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鹿児島県知事の「虚言」

「松陽台」県営住宅問題に見る伊藤県政の現状(3)

2012年3月14日 09:40

 先月15日に鹿児島市松陽台の町内会が、伊藤祐一郎鹿児島県知事に提出した県営住宅建設に関する公開質問書への同知事の回答が明らかとなった。

 住民らの問いかけには一切答えておらず、自らの発言にさえ責任を持たない同知事の姿勢が明確に打ち出された内容である。

 鹿児島県では、松陽台の県営住宅建設計画や薩摩川内市に県が建設を進める産業廃棄物最終処分場をめぐって地元住民と県が対立する構図となっているが、その原因は虚言を弄して県民を欺く伊藤知事の政治手法にある。


拒絶された県民の願い
 gennpatu 1135.jpg今年2月3日の知事の定例会見終盤、朝日新聞社の記者が、「松陽台団地の建設の件ですが、住民の中では一部反対の声がまだ根強く残っています。前回の県議会で反対陳情は不採択されましたが、この問題についての知事の見解はどうでしょうか」と質問した。
 
 これに対し、伊藤知事は松陽台における県営住宅建設の身勝手な主張を展開した後、「住んでおられる方々にも一生懸命説明したいと思います」と明言していた。

 同月15日、事態の打開を願う松陽台の町内会はこの発言を重く受け止め、知事に公開質問状を提出。細かい内容についての質問は一切なく、「知事ご自身が地域住民と膝詰めで話し合う」という機会を本当に設けるのかどうか、言い換えれば知事発言が嘘かまことかを問いただした形となっていた。

 回答期限の2月20日を9日も過ぎた29 日、公開質問書を提出した地元町内会にようやく知事名の回答文書が届けられたという。しかし、その内容は「カラッポ。答えになっていない」(地元住民)というお粗末なものだった。

 右が伊藤知事からの回答文書だが、地元住民に会うか、会わないかについての明言を避け、「住宅政策室及び県住宅供給公社」が説明するとして、事実上自身が参加しての話し合いを拒絶しているのだ。

議論のすり替え
 松陽台の町内会は、「一生懸命説明したいと思います」との知事発言が真実の言葉かどうかを問うたに過ぎない。
 当然、回答は知事自身が明言したように地元住民らと会って説明しますと返すべきだろうが、前述のとおりこの点については拒否する構え。述べられているのは、"自然環境に恵まれ、子育てに適している"から県営住宅の整備にふさわしく、新しい形の県営住宅にしますとの身勝手な言い分だけだ。これは議論のすり替えに過ぎない。

 下のチラシはガーデンヒルズ松陽台の募集でも使われてきた県住宅供給公社ものだが、「夢のマイホームは最高の住環境で!!」と大書してある。
 
gennpatu 1136.jpg

 このチラシの文言でも明らかなように、もともとガーデンヒルズ松陽台は「最高の住環境」を謳い文句に『戸建住宅』の用地として470区画を販売する計画だったはずだ。
 何もないところに住宅団地を造成したのだから、自然環境が申し分ないのは当たり前なのだが、公社が住環境の良さを売り物にして商売した相手は『戸建住宅』に住む住民たち。一般常識として『夢のマイホーム』とは、賃貸住宅のことではない。松陽台は、県営住宅を建設するために開発されたわけではないのである。

 地元住民が県営住宅の建設に反対しているのは、公社の宣伝文句を信じて終の棲家を購入した住民に何の相談もなく、戸建住宅を中心とした"まちづくり"を放棄して、いきなりガーデンヒルズ松陽台で最大の面積を占める区画約5.6 haをすべて「県営住宅」にすると公表したことへの約束違反を咎めてのことなのだ。しかし、これまで知事をはじめ県や公社は、そのことに対して何の釈明もしていない。
 住民らが聞きたいのは県営住宅のすばらしさではなく、「なぜ約束を破って方針変更が行われたのか」という一点なのである。

 これまで報じてきたとおり、ガーデンヒルズ松陽台の開発計画変更に関しては、誰がいつ決定を下したのかについての公文書上の記録が存在していない。
 不透明極まりない政策決定過程について、説明を求めても答えないという県側の不誠実な態度に、地元住民らが不信を募らせるのは当たり前のこと。そこに県政トップが、公式の場で「一生懸命説明したいと思います」と発言したわけである。
 住民らが一縷の望みを抱いたのもまた当然で、知事本人が説明責任を果すことを求められていた。
 
最後は逃げる伊藤知事  住民は訴訟の構え
 高級官僚出身の伊藤知事は、厚い保守地盤を誇る自民党に支えられ「独裁」と言われるほど好き勝手な県政運営を続けている。
 知事室のテーブルに靴のまま足を放り出しているような倣岸不遜な人間だと言うが、意外と肝が小さく、意見が異なる相手に向き合うことからは逃げ回るばかりだ。
 今回は、自分の口で「住んでおられる方々にも一生懸命説明したいと思います」と言い切っておいて、いざ『会いましょう」と住民側が歩み寄ったら、部下に全てを任せて逃げてしまった形。
 格好の良いことだけは言うが、実行は伴わないという、虚言を弄する三流政治家の姿がそこにある。

 知事の無責任な対応に地元住民のひとりは憤りを隠さない。「もう我慢できない。隠蔽と虚偽ばかり。選挙をにらんで格好のいいことばかり言っているが、これほど不誠実な知事はかつていなかった。県や公社の約束違反は明らかだ。訴訟の準備に入る」。
 薩摩川内市の産廃処分場に続いて、またしても伊藤知事が県民から訴えられる可能性が高くなった。
 

 



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