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原発再稼動めぐる動き 福岡と大阪の大きな違い
問われる原子力行政の不備

2012年4月12日 12:55

gennpatu 890.jpg 原発再稼動をめぐる自治体ごとの対応に、大きな違いが顕在化している。とくに目立つのは"周辺自治体"の首長の姿勢だ。
 
 電力会社に対し、原発稼動における事実上の同意権限を求める首長たちがいる一方、不十分な安全協定を結んで満面の笑みを浮かべるバカな知事もいる。
 
 電力会社との関係の濃淡で対応が異なっていると見られ、住民不在の原発行政のあり方に疑問が生じている。

大阪と福岡 あまりに違う対応 
 10日、大阪の松井知事と橋下市長は、原発から100キロ圏内の自治体の知事に拒否権を持たせることなどを軸とした再稼動にあたっての8条件を府市統合本部会議で了承し、公表した。
 野田政権が前のめりとなって進める関西電力大飯原子力発電所(福井県おおい町)3、4号機の再稼動に正面から待ったをかけた形で、滋賀、京都両県の知事もこうした大阪の対応を支持する構えだ。
 
 一方今月2日、福岡県は福岡市・糸島市とともに、九州電力との間に玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)に関する安全協定を締結した。
 安全協定と言っても、玄海原発で事故が発生した場合、九電が福岡県などに迅速に連絡することを決めたというだけで、協定の内容に意味があるとは思えない。福岡市への連絡に至っては県を経由するというおかしなもので、協定に判を捺した福岡市長も不満を口にしている。

 福島第一原発事故が証明しているように、いったん原発に事故が起きれば、数百キロの範囲で放射性物質がまき散らされる。周辺自治体への迅速な連絡などあたり前のことで、協定を結んだ程度のことが大きなニュースになることには違和感を覚える。
 原発が立地していない自治体と電力会社との安全協定締結は全国で2例目なのだと言うが、内容が空虚であればそんなことには何の意味もない。

続く九電と小川知事の蜜月 
 大阪と福岡、各自治体の首長のあまりに違う対応ぶりはどこに起因するのか。それは電力会社との距離の違い、言い換えればしがらみの有無である。
 
 小川洋福岡県知事誕生の立役者は、松尾新吾前九電会長である(記事参照→「福岡県知事選挙 "傀儡"の証明 (上)」)。現在も小川知事の支援団体「福岡の未来をつくる会」と「小川洋後援会」の代表者は松尾前九電会長であり、今月に入って松尾氏も知事も、代表交代を否定する発言を行っている。
 九電会長を退いたとはいえ、九州経済連合会のトップに居座り続ける松尾氏を支援団体の代表にしたまま、知事が九電に対し厳しい要求を突き付けられるわけがない。

九電と自民党 
gennpatu 039.jpg 大阪の橋下市長にはこうしたしがらみが一切ない上、自民党と距離を置いていることも見逃せない。

 電力各社の役員らが、自民党の政治資金団体「財団法人 国民政治協会」に個人献金の形で多額の政治資金提供してきたことが知られているが、九電も例外ではない。
 松尾前会長は平成20年に30万円、21年と22年にそれぞれ20万円づつを寄附。眞鍋利應前社長も各年で同額を寄附。瓜生道明新社長は同時期において毎年6万年、貫正義新会長が12万円づつを寄附していた。
 
 小川福岡県知事は候補者選定の段階から九電会長の世話になり、選挙期間中も松尾氏が選対本部長を務めたが、自民党の推薦がなければ立候補すらできなかったのは事実だ。
 前述の献金実態を見ても明らかなように、ともに原発を推進してきた九電と自民党の絆は固く、小川知事にその両方を敵に回すような度胸はない。玄海原発に関する安全協定に、県の同意権限を盛り込むことなどできるはずがないのだ。

原子力行政の不備
 首長の政治的背景に左右され、電力会社への対応が大きく違ってくるということは、原子力行政そのものに不備があることを示している。
 
 原発について、自治体の権限を規定した法律はなく、安全協定などを結ぶ場合は自治体と電力会社との個別の協議にすべてを委ねてきた。 
 しかし、福岡と大阪の違いを見ても明らかなように、首長が電力会社と癒着していれば、住民の声が無視されたまま再稼動が進められていく。
 周辺自治体の範囲、再稼動への同意権限を含めた安全協定の内容、いずれもきちんとした国の指針はなく、整備される気配すらない。原子力行政への国民の不信が、国のこうした曖昧な態度に起因していることは言うまでもない。

 原発再稼動を急ぐ野田政権だが、その前にやるべきことがある。



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