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鹿児島・伊藤県政 無責任の証明

処分場工事 入札関連文書保有せず

2012年4月27日 16:30

鹿児島県庁 80億円もの公費を投じた事業において、カネを出した行政機関が"入札"に関する文書を保有していないなどという事態が許されるのだろうか。

 鹿児島県が薩摩川内市で建設を強行している産業廃棄物の管理型最終処分場「エコパークかごしま」(仮称)をめぐって、県の無責任な姿勢を示す事実が明らかとなった。

約80億円の事業 ― 入札関連文書は「不存在」
 平成22年10月、同処分場の事業主体である県の外郭団体「鹿児島県環境整備公社」が、総合評価方式で「エコパークかごしま(仮称)整備工事」の入札を実施した。
 応札したのは、大林、鹿島、大成の大手ゼネコンと地場ゼネコンらが特定建設工事共同企業体(JV)を組んだ三つのグループ。落札したのは地場ゼネコン「植村組」が構成員となった「大成・植村・田島・クボタ」JVだった。落札金額は77億7,000万円(税込み)である。
 
 HUNTERは先月、県のチェック態勢を確認する意味で、公社が実施した「エコパークかごしま(仮称)整備工事」の入札関連文書を鹿児島県に情報公開請求した。結果、送られて来たのは「当該公文書は取得及び作成していないため存在しません」との不開示決定通知。つまり鹿児島県は、80億円もの公費支出について、すぐにチェックできる状況にはないということだ。(下の文書参照)

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「ない」では済まされない
 無責任というほかないが、処分場整備工事の入札関連文書が「ない」では済まされない。同処分場の整備工事は、次のような事実から事実上鹿児島県による事業だからだ。

・約80億円にのぼる事業費が、県と国からの補助金および県からの借入金によって賄われていること。
・処分場予定地の土地取得費5億円が、県費から支出されていること。
・同処分場が「公共関与型」であることを県自らが強調してきたこと。

 県が主体的に取り組む事業である以上、業者選定の過程に透明性や公平性が求められるのは当然で、公社が実施した入札に関する文書の写しは、チェックする意味でも県として保有するべきなのだ。

 県側は「事業は公社がやっていること」と主張するが、無責任な姿勢には呆れるばかりだ。

入札への疑惑
 処分場整備工事の入札に、疑惑の目が向けられていることも忘れてはならない。
 処分場予定地を所有する「ガイアテック」は、工事を落札したJVの構成員である「植村組」のグループ企業。二束三文の土地に5億円もの税金を投じただけでなく、数十億円規模の工事まで同グループに与えた形となっており、関係者の間からは「県による植村組救済策ではないのか」という声が上がっているのである。
 入札が公平・公正に行なわれたのか調べられるのは当然の状況で、県が疑惑を否定するだけの根拠を示すためには、積極的に公文書を公開できる形にしておくべきなのだ。

立場を使い分ける姑息な鹿児島県
 gennpatu 443.jpgのサムネール画像鹿児島県はこれまで、一体であるはずの「県」と「公社」を都合のいいように使い分けてきた。
 処分場建設に反対する住民を威圧する時は、動員した大勢の職員に「鹿児島県」の腕章を誇らしげにつけさせ、住民の精神的支柱となっている寺院を脅迫した時も「県」の認可権をちらつかせた。
 他方で、汚泥の不法投棄や汚水の垂れ流しといった違法行為を指摘されると、「公社のやっていること」として逃げを打ってくる。
 入札に関する黒い噂にも関わりたくないということだろうが、こうした無責任な姿勢が続く限り、県民から処分場が容認されることはない。



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