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福岡市役所改装工事 設計業者選定で不可解な採点

項目別では落選グループが上

2012年2月13日 08:20

 高島宗一郎市長がトップダウンで決めた福岡市役所の改装工事にからみ、民間企業の経営者である市長の友人(市顧問)が設計業者選考委員会の委員長を務めていたことなどを報じてきたが、市が開示した公文書によって新たな問題点が浮上した。

 プロポーザル方式で実施された問題の設計業者選定において、提案内容に対する採点を行なった際、評価7項目中5項目で最高点を得た設計業者グループが選に漏れ、2項目でしかトップを取れなかったグループが受注する結果となっていた。

 選考基準や採点配分など、すべての事務規定作成を民間業者への委託業務に頼っていたことも分かっており、公共事業への信頼性を疑わせる事態となった。

(写真は福岡市役所) 

不可解な採点
 今月8日に福岡市がHUNTERの情報公開請求に応じて開示した文書の中に、必要のない「黒塗り」を施した文書があった(下段左の文書)。設計業者選考委員による採点の「集計表」なのだが、プローポーザルに参加した3グループ(各グループ2社で構成)のうち選考に漏れたグループへの採点部分が黒塗り非開示。無用の隠蔽であると抗議したところ、出てきたのが下段右の文書である。

集計表

 評価項目ごとの採点の結果、トータル323点を得た設計業者グループが、302点と277点の他2グループを押さえて設計者として選定された形だ。
 
 しかし、この文書の評価項目ごとの順位を見ると別の評価実態が見えてくる。赤い印をつけたところが項目別トップの点数なのだが、全7項目中5項目で最も点数が高かったのは落選したグループ。逆に設計者として選ばれたグループはわずか2項目でしかトップの評価を得られていない。(赤印はHUNTER)

gennpatu 961.jpg

 採点にあたっての詳しい評価基準がなかったため、他に隠している文書があるのではないかと市側を追及したところ、10日になって開示されたのが下の文書である。

gennpatu 965.jpg

 提案に対し、どこに注目して点をつけるかの基準を示しているほか、「デザイン」に35点、「企画書」に計35点を配し、「実施体制」、「価格」に各50点、「類似業務実績」、「スケジュール」と言った項目にそれぞれ25点づつを与えている。
 しかし、「デザイン」に主眼を置いた評価基準が、おかしな選考結果を招いてしまう。 
 
 前掲の集計票で明らかなとおり、「デザイン」と「価格」の項目以外はすべての項目で『A-2』グループが最高得点を得ており、1位の『A-1』と2位『A-2』との差は、「デザイン」で『A-1』が極端に高い点を稼いだことによって生じたものだ。

 総合2位の『A-2』は、企画書に関する得点においては計122点であるのに対し、総合1位の『A-1』は104点。デザインへの極端に高い評価が企画内容への評価を打ち消した形となってしまい、バランスを欠いた選考となったことは否めない。
 
事務規定も業者任せ
 配点や順位付けの方法があまりに大雑把過ぎるのはなぜか。念のため、市側にプローポーザルにあたっての採点配分など、細目を決めた経過について確認したところ、設計者選定要綱やその細則、さらには採点配分までを業務委託して作成させた「福岡市本庁舎の利活用に関する基本計画」の中で定め、そのまま選考委員会の了承を得ていたことを認めた。

 何から何まで業者が作った計画通りに進め、プローポーザルの採点配分や順位付けの方法まで決めさせていたのである。
 公平・公正や選考基準の秘匿性が担保されていたとは言えず、怠慢というより役所の責任放棄といった方が妥当かもしれない。

求められる改装事業の再点検
 選考委員会の委員長を務めた高島市長の友人は、市顧問とはいえ民間企業の代表者。しかも、経営する会社は広告代理店としてイベントの企画・運営を手がけており、市役所1階ロビー改装や西側広場整備の後に予想される今後の催しに関与する可能性がゼロとは言えない。さらに、同氏に不動産業界との深いつながりがあることも分かっている。 
 
 極論かもしれないが、広報戦略アドバイザーの域を超えて、イベントにからむ利害関係者の視点で改装計画に口を出したとすれば、公金が市長とその側近によって私物化されたに等しい。

 外形上の事実だけをつなぎ合わせて考えると、情報流出の有無や、業者選定に不適切な流れがなかったのかについて、厳しく問われるべき事案であることは言うまでもない。

つづく



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