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「福岡県建設技術情報センター」

天下り外郭団体の不透明さ

2012年1月23日 10:55

 県債発行残高、つまり借金が3兆円を超えた福岡県にとって、無駄な公費支出の見直しは急務だ。
 
 福岡県議会は、県政改革の一環として外郭団体の見直しを図る方針を打ち出したが、そのうちのひとつに「財団法人 福岡県建設技術情報センター」がある。
 
 同センターは、県をはじめとする各自治体から建設関連の業務委託を数多く受託しているが、いったん受けた業務の大半を民間企業へ再委託している。
 
 再委託の金額が低いほど税金が無駄に費消されることにつながるが、センター側は再委託契約の内容について情報開示を拒み続けており、個々の契約が適正かどうかのチェックができない状態だ。
 
 県側がどこまで実態を把握しているのか改めて検証したところ、、同センターに委託した業務についての詳しい内容は、県側も一切チェックをしていないことが明らかとなった。
 
「福岡県建設技術情報センター」
 福岡県篠栗町にある「財団法人 福岡県建設技術情報センター」は、8割を県が出資する典型的な天下り法人である。
 
 理事長と専務理事は県幹部OBの指定席である上、60名の職員のうち30名以上は派遣された県職員。あとは嘱託であり、プロパーの職員はゼロなのだ。事実上、県の出先機関と言える。

 同センターは、次のような業務を行なっている。
【建設材料試験】
・土質試験、コンクリート試験、アスファルト試験等の各種建設材料等の試験及び品質証明
【土木技術支援】
・県及び市町村の公共工事の積算及び現場技術業務
【建設材料試験】
・県及び市町村の公共工事における設計・積算業務、工事監理・検査業務、耐震診断業務

 gennpatu 913.jpgいずれの業務も、受託にあたって県や自治体と契約書を交わしており、その金額や業務内容は情報公開請求によって確認することができる。
 第一の問題は、それらの業務を民間企業に再委託したおりの契約内容が明かされないことだ。
 右の文書は、かつて同センターへの情報公開請求で入手した民間企業への再委託契約書だが、肝心の契約名や契約の相手先は黒塗り。これでは、もとになる自治体からの契約金額と照合することができない。どの程度の「ピンはね」があったのか分からないようにしているのである。

 自治体側からの業務委託と民間企業への再委託との契約金額の差は、結果的に余分な公費支出ではないのか。契約ごとの差額を明らかにしない以上、全体の数字で推し量るしかない。
 
 県の経営評価委員会による外郭団体の経営評価結果や、同センターが公表した財務資料から、同センターの年間事業収入と、そこから民間企業への再委託費などの事業支出を差し引いた額(利益)の推移は次のようになっていた。

平成18年度・・・約10億4,244万円 →約1億4,698万円
平成19年度・・・約10億2,715万円 →約1,700万円
平成20年度・・・約13億3,134万円 →約1億1,130万円
平成21年度・・・約16億4,647万円 →約2億3,191万円
平成22年度・・・約14億3,211万円 →約2億円
 
 この結果、平成22年度末の時点で、現金預金が約5億1,817万円、資産合計は約16億円にまで膨れ上がっている。
 
 ちなみに、平成22年度に行なった県の経営評価委員会による経営評価では、外部専門家の意見として次のような指摘を受けていたが、改善はされていない。
《公益法人制度改革の対応にかかわらず、収益事業比率が86%で当期経常増減額(経常収入から経常費用を差し引いた額)が3億円を超えていること、収入の大部分が県や市町村からの委託料であること、職員の大部分が県等からの派遣職員であること、収入の大部分を占める土木技術支援事業費と建築技術支援事業費のうち60%以上が人材派遣会社等への負担金や再委託の委託料となっていることなどから、県は、財団の事業のあり方や県としての委託のあり方について早急な検討が求められる》。

「福岡市緑のまちづくり協会」
 福岡市の外郭団体に「福岡市緑のまちづくり協会」という公益財団法人がある。この天下り団体は、市から年間20億円前後の公園管理などの業務を受託しており、建設技術情報センター同様、民間企業への再委託を行なっている。

 市から支払われる委託費のうち、2割近くを協会の人件費などに充てている(これが妥当かどうかは議論のあるところだが・・・)というが、受託した業務については、それぞれの契約ごとに「精算報告書」が提出されている。
 記載は詳細にわたり、何にどれだけの費用がかかったかが明記されている。

 市側はこの報告書で委託業務が適正に行なわれたかどうかを判断することが可能で、情報公開請求に対しても、市、協会ともに積極的だった。

県はノーチェック
 gennpatu 912.jpg県の外郭団体に対する姿勢はどうか。昨年末、同様の文書が存在するかどうか確認するため、県に開示請求してみたが、センターに業務を委託した各部からの回答はすべて同じだった(右の文書参照)。 
 「請求にかかる公文書は取得していない」というもので、要するに県は建設技術情報センターの業務内容を細かくチェックしていないということになる。
 
 建設技術情報センターについては、以前から「民間企業への再委託金額に疑問がある」との指摘が絶えない。

 一昨年、同センターに対し、民間企業への再委託契約について情報公開請求を行なったが、前述のとおりの状況で、再委託の際の契約内容を明かそうとしない。

 新たに「精算報告」など、同センターの民間企業への再委託実態を示す文書の存在を確かめてみたが、これもないという。

 県職員を大量に派遣して天下り団体を温存する行政のあり方には、改めてメスを入れる必要がありそうだ。
 福岡県議会の仕事に期待したい。

 



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