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"おもちゃ"にされた福岡市政

高島宗一郎くんへの警鐘

2012年2月22日 10:05

 高島宗一郎氏が福岡市長に就任して以来、首を傾げたくなるような公費支出が増え続けている。

 象徴的と見られるのが、一体的に実施される市役所1階ロビーの改装と西側広場の整備工事で、事業総額は3億3,000万円。原資に充てるための起債は約2億円近くに膨れ上がるという。頼みもしない思いつきの施策で"借金"を背負わされる市民はたまったものではない。

 どうやら高島氏は、役所の動きに「公費支出」がつきものであることを意識していないらしいが、この状況を放置しておくと無駄な公費支出が増えるばかりだ。

 改めて、高島市政の公費支出の実態を検証したが、見えてきたのは"おもちゃ"にされる市政の姿だった。
(写真は福岡市役所)

こども病院、人工島、屋台で約2,300万円
 gennpatu 1023.jpg高島氏が市長に就任後、こども病院移転計画の検証を行うとして立ち上げたのが「こども病院移転計画調査委員会」。有識者や市民らで構成された同委員会は、計7回の会議を開いたが、結果としてこども病院の人工島移転を正当化させる形を作っただけだった。この委員会の運営経費には約1,520万円もかかっていた(右の文書参照)。

 こども病院問題で味をしめた高島市長は、先の見えない人工島事業の解決策をさぐるために「アイランドシティ・未来フォーラム」を、観光資源として屋台の存続を図るための「屋台との共生のあり方研究会」をと、立て続けに設置。公開型の会議で市政の課題を審議する手法を繰り返している。

 「アイランドシティ・未来フォーラム」(会議は計6回)の運営経費に約290万円、「屋台との共生のあり方研究会」(これまで計5回)には約454万円を費消している。高島流のパフォーマンスにかかった税金の総額は約2,264万円におよぶ。

 同様の手法はまだまだ続きそうで、新たに「福岡市自転車の安全利用に関する条例検討委員会」の設置が決まっており、この運営経費にも数百万円かかる見込みだ。

 公開の場で市民や有識者に議論させる手法は、一見すると民主的で開かれた形のようだが、責任の所在をぼやかすための"まやかし"に過ぎない。
 そもそも、本来あるべき行政や議会の機能が発揮されていれば必要のないもので、屋上屋を架す高島氏の市政運営は決して褒められたものではない。このままでは議会の存在意義が薄れる一方だ。

「アイランドシティ・未来フォーラム」の失敗
 設置された委員会やフォーラム、研究会が市政運営に大きな効果をもたらしたかというと、「それほどでもない。むしろ混乱させただけ」(市職員)との評価が正直なところだろう。
 
 実際、「アイランドシティ・未来フォーラム」では、それぞれの委員の主張が展開されただけで議論は深まらず、人工島の未来に光を見出すことさえできずに提言をまとめている。出てきたのは、定期借地権制度の導入という安易な弥縫策だった。

 借地として土地を安く提供し、さらに人工島へ進出する事業者には立地交付金の上限を現行の3倍の30億円にするという大盤振る舞い。"とにかく土地が埋まればいい"という発想で、さらなる税金投入に道を開いただけの話である。
 これでは土地売却は進まない。借地にしなければ埋まらないような土地を、買うバカがいるとは思えないからだ。
 結局、尻拭いはお定まりの税金投入、つまり市民が泣きを見るということになる。

なぜ今「屋台」なのか
 屋台の問題を市政の重要課題に仕立てたことは、明らかな失政である。
 屋台に対して深い愛着を持っている福岡市民がどれほどいるのか分からないが、少なくとも喫緊の課題ではなかったはずだ。

 屋台の主な利用者は観光客と転勤族とも言われており、家庭を構えた人が屋台から遠ざかる傾向にあるのは否定できない。
 戦後、市民にうまいものを安く提供しようと一気に軒数を増やし博多の風物詩にもなった屋台は、時の経過にともないその存在意義を変えた。
 観光客のお目当てになっているのは確かだろうが、月数千円の道路使用料で稼ぐ商いの形態には懐疑的な意見も少なくない。
 賃貸借であれ自己所有であれ、相応の対価を支払って営業する事業主と比べれば、当然のように公道上で商売を続ける屋台は、優遇されていると映る。どう見ても不公平感が否めないのだ。

