15日午後、九州自動車道を走る高速バスの後部行き先表示に「SOS 110番へ」の文言(写真)。車中でバスジャックなどの異変が起きたことを知らせるものである。
通報を受けた警察車両が追走し、高速道路上でバスを止めるまでの一部始終をHUNTERがカメラに収めていた。
現場近くのPA(パーキングエリア)から緊張の面持ちで事態を見守る人たちの姿も見られたが、幸い事件ではなく、バスの表示ミスだったという。
人騒がせなSOSだったが、偶然現場付近を通行していた記者にとっては、息をのむ数分間となった。
「SOS 110番へ」
記者が、後部行き先表示に異変を知らせる「SOS 110番へ」の表示を出した高速バスを確認したのは15日の午後5時15分ころ。鹿児島から福岡へ向かう九州自動車道上り線の吉松PAから約5キロほど手前の地点だった。
「すわバスジャックか」と、110通報しようとしたところ、記者の車に並走していた乗用車の運転者が「分かっています」と手振りで知らせる。
この時には既に鹿児島県警の捜査車両が追尾していたらしく、記者の車のバックミラーにはパトカー警光灯の点滅も見えはじめた。
吉松PAに車を入れ、後続のバスや警察車両の様子を見守ろうとした矢先、パトカーが高速バスの前方に出て、同PAの手前200メートル付近の高速道路上に問題のバスを停車させた(写真)。
警察官が高速バスに入って数分。ほどなくパトカーが現場を離れると、高速バスも走り出したのだが、掲示板に「SOS 110番へ」の文字は消えていた。
バスは、鹿児島市の鹿児島本港を午後3時45分に出発し熊本交通センター(熊本市)に向かっていた九州産交の車両。
運行する九州産交バスに取材したところ、なぜSOSの表示が出てしまったのか分からないが、運転手の操作ミスではなく、機械の故障である可能性が高いと見て調べているという。。
バス会社側は「お騒がせして申し訳ありません」と恐縮するが、こうした事態は警察関係者に聞いても珍しいことだという。
事件でなかったことは幸いだったが、警察がPAではなく高速道路上で高速バスを止めたことには違和感を感じてしまった。
高速道路上でバスのような大型車両を止めることは、事故を招く可能性が高い。緊急とはいえ、停車場所が吉松PAまで200メートル足らずのところだったことを考えると、PAに誘導して停車させるという選択もあったのではないだろうか。