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原発再稼働を「妥当」と判断

野田政権は無法状態 

2012年4月14日 10:20

gennpatu 482.jpg 国民の安全を守るという意識が欠如した政権に対しては、もはや倒閣運動を起こすしかない。
 北朝鮮によるミサイル発射が失敗に終わった13日夜、野田政権は、首相、枝野経産相、藤村修官房長官、 細野豪志原発事故担当相による「4大臣会合」を開き、関電大飯原発3、4号機の再稼働を妥当と判断した。
 福島第一原発における事故原因の検証さえ終わらぬなか、実効性のない暫定基準を作り、法を無視して稼動を決めた形だ。

違法な政策決定過程
 原子力規制庁が発足していない現状では、現行法に従って原子力政策を進めるのが基本である。「原子力基本法」では、その第2条『基本方針』において次のように規定している。
《原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする》。
 
 しかし、野田政権の再稼働への動きでは《安全の確保》を二の次にし、電力不足を理由に経済性を重視した政策判断を下している。電力各社を中心とする財界や霞ヶ関の意向を受けてのものだが、不透明かつ拙速な過程には《民主的な運営》のかけらも見られない。
 
 ストレステストは一次評価の段階で二次評価については何も進んでいない。関電が大飯原発で暫定基準を満たすまでには数年かかるとされ、いずれも中途半端なまま"見切り発車"する事態だ。《安全の確保》も《民主的な運営》も守られておらず、いわば違法な政策決定と言える。

違法というより「無法状態」
 法律無視はさらに続く。
 「原子力委員会及び原子力安全委員会設置法」では、その13条で、《原子力安全委員会は、次の各号に掲げる事項について企画し、審議し、及び決定する》とした上で、次のように明記している。
一  原子力利用に関する政策のうち、安全の確保のための規制に関する政策に関すること。
二  核燃料物質及び原子炉に関する規制のうち、安全の確保のための規制に関すること。
三  原子力利用に伴う障害防止の基本に関すること。
四  放射性降下物による障害の防止に関する対策の基本に関すること。
五  第一号から第三号までに掲げるもののほか、原子力利用に関する重要事項のうち、安全の確保のための規制に係るものに関すること。

 原発再稼働についての判断は「原子力安全委員会」に委ねられていると解するべきだが、ここ数日、当の安全委員会は何の決定も発表もしていない。

 原発再稼働容認までの一連の過程では、もっとも信頼されていない経済産業省原子力安全・保安院が作業を受け持っており、原子力安全委員会を飛び越えて前述の4人の政治家がお墨付きを与えている。これのどこが適法なのか。
 そもそも、この国のどの法律にもたった4人の大臣で原発再稼働を決めていいなどという条文は存在しない。つまり野田政権のあり様は、違法というより「無法状態」と表現するしかない状況なのだ。

 いまや原子力ムラの頂点に立った観のある野田政権。国民の声を無視し、法治国家を標榜しながら法を守らぬ総理大臣には即刻退陣してもらうしかない。与野党の政治家たちは、いまこそ倒閣運動に立ち上がるべきだ。
 



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