表面化するとまずいものが存在することをいち早く認めたようなものだ。

県主導の証明 ― 福岡、糸島両市も追従
 驚いたのは、県と共に九電と安全協定を結んだ福岡市と糸島市が、同じ理由で決定期間の延長を通知してきたことである(下の文書参照)。しかも延長通知が送られてきたのは同じ日だ。

gennpatu 005.jpg  gennpatu 004.jpg

 福岡市の情報公開条例では、《公開請求があった日の翌日から起算して7日以内》に開示・非開示の決定を出すよう規定しているが、糸島市の条例では請求を《受理した日の翌日から起算して14日以内》としている。これだけ決定までの期間が違っているのに、延長に関する通知だけはほぼ同時に出されている。
 両市が足並みを揃えて福岡県と同様の動きに出たことは、三つの自治体が連絡を取り合って九電との交渉過程をどこまで開示するか相談しているということだ。
 また、各自治体ごとの判断と交渉に委ねられるべき安全協定が、県主導で締結されたことを示す証左でもある。

求められる情報開示
 福岡県および福岡市、糸島市が九電と締結した原発安全協定をめぐっては、県内だけでなく伊万里市など立地自治体並みの協定を目指す自治体からもその不十分な内容を疑問視する声が上がっている。
 福岡県に厳しい視線が向けられるのは、小川洋知事の後援会長を務めているのが松尾新吾前九電会長であるという背景が存在するからにほかならない。
 九電の九州政界への影響力が依然として保たれていることは明らかで、不十分な安全協定締結の裏に県民の安心・安全より"しがらみ"を優先せざるを得ない知事らの事情があったとすれば、県民への重大な背信行為となる。
 それを否定するのであれば、安全協定締結に至る交渉過程のすべてを、速やかに開示すべきであろう。
 

【お詫びと訂正】(9日14時20分)
 本稿におきまして、福岡県などが九電と安全協定を結んだ日付を「2月2日」と記しておりましたが、「4月2日」の間違いでした。お詫びして訂正致します。ご指摘をいただきました読者の方には、厚く御礼申し上げます。


 



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