 第一、観光の振興を目的に屋台を特別扱いすることは、高島氏の持論ではあっても市民共通の認識ではない。
 東日本大震災の被災地では、衣・食・住に難儀している人が数多くいるというのに、市政の重要課題でもなかった屋台の問題を俎上に載せたのが間違いなのである。
 「観光」を都市戦略の柱に据えた高島市長の発想自体が幼稚であることも明言しておきたい(この点については別稿で詳述する)。

2階建てバスに1億5000万円
 高島市長は、昨年2月の定例会見で「福岡市に2階建てバスが走ります。福岡市に2階建てバスが走ります」と切り出すやいなや、とうとうと2階建てバス導入の3つの意味とやらをまくし立てた。
 要は「観光」に役立つということらしいが、この時は「この3つの意味を込めて2階建てバスを、いわゆる交通事業者に助成をするという形で2台購入したいというふうに思っております」と締めくくっていた。

 2階建てバスは、市長選直後から「(2階建てバスを)福岡市内に走らせてみたい」との夢を語っていた高島市長の指示で、平成23年度予算に組み入れられ事業化。今年に入って、市が西鉄に助成する形で2台の"屋根なし2階建てバス"を春から運行すると発表した。市長の夢に費やされる税金は約1億5,000万円である。

 この計画にはかなり無理がある。
 福岡市には、2階建てバスを走らせているロンドンやソウル、釜山といった都市にあるような観光地に必須の目玉がない上、景観そのものにも特異性がない。
 アジアを中心とする福岡への旅行者の目当ては"ショッピング"が主で、眺望を楽しむバスツアーには期待が持てないのだ。
 博多部と天神の回遊性確保を目的とするなら、バス2台ではあまりに心もとない。
 
 運用面でも課題がのしかかる。
 市が導入するバスの"売り"は、2階部分に屋根がないところなのだが、これが災いして夏場か気候の穏やかな時期にしか活躍が見込めない。雨の日や冷え込みの厳しい時期には「車庫」で眠らせておくしかないのだ。
 
 バスの運行を任される西鉄も頭を痛めているだろうが、市長の夢を実現するために億単位の税金が使われる現実は看過できない。

 ちなみに、西鉄は既に2階建てバスを保有しており、福岡-東京間などで運行してきた実績がある。
 関係者の話によれば、福岡市内で2階建てバスを運行しても採算割れすることが確実視され、事情を知る西鉄は今度の計画に二の足を踏んだという。
 話題性が失われ利用客が減れば、たちまち赤字を生み出すことになるが、市の要請で始まった事業で西鉄が尻拭いするとは思えない。ここでもまた、税金で後処理する事態が予想される。

おもちゃにされる福岡市政
 2階建てバスは、高島氏が思い描いた光景を、観光を福岡市発展の切り札にしようという理屈をくっつけて具現化しただけの話だ。しかし、その費用は高島氏の懐からではなく、市民の税金から捻り出されることになる。

 市役所改装も2階建てバスも、市長選直後に高島市長自身がごり押しして予算化したものだ。その証拠に、いずれの事業の所管課も「誰が、いつ決めたのか」との問いに、明確に答えることができなかった。
 情報公開請求に対し決済文書さえ揃わない状況が、行政の歪みを象徴しているのである。
 
 ある福岡市OBは現状を厳しく批判する。「あれが欲しい、これもやりたい。そうした高島市長個人の思いつきに、次から次へと予算をつけているだけ。まるで駄々っ子に片っ端から"おもちゃ"を買い与えているようなものだ。そんなにカネがあるのなら、保育所整備や老人福祉にまわすべきだろう。こんなことをやっていると、アジアの拠点どころか、国内でも最低の政令市になっていく」。

 友人の広告代理店社長を市の顧問に据え、イベント向けの施策充実ばかりに夢中となる様はまさに子どもである。自分の家やその周辺でやってくれれば何の問題もないのだが、舞台は150万都市の市役所なのだ。
 当人は面白くて仕方がないのだろうが、市民の暮らしを一顧だにせず、自分の夢や友人の希望を実現するために税金を利用することは許されない。
 繰り返される愚行は、いまや市政そのものが"おもちゃ"にされている証左とも映る。
  
 高島宗一郎くんに言っておきたい。市政はあなたたち子どものおもちゃ箱ではない。



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