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「改革者」ではなかった高島福岡市長

公費支出には無頓着

2012年2月 8日 09:50

 昨年12月26日、暴力団対策法の抜本改正を法務大臣に要請するという重要な仕事を副市長に任せ、自らは大阪に出張した高島宗一郎福岡市長。
 
 「暴追」という福岡県にとって最も優先されるべき課題以上に大切な用務があったとは思えないが、出張目的とされた「ソーシャルビジネスの調査」の内容が、随行職員の「出張復命書」から明らかとなった。
 
 結論から言って、高島市長の市政課題に対する優先順位の付け方には首をかしげざるを得ない。さらに気にかかるのは、公費支出に関する感覚の鈍さである。
(写真は福岡市役所)

ホテルでの話し合いが「調査」?
 gennpatu 951.jpg右の文書が随行職員の「出張復命書」に添付された「ソーシャルビジネス調査」の内容である(黒塗りはHUNTER編集部)。
 昨年12月26日の19時30分から2時間、大阪市内のホテルで、ソーシャルビジネスを実施しているNPO法人の代表者から事業についての説明を受けている。
 しかし、高島市長と随行職員の用務はこれで終わっており、街に出て事業の現場を見たわけでもない。調査とは名ばかりの単なる「話し合い」だったということだ。

優先順位に疑問
 この日、高島市長は午後から「イオン株式会社」との地域共働事業に関する包括連携協定を締結。15時からこれに関する記者会見を行ない、バタバタと夕方の新幹線で大阪に向かっていた。
  
 一方、小川洋福岡県知事と北橋健治北九州市長は、暴力団対策法の抜本改正を法務大臣に要請するため上京している。
 続発する暴力団による凶行に対応するため、暴対法改正に加え、通信傍受要件の緩和、おとり捜査、司法取引等の制度化といった暴力団に対する新たな捜査手法の早期導入を国に迫るためだった。
 要請文には高島市長も名前を連ねていたが、本人は不参加。副市長を代理として送っていた。
 
 市民の安全を守るという観点から積極的に暴追運動の先頭に立ちべき高島市長が、県警OBの副市長を代理に立て、自らは大手企業との協定締結や大阪出張を選択した形だ。
 どう考えても優先順位が違う。
 
2時間の「話し合い」に11万円
 ところで、大阪での「公務」には市長分6万3,172円、随行職員分4万5,492円の締めて10万8,664円が出張旅費として支払われている。
 わずか2時間のホテルでの話し合いに、11万円もの公費ををかける必要があったのだろうか。「調査内容」から見る限り、否定的にならざるを得ない。

 高島市長の"調査対象"となった大阪のNPO法人は、ホームページも公開しており、法人の活動内容や事業の実施状況についてある程度の内容を把握することが可能だ。「出張復命書」程度の調査なら、11万円もかけて大阪に出向く必要はなかったと思われる。

 市長には、出張旅費の原資が税金であるという意識が希薄なのだろう。

驚きのハイヤー使用料金 
 高島市長の平成22年12月の市長就任から昨年12月までの1年間における出張は、50回以上に及ぶ。
 福岡市への情報公開請求で市長の「出張命令書」を入手したが、出張にかかった費用は369万9,167円となる。
 これについて、多い、少ないを論じるつもりはないが、驚いたのは「ハイヤー」の利用料金だった。

 運送事業者から提出された「乗車明細書」から、ハイヤー使用日と走行距離、料金(有料道路使用料を含む)を抜き出してみた。(右の文書はその一例)
gennpatu 952.jpg【平成22年】
12月10日 109km 5万8,080円
12月24日  17km 2万4,700円
【平成23年】
・2月23日  57km 2万5,030円
・2月24日  53km 2万1,090円
・4月 7日  62km  3万8,580円
・4月 8日  119km 4万2,580円
・5月13日  72km 3万6,860円
・6月 8日  62km 3万6,500円
・7月12日  22km 3万4,580円
・7月27日  8km 5万3,870円
・8月 3日  23km 2万7,980円
・8月 4日  69km 5万2,270円
・8月11日  51km 3万5,970円
・10月8日  35km 3万5,280円
・10月18日  94km  4万2,060円
・10月31日  36km 4万6,850円
・11月8日  74km 3万9,970円
・11月1日  22km 6万7,910円
・11月2日  28km 2万8,180円
・11月16日  38km 5万2,470円
・11月17日  7km 1万9,320円
・11月18日  32km 3万2,860円
・11月21日  49km 4万5,910円

1年間の「ハイヤー」使用料金は、合計92万630円である。

 市長とはいえ37歳の若者が、黒塗りのハイヤー使用にこれだけの税金を垂れ流して平然としている神経は理解に苦しむ。高島市長は、なぜこうした無駄遣いを率先して止めようとしないのだろう。

 ハイヤーではなくタクシーを利用した場合、移動経費は大幅に減り、4分の1かかるかどうかの金額にしかならない。高島市長が東京出張の折に出向く霞ヶ関や永田町では、どこに行ってもタクシーが列をなして待機しており、ハイヤーに頼る必要などない。もちろん、政令市の市長だからといって黒塗りの車に乗る必要もないはずだ。

 列挙したハイヤーの使用はすべて東京におけるものだが、市民感覚からは程遠い実態としか言いようがない。

公金支出に無頓着
 高島市長の就任以来、市政の諸課題について、新たな組織を立ち上げて議論させる手法が多用されてきた。こども病院、人工島、屋台と続き、今度は自転車の安全利用に関する条例検討委員会を立ち上げるのだという。
 
 残念ながら、高島市長はこうしたすべての会議に百万単位の公費が支出されることの意味を理解していないようだ。
 前述した大阪出張の内容や、ハイヤー利用の実態が物語るように、税金の使途の在り方については無頓着ということ。

 その証拠に、人工島への体育館建設など利権に目ざとい向きを喜ばすような方針を打ち出す一方、市民の暮らしに目を向けた施策は一向に発表されない。
 派手なパフォーマンスばかりに精を出しているが、じっくりと腰を据え、市民生活の隅々にまで目配りする姿勢は皆無なのである。

 国保料の引き上げをめぐって公約違反を指摘され、年間391円の値上げについて『月30円は値上げと言えば値上げ』などと軽率な発言をするところを見ても、高島宗一郎氏に「改革者」の称号を与えることは無理のようだ。



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