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存在意義なくした民主党

2012年1月16日 10:10

 13日、野田改造内閣が発足した。首相就任からわずか4か月で閣僚の顔ぶれを替える事態に、民主党政権の末期を感じ取る人も多いだろう。
 
 事実、民主党は政権奪取の実現と共に息切れし、権力維持のためにそれまでの主張をことごとく反故にしており、もはや政党としての体を成していない。
 
 「税金の無駄遣いを減らす」という"一丁目一番地"の課題を放り出し、やらないと言っていたはずの増税に党の存亡をかけるというのでは、民主党に存在意義はない。

 国民の批判をかわすため、国会議員の定数削減や議員歳費の引き下げに言及しはじめたが、問題の本質は別のところにあるのではないだろうか。
 
国会議員の交通費に年間12億円
 様々な特権を与えられている国会議員だが、その内のひとつにJRの無料パスと航空クーポンの利用がある。
 現在の制度は、議員の裁量で次の中から選択するシステムとなっている。

・JR無料パス
・往復航空クーポン月4回分(東京-選挙区)
・JR無料パス+往復航空クーポン月3回分(同)
 
 JR無料パスについては、東京と選挙区との往復に限らず、全国での使用が可能で、グリーン車にも乗り放題だ。
 
 もちろん、国会議員だから"ただ"というわけではなく、 JRと航空会社には国がきちんと料金を払っている。衆、参それぞれの平成21年度と22年度の年間支払額は次のとおりだ。
【衆議院】
・平成21年度  JRパス・航空クーポン合計=約7億9,200万円
・平成22年度  JRパス・航空クーポン合計=約8億1,700万円

【参議院】
・平成21年度  JRパス・航空クーポン合計=約3億8,620万円
・平成22年度  JRパス・航空クーポン合計=約4億4,814万円

 衆・参合わせて年間約12億円の税金が、国会議員の移動のために費消されているのである。ついでながら、21年の交通費総額約11億7,820円から翌年は約12億6,514万円と1億円近くも増えていた。
 
 国会議員には、このほか50万円ずつ2回で計100万円もの「文書通信交通滞在費」が毎月支給されており、二重取りと言ってもおかしくない。

節税への配慮もなく
 権力の座につくと、細かな税金の使途などどうでもよくなるものらしく、民主党議員からこうした国費の使い方について異を唱える声など聞いたことがない。

 きょう、都内のホテルでは民主党の定期大会が開かれるが、なぜこうした日程を組んだのかも疑問だ。
 
 通常国会の召集は今月24日。わずかに民主党の部門会議など散発的なスケジュールが確認されるものの、16日以後は在京の必要がない議員ばかりで、定期大会に参加した後、選挙区に戻る議員が少なくないのだという。
 
 「社会保障と税の一体改革」をめぐる国会審議の行方次第では「3月解散」も予想され、逆風下の同党議員にとっては地元の一票をつなぎとめることの方が重要なのである。

 問題は、この日のためだけに数百人の国会議員を上京させるという無神経さである。
 前述したように16日以降、24日までは国会の日程は組まれていない。せめて国会召集に合わせて定期大会の日を動かせば、余計な交通費の支出は減らせるはずだ。
 税金の無駄遣いを減らすと公言してきた政党なら、それくらいの配慮を見せてもらいたいものだった。細かなことを是正するだけでも億単位のカネを捻出することが可能なのだ。
 
 民主党に求められていたのは、そうした仕事ではなかったのか?

国政の無駄とは?
 衆議院の定数は480、参議院は242である。合わせて700人を越える国会議員には、年間約2,100万円あまりの歳費に加え、前述の文書通信交通滞在費やJRの無料パス・航空クーポンが支給される。
 さらに、3人の公設秘書(政策・第1・第2)の給料や、議員会館、議員宿舎の維持費も税金によってまかなわれているほか、各会派には議員1人あたり月額65万円の「立法事務費」も支払われている。

 国会議員の数を減らし、議員歳費を減額すればたしかに"無駄な"支出は減る。「身を切る努力」をしたということになるのは確かだろうが、それでこの国の政治が良くなるとは思えない。

 国会議員が真に国民の負託に応えるだけの仕事を行なっていれば、人数が多いだの歳費が高いだのといった批判は起きなかったはずだ。
 政治への怒りは、信頼や尊敬を失うような政治家の体たらくが招いたもので、いわば自業自得の結果である。
 無駄を削るという当たり前のことと引き換えに「増税」というのは、国民にとってずいぶんと割に合わない話だ。

 議員立法も満足にできない議員たちに、なぜ立法事務費を払わなければならないのか。公約は守らず、政争と選挙目当ての活動に終始する政治家に、なぜ高い給料や経費を支払い続けなければいけないのか。
 問いに答えるはずの民主党は、この2年間で見事に期待を裏切った。その結果が現在の日本なのである。
 
民主の象徴-野田佳彦
 「どじょう」を自認する割に野田佳彦という政治家の言葉は歯切れがよく、澱みなくきれいな言葉が口をついて出る。ただし、心を揺さぶるような迫力も真実味もない。
  
 昨年の野田内閣スタート時、「適材・適所」と胸を張った首相が、4か月後には「最善かつ最強の布陣」を敷くために内閣を改造したと強弁する。
 これまでの内閣が「最善かつ最強の布陣」ではなかったことを認めた形で、適材・適所でさえなかったことは、失言(暴言?)で沖縄との信頼関係を損ねた一川前防衛相や、マルチ商法業者からの献金を受けていた山岡前消費者担当相が問責決議を受けたことでも明らか。退任した蓮舫氏も、この間なにをやっていたのかまるで分からない。
 
 そうした失政に対する反省の弁は一切なく、増税だけに前のめりとなる政治家の何を信じろというのだろう。

 民主党の若手政治家の特徴は、押しなべて口はうまいが実行がまったく伴わないというところにある。「不誠実」ということだが、政権奪取以降党全体でそれを実践してみせたのだから始末に終えない。
 ある意味、野田首相は民主党の本質をもっとも体現した政治家なのかもしれない。

 この程度の人が宰相の座に就いた時点で、民主党は終わっていたということなのだ。

求められる新たな政治
 断言しておくが、国会議員の定数や歳費を削っても、この国の政治が良くなることはない。
 選挙に強いだけの同じ顔ぶれが国政を握っている間は何も変わらないし、政治が信頼を取り戻すことはできないだろう。
 
 財政、社会保障制度、エネルギー政策・・・。山積する課題に対し、国民の反対を押し切ってでも国家100年の大計を打ち立てることができるのは、「信頼」を得ることのできる政治家だけだ。

 そうした人材を持ちえていない今の日本の政治システムは、どこかが狂っているということになる。

 求められているのは、「減らすこと」だけではなく、新たなリーダーを発掘することではないだろうか。
 
 


 

 



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