福岡県が発注する八女市管内の公共工事で、落札率が一定の幅にコントロールされている疑いが浮上した。
平成23年度の県発注工事の入札状況を調べる中、八女市発注工事と比較するため同市管内の案件だけを抜き出したところ、受注業者の落札率が90%前後に集中するという異常な事態になっていることが分かった。
建設業界が組織的に落札ラインを決め、仕事を分け合っている可能性が否定できず、改めて同市の談合体質を露呈した形だ。
県発注工事入札―落札率「90%」に集中
HUNTERは、95%以上の高い落札率での受注が続出している八女市発注工事と、同じ建設単価で工事費を見積っている福岡県発注工事との比較を行うため、八女市管内における県発注工事(250万円以上に限定)の入札状況を調べた。
その結果、確認できた平成23年度の県発注工事は99件。10月以降は八女県土整備事務所発注分のみの数字であるが、四捨五入した落札率ごとの数字は次のようになった。
《平成23年4月~9月》
87%以下・・・8件
88%・・・・・3件
89%・・・・・2件
90%・・・・・14件
91%・・・・・4件
92%・・・・・3件
93%以上・・・ゼロ
《平成23年10月~平成24年1月》
87%以下・・・6件
88%・・・・・2件
89%・・・・・11件
90%・・・・・40件
91%・・・・・5件
92%・・・・・1件
93%以上・・・ゼロ
落札率は88%~92%の範囲に集中しているが、とくに「90%」だけが突出しており、全体の5割強を占める。
10月以降の八女県土整備事務所による入札ではよりこの傾向がより顕著となり、65件の入札のうち「90%」での落札は40件にのぼる。なんと6割以上が同じ落札率になる計算だ。
これに「89%」での落札件数11件を加えると、10~1月期における入札の9割近くが「89%」と「90%」に集中する形となり、偶然とするには無理がある集計結果となった。
県発注工事の落札ラインを、同市建設業界総意のもとで設定している疑いが濃い。
一方、報じてきたとおり、八女市発注の公共工事では、落札率100%をはじめ99%、98%が続出している。
いずれも「談合」を前提としなければ成立しないことで、改めて同市における歪んだ公共工事の実態が浮き彫りになった。
八女市の建設業界に自浄作用を求めるのは無理のようだ。