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聞いて呆れる「敬天愛人」

鹿児島知事、県民の対話要請を拒絶

利害関係者からは毎年100万円

2012年3月22日 09:20

 鹿児島県では、薩摩川内市に県が建設を進める産業廃棄物管理型最終処分場や鹿児島市松陽台の県営住宅建設計画をめぐって、地元住民と県が対立する構図となっている。

 原因が伊藤知事の強権的政治手法にあることを度々報じてきたが、松陽台の町内会が求めた伊藤知事との直接対話を拒否したことに続いて、処分場予定地である薩摩川内市川永野の自治会が提起した会談要請をはねつける回答を出していたことが分かった。

 回答内容は、県の都合だけを強調した身勝手なもので、高圧的な知事の姿勢に改めて地元住民らから怒りの声が上がっている。

 一方、県との密接な関係を有する人間たちから、知事側が多額の政治資金を得ている実態も浮かび上がった。
(写真は鹿児島県庁から見た桜島)

県民の思い踏みにじる知事
 gennpatu.jpg薩摩川内市川永野では、鹿児島県が産業廃棄物の管理型最終処分場「エコパークかごしま」(仮称)の建設を進めている。
 同処分場建設をめぐっては、建設方針の決定や用地選定といった計画段階から不透明な過程をたどった上、処分場用地を提供し、その建設工事まで請け負ったのが地場ゼネコン「植村組」グループだったことから、同社への便宜供与が疑われる事態となっていた。

 さらにここに来て、植村組グループから顧問報酬を得ていた県議が議会で建設促進の質問を行っていたことや、民間企業の最終処分場計画に別の県議が延期要請を働きかけていたことなどが判明。同処分場をめぐる動きは新たな展開を見せ始めていた。

 こうした中、処分場予定地に隣接する自治会が、最後の機会と捉えて知事との話し合いを申しいれたのが先月26日。これに対し、伊藤知事は今月14日になってようやく回答を出した。

 回答文には《私自身が2度にわたり関係自治会の方々などに施設の安全性や県の責任のあり方などについて説明し、意見交換を行うなど、十分な説明責任を果し着たところですが、貴自治会は2度とも拒否されたそうです。
                      中略
 昨年9月には2度にわたり、説明会の開催を提案しましたが、建設を前提とした説明会は受け入れられないとして拒否されたところです》とした上で、《私との話し合いの場を持つ段階は、既に過ぎているものと考えます》とある。
 
 誘いを拒否した地元自治会が悪いと言わんばかりの強い表現だが、実態はまるで違う。
 
 まず、"2度の説明拒否"についてだが、県が説明会場として指定したのは薩摩川内市内のホテル。住民の高齢化も進んでいることに加え、無駄な公費など使わず地元の公民館でより多くの住民が参加できるようにして欲しいという自治会側の要請を県側が拒否したというのが真相だ。 

 次に問題なのは、平成22年12月以降、質問に答える説明会を3回開いたとしている点だ。たしかに説明会は開かれたのだが、住民が最も聞きたい質問には一切答えないという状況が続いたため、以後の開催には応じなかっただけだという。地元住民側は単なるアリバイ作りであることを見抜いていたのである。

 知事が主張する《十分な説明責任》が、いかにいい加減なものであったかについては、さらに反論が可能だ。

住民無視の証拠
 gennpatu 11395.jpg県側が地元自治会の意向を軽く考えていた証左となる文書が残されている。

 これらは、HUNTERが鹿児島県への情報公開請求で入手したものだが、右の平成22年10月20日付けで県環境整備公社が県に提出した「協議等結果報告書」には、『川永野町大原野自治会の地域住民とは協議等が調う見込みがない』と明記している。
 しかし、同報告書の提出は、産廃処分場建設にあたり協議の必要がある対象地域を県が指定した同年7月26日の「通知」から、わずか3ヶ月にも満たない時期のことなのである。

 最終処分場建設にともない、地元住民が自分たちややその子ども達の未来が脅かされると心配するのは当然だ。だからこそ誠意を尽くした説明が必要なはずなのだが、県側の記録を見る限り、急ぐことばかりを優先させ、真剣に県民と向き合った証拠は何一つない。
 
 前述の報告書のような杜撰な手法がまかり通ったのは、もともと県が住民らを軽視していたために他なたず、同年7月26日に県が公社に出した「通知」の一節が、顕著にその姿勢を表している。(下の文書参照) 

gennpatusatuma .jpg

 県側としては努力しましたとのアリバイを作りさえすれば十分で、なにがなんでも住民の同意を求めたわけではなかったのだ。

 交渉過程での誠意のなさを示す文書はまだある。

gennpatu 11396.jpg

 県側は地元自治会に対する説明会開催の依頼を、平成22年9月2日から10月1日にかけて、計7回行なっているのだが、そのすべてが「口頭」。9月22日になってやっと「文書」による依頼となっている。しかし、県側の動きはここまで、10月14日に一方的に説明資料を送りつけて終わりである。
 これが伝来の土地を汚される人たちへの誠意ある対応と言えるのだろうか。

 文書から経過をたどれば、県側の対応すべてが処分場建設のためのアリバイを残すことに費やされたことが明白なのだ。

 高圧的な住民への姿勢は今回の要請書への回答だけでなく、県政運営全般で発揮されていると見るべきだろう。
事実、鹿児島市松陽台における県営住宅建設計画に関しても、薩摩川内同様の住民無視が繰り返されている。

利害関係者からは多額の寄附
 弱い立場の県民を蹂躙する一方で、伊藤知事側が、県と利害関係を有する団体のトップや幹部から、それぞれ毎年100万円の寄附を受けていたことが明らかとなっている。
 
 鹿児島県町村会の坂上省悟事務局長からは、知事の資金管理団体「いとう祐一郎後援会 祐祥会」が平成16年、18年、19年、21年に各100万円の計400万円。
 鹿児島県が巨額な補助金を支給している「財団法人メディポリス医学研究財団」の永田良一理事長からは平成20年と22年に各100万円の計200万円の政治資金を得ていたのである。このうち平成20年の寄附は知事選挙における知事本人へのもの、平成22年は「いとう祐一郎後援会 祐祥会」に対するものである。
 
 HUNTERの調べによると県町村会の坂上省悟事務局長は、介護関連会社の代表取締役を務めており、平成同系列の医療法人の理事長、坂上氏、さらに坂上氏の身内などがそろって100万円づつを寄付した年もある。

 伊藤知事側が県選管に提出した政治資金収支報告書や選挙運動費用収支報告書には、有力企業の代表者からの個人献金が目立つが、その大半が「100万円」。知事と特定企業との蜜月ぶりを示す事実である。

 ちなみに、知事の座右の銘は「身に私を構えず」と「「敬天愛人」。あの世の西郷隆盛が嘆いている。


 
 

 



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