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自見国民新党代表の不可解な政治資金処理
借り入れ先ファミリー企業はペーパーカンパニー状態
役員も知らぬ営業実態

2012年4月20日 07:30

 党内抗争の末、新たに国民新党のトップとなった自見庄三郎郵政改革担当相が代表を務める政党支部が多額の借入れを受けている会社に、営業実態がなくなっていることが分かった。

 借入れを受けているのは、自見氏が代表を務める「国民新党参議院比例区福岡県第一支部」(北九州市小倉北区)。同支部は、平成19年に「有限会社ジェイエフカンパニー」(本店:東京都千代田区。資本金300万円)から1,100万円の借入れを起こしたあと、返済と借入れを繰り返すという不可解な資金運用を続けており、平成22年末の時点で1,440万円の残債となっている。

 HUNTERの調べで、現在同社には営業実態がないことが分かっており、唯一の取締役さえ自見氏側に提供された資金について説明できない状況だ。

ペーパーカンパニー
写真.JPG登記簿によれば、「有限会社ジェイエフカンパニー」は医療関連から宝石、さらには建設資材、旅行業務まで幅広く扱うことを目的として設立されており、昨年7月からの本店所在地は千代田区麹町にあるオフィスビルとなっている。しかし、、該当するビルには同社の看板など一切なく、電話番号登録もない状態。同ビルに入居するすべての企業が「聞いたことがない」「知らない」とするなか、元衆議院議員・保岡興冶氏が所属する法律事務所だけがジェイエフカンパニーの存在を承知していた。
 法律事務所側は当初、所内がジェイエフカンパニーの本店所在地になっていることを認めた上で、同社の常勤職員はいないと明言していたが、確認取材の段階で「そういう話を聞いているだけ」と方向転換している。

取締役は自見氏の元秘書だけ
 ジェイエフカンパニーの取締役として登記されているのは、福岡県内の男性ただ1人。取材に応じたその取締役は自見氏の元秘書で、昨年、自見氏の妻に依頼され取締役に就任したという。
 現在の営業実態について尋ねたが、もともとジェイエフカンパニーは自見氏の妻が作った会社で、前任の取締役は自見氏の妻の姉(昨年7月に辞任)。党支部への貸付金のことも含めてそのほかの詳しい事情はまったく分からないとしており、ただ1人の役員でさえ会社の内容を把握していない状況だ。これでは残債や借り入れの経緯について確認のしようがない。
 
 一方、「国民新党参議院比例区福岡県第一支部」の事務担当者はHUNTERの取材に対し、ジェイエフカンパニーには貸し付けを行うだけの十分な資産があったとしたうえで、政治資金規正法の規定に従い適正に処理したと回答している。ただし、現在の同社の不透明な状態については説明はできていない。

ファミリー企業が「財布」の状態
 平成20年表修正.JPG同社と「国民新党参議院比例区福岡県第一支部」との間の政治資金の動きを追うと、平成19年に1,100万円を借り入れた後、翌20年からは不可解な操作を繰り返している。同年のカネの動きをまとめたのが右の表だが、目まぐるしく借りたり返したりを繰り返しているのがわかる。

 平成20年12月末の残債は1,150万円、翌21年は毎回10万円づつ12回計120万円を返済し、年末の残債が1,030万円まで減るが、平成22年11月1日に一括して500万円の借入れを起こしている。この年は1月から9月までに毎月10万円の計90万円を返済しており、同年末の時点で残債は1,440万円となる。

 一連のカネの動きを見る限り、まるで「ジェイエフカンパニー」は同支部の財布のような状態だ。

不透明な自見氏の政治資金処理
 自見氏の政治資金処理の特徴は、関連政治団体の異常な数の多さにある。平成22年12月31日の時点で総務省が公表した国会議員関係政治団体の一覧から確認できただけでも、次の2政党支部11団体に上る。

【総務省届出分】
国民新党参議院比例区東京都第三支部
国民新党参議院比例区福岡県第一支部
庄政会(資金管理団体)
医療危機突破国民会議
全日本医師政治連盟

【福岡県選管届出分】
北九州自見会
福岡県国民新党福岡県支部
福岡県九大医学部第1内科同門会自見庄三郎後援会
自見庄三郎後援会
福岡県九大医学部同窓会自見庄三郎後援会
現代医療問題研究会
福岡医療福祉研究会
市民連北九州

 収支報告書や官報、福岡県公報などで確かめてみたが、各団体は年ごとの政治状況に合わせて政治資金の出し入れが行われており、自見氏の政治資金の全容解明を難しくしている。政治団体の多さが政治資金の透明性を薄めるための装置と化しているような状況だ。

 政権与党の代表で閣僚まで務める自見氏だが、政治資金の透明性には疑問符がついている。



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