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国が鹿児島県の違法性認める「裁決」

民間の処分場許可申請を放置

崩れた薩摩川内処分場建設の前提

2012年2月13日 16:25

 鹿児島県が民間企業から提出された管理型産業廃棄物最終処分場の許可申請を長期にわたって放置し、環境省から違法(不作為)であるとして速やかに処分を行うよう命じられていたことが判明した。

 処分場建設の許可申請を黙殺された宮崎県内の企業が、環境省に対して申し立てた審査請求について、「裁決」のなかで企業側の主張を全面的に認めたもの。

 背景には、県が薩摩川内市で住民の反対を無視して強行している管理型最終処分場「エコパークかごしま」(仮称)建設計画の存在があると見られるが、こちらの計画を進めるために民間企業の処分場計画を意図的に放置した可能性が高い。

 薩摩川内市で公共事業として処分場建設を進める理由について、鹿児島県は、県内に管理型最終処分場がないことを最大の理由に上げていたことから、同処分場建設の前提が崩れた形となる。
(写真は鹿児島県庁)

県の違法行為
 環境省に審査請求を行なっていたのは宮崎県に本社を置く九州北清株式会社。同社は、平成19年ころから、鹿児島県姶良郡湧水町に埋立容量40万6,000㎥の管理型最終処分場の建設を計画。
 県と協議を重ねながら、平成21年6月から7月にかけて設置許可申請に必要な産業廃棄物処理施設設置許可申請書」や「処理施設設置等事前協議書」を提出していた。
 
 下の文書が、先月HUNTERが鹿児島県への情報公開請求によって入手した許可申請関連文書の1ページ目である。(「設置許可申請書」は平成22年に再提出したもの)

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 九州北清側の話によると、平成19年ころから処分場建設について県と協議を開始し、平成21年春には、処分場予定地にある自治会への説明会を終え、県が処分場設置の条件としている「公害防止及び生活環境の保全に関する協定書」も締結済みだったという。
 
 県が情報公開請求に応じて開示した文書を見ると、詳しい記載内容はすべて黒塗り非開示ながら、説明会議事録や協定書をはじめ、処分場設置許可を得るための必要書類は完璧にそろえられていた。
 
 九州北清側によれば、県は当初こそ計画に前向きだったものの、次第に態度を変え、平成22年3月には一方的に協議を打ち切ってきたという。

 産業廃棄物処理施設を設置する場合の手続きについて「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」や県が定めた規定に従ってすべての作業を終えていたが、県側が面会に応じないなど、意図的に許可業務を怠っているとして昨年5月、環境省に審査請求。
 県側は審査の却下を申し立てていたが、年を越した先月30日、環境省が正式に裁決を下し、県の不作為を違法であるとして速やかに処分をすべきであると命じていた。

 先月、九州北清関連の申請書類の開示を受けたHUNTERは、所管課である鹿児島県環境林務部廃棄物・リサイクル対策課に、なぜ許可申請を放置しているのか確認していたが、「現在事前協議中」として明快な回答を避けていた。

 13日、環境省の裁決について鹿児島県および環境省に確認したところ、いずれも県の行為が「違法」であるという結果だったことを認めている。 

背景に薩摩川内市の処分場計画
 gennpatu 438.jpgそれでは、違法行為を犯してまで鹿児島県が民間企業の産廃処理場設置計画をつぶそうとしたのは何故か?答えはひとつしかない。

 鹿児島県は、平成18年から県内に公共関与の管理型最終処分場の建設を進める方針を固め、平成19年には県環境整備公社を事業主とする処分場を薩摩川内市川永野地区に建設することを決めた。
 
 これまで度々報じてきたとおり、建設地決定の過程は不透明で、地場有力ゼネコン「植村組」グループへの便宜供与だった疑いさえ浮上している。
 
 さらに、薩摩川内市では、処分場建設に反対する地元住民らを多数の県職員を動員して弾圧したり、反対派の精神的支柱となっている高野山真言宗の「冠嶽山鎭國寺頂峯院」を宗教法人の許認可権をちらつかせ恫喝するなど、およそまともな行政機関とは思えぬ強権ぶりを示していた。

 こうした県の行為の支えとなってきたのが「県内に管理型処分場が1か所もない」と言う主張。同時進行した九州北清による管理型処分場計画が目障りになっていたことは想像に難くない。
 薩摩川内市以外に処分場が建設されれば、これまでの県の言い分が間違いだったことになるからだ。

 薩摩川内市の処分場には、土地取得費5億円、工事費77億7,000万円(税込み)のほか、地元自治会への地域振興策と称して2億円をばら撒くなど80億円以上の公費支出が見込まれる。
 
 これに対し、民間企業である九州北清側の処分場計画にかかる公費支出はゼロ。
誰が見ても県が公共工事利権を死守するために民業を圧迫したとしか映らない状況だ。

gennpatu 978.jpg問われる薩摩川内市処分場の妥当性
 平成18年5月に県が設置した「公共関与型処分場対策協議会」(県職員だけで構成)では、公共関与型の処分場建設を進める理由として《管理型最終処分場が1か所も無く、県外の最終処分場に頼っている》と明記しており(右の文書参照)、この後も一貫して県内に管理型処分場がないことを大義名分として掲げていた。

 この前提を崩したくない県が、意図的に民間企業の処分場計画を黙殺していたということになる。
 国がこうした県の姿勢を「違法」と認めたことで、薩摩川内市で進める処分場計画の公費支出の妥当性まで疑われる結果となった。



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