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薩摩川内市産廃処分場問題(1)

暴走する伊藤鹿児島県政

2012年2月 1日 08:35

 鹿児島県(伊藤祐一郎知事)が川内原子力発電所の立地自治体である薩摩川内市で、地元住民らの声を無視して産業廃棄物の管理型最終処分場建設を強行している。

 産廃処分場に関する許認可権者である県は、処分場について厳しく監視し、住民の声が産廃行政に生かされるように指導する立場にある。

 しかし、薩摩川内市では、県がその権限を逆手にとってのやりたい放題。不透明な計画についての説明責任も果さぬまま、住民らの声を圧殺しており、"暴走"としか言いようのない状況だ。

 処分場建設計画についてシリーズで検証していくが、まずはその1回目である。

相次ぐ隠蔽と強権発動
 鹿児島県はこれまで、薩摩川内市に建設を進める産廃処分場に絡んで、まともな行政機関とは思えぬ行為を続けてきた。シリーズのはじめにあたって、改めて整理しておきたい。

・昨年9月、鹿児島県の第3セクター「鹿児島県環境整備公社」の専務理事と県環境林務部廃棄物・リサイクル対策課の参事が、産廃処分場反対運動の精神的支柱となっている高野山真言宗の「冠嶽山鎭國寺頂峯院」(いちき串木野市)を訪れ、宗教法人の認可権をちらつかせ反対運動から手を引くよう強要。

・昨年9月から10月にかけて、連日県職員を大量に動員し、県側に説明を求める地元住民らを数の力で弾圧。

・12月、HUNTERが請求した処分場に関する公文書の情報公開請求を拒否。

・昨年暮、産廃処分場予定地から出た「廃棄物」の存在をめぐって、事実関係を隠したい県が地元住民に処分場敷地内への立ち入りを禁じる警告書を発送。法的な脅しを行なう。

 こうした鹿児島県のなりふり構わぬ姿勢は、県政トップである伊藤祐一郎知事の指示を受けてのものと見られるが、無理を重ねているのには訳がある。
 
 産廃処分場建設計画自体が杜撰としか言いようのないお粗末なもので、これを糊塗するために隠蔽や強権発動を繰り返すしかなくなっているのだ。

処分場計画の概要
「鹿児島県環境整備公社」が薩摩川内市川永野地区の土地に建設を進める「エコパークかごしま」(仮称) 問題の処分場は鹿児島県の外郭団体「鹿児島県環境整備公社」が、薩摩川内市川永野地区の土地に建設を進める「エコパークかごしま」(仮称)。同公社の理事長は副知事が務めており、処分場計画は事実上「県」が進めているに等しい。

 計画では、36,800㎡の面積に、稼動から15年間で60万立米の産廃を埋め立てることになっている。
 
 最終処分場には、廃プラスチックやがれき、金属、ガラス・陶磁器、ゴムといったいわゆる"安定5品目"を埋設する「安定型」と、燃え殻、汚泥等の産廃と一般廃棄物(事業系以外のもの)が処分対象となる「管理型」などがある(他に「遮断型」があるが、国内の施設が少ないため本稿では省略する)。
 
 一定の基準以下とはいえ、管理型処分場には有害物質を含む廃棄物を埋設するため、浸出液が地下水などを汚染しないように埋立地をビニールシートなどで遮蔽するほか、汚染水の処理施設も必要となる。

 鹿児島県が計画しているのは「管理型」の処分場であるが、遮水シートと言ってもわずか1.5ミリしかなく、全国の管理型処分場における漏水事故の例は少なくない。

汚染水漏れの危険性 
 最終処分場で想定されるリスクのうち、最も懸念されるのが埋め立てられた廃棄物から発生した汚水が地下水などに浸透、人的被害や環境悪化を招くことだ。

 当然、水源がある地域には絶対に整備されるべき施設ではないはずだが、鹿児島県は計画地域に水源があるにもかかわらず、これを無視して処分場建設を進めている。他県では考えられないことである。
 
 公社が公表している「生活環境等影響調査」(リーフレット)には《大規模な地形の改変や地下構造物の建設を行わないことから、地下水の水位や流動状況に対する影響は生じないと考えられます》と記されているが、詳しいデータなどの明確な根拠は示されていない。
 《考えられます》程度の話で、処分場計画を進めるというのだから話にならない。

「悪臭の影響少ない」-県側説明を否定する事例
 最終処分場では、有毒ガスや悪臭の発生事例も多い。
 同じく公社の「生活環境等影響調査」には、《現況は、特定悪臭物質濃度及び臭気指数のいずれも悪臭防止法の基準を下回っています。埋立地を屋根で覆い、また、脱臭装置を設置することなどにより、悪臭の発生と拡散が抑制されることから、施設から発生する悪臭が周辺地域の生活環境に及ぼす影響は小さいと考えられます》と記されているが、屋根で覆ったから悪臭の影響は少ないとする説明は到底信用できない。

 100406_1326~03.JPG写真は福岡県八女市にある産業廃棄物処理施設「うすま・ふぁーむぱーく」だが、平成15年の操業開始以来、施設から出る悪臭が周辺住民を悩ませ続けており、再三の行政指導にもかかわらず、事態は好転していない。
 
 この施設では、産廃を写真の建屋の中で処理しており、業者側も対応を重ねているというが、悪臭被害は一向に収まっておらず、事業者と住民側のトラブルは現在も続いている。

 鹿児島県側が「生活環境等影響調査」の中で主張する《埋立地を屋根で覆い、また、脱臭装置を設置することなどにより、悪臭の発生と拡散が抑制されることから、施設から発生する悪臭が周辺地域の生活環境に及ぼす影響は小さい》という主張は、すでに他県の現実が否定しているのである。

 鹿児島県は、こうした無理を承知で、薩摩川内市に処分場建設を進めているのだが、これまでの経過は不透明極まりないものだった。

                                                 

つづく



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