政治・行政の調査報道サイト|HUNTER(ハンター)

政治行政社会論運営団体
社会

古賀誠氏の自民支部 疑惑のチケット購入
総選挙前に100万円 規正法の抜け道利用か

2012年1月 4日 09:25

 古賀誠元自民党幹事長が代表を務める自民党選挙区支部が、地元県議が開いた会合のチケットを大量に購入する形で政治資金を提供、事実上の寄附を行なっていた疑いが浮上した。
 
 問題のチケット購入は平成21年と平成22年の1月。このうち解散総選挙に向けて臨戦態勢にあった21年には、例年にない金額のチケット購入を行なっており、買収と言われてもおかしくない実態だ。
 
 県議側の会合は、政治資金パーティーではなく単なる事業のひとつとして処理されているため、古賀氏側からの収入については政治資金規正法が義務付けた収支報告書への記載も行なわれていない。
 
 古賀氏側には昨年3月から取材を申し入れているが、現在まで回答は一切ない。

会合参加に100万円
 問題のチケット購入を行なっていたのは、古賀誠・元自民党幹事長が支部長を務める「自由民主党福岡県第七選挙区支部」(以下、「七区支部」)。
 同支部が福岡県選挙管理委員会に提出した政治資金収支報告書によれば、古賀氏側は平成21年1月30日、「自由民主党大牟田市・三池郡第二支部」(支部長:田中秀子前県議会議長)主催の『新春のつどい』にチケット代として100万円分を支出。政治活動費の中の"その他の経費"に「つどいの参加券」代として計上していた。

政治活動費の内訳

 一方、田中県議の大牟田市・三池郡第二支部は、『新春のつどい』を政治資金パーティーではなく「その他の事業」として処理。収支報告書には総額238万5,000円の収入があったことだけを記載していた。

 古賀氏側は、平成22年1月にも田中県議側が開催した『新春のつどい』で、チケット購入を行なっているが、この時の金額は50万円。平成19年、20年の『新春のつどい』では購入さえしていない。

 政治資金規正法は、政治献金については5万円以上の寄付者、政治資金パーティーについては20万円以上のパーティー券購入者の公表を義務付けているが、「その他の事業」については収入の公表基準などを定めていない。

矛盾
 古賀氏側、田中県議側ともにこの抜け道を巧妙に利用した形だが、不自然さまでは隠せない。
 前述のとおり、平成21年・同22年の古賀氏側のチケット購入額はそれぞれ100万円、50万であるのに対し、県議側の恒例行事である『新春のつどい』のチケットは、1枚3,000円。いずれの年も余りが出る計算となり、その分は間違いなく「寄附」だったことになる。
 さらに、県議側の会合への参加者は、毎年ほぼ同じ程度の人数だったとされ、古賀氏側が支払った金額に見合う参加者を認めることができない状況にある。
 
 100万円で購入できる3,000円のチケットは333枚、50万円なら166枚となるが、田中県議側の『新春のつどい』における毎年の収入と開催経費は次のとおりだ。
【20年】収入:270万2,000円 飲食費などの経費:269万232円
【21年】収入:238万5,000円 飲食費などの経費:246万6,790円
【22年】収入:219万円    飲食費などの経費:236万3,370円

  田中県議の事務所や周辺への取材によれば、『新春のつどい』は毎年の恒例行事で、会費制の新年会という位置づけ。参加人数に多少の差こそあれ、変動は少ないという。
 その証拠に収入額と飲食費は比例しており、収入の少ない年は経費支出も減っている。参加者数に合わせて料理などを増減させていたことが分かる。

 当然、古賀氏側が100万円で333人分のチケットを購入した平成21年は、例年よりかなり多い人数分の料理を準備しなければならなかったはずだが、経費支出にはそうした形跡がない。166人分が増えたはずの翌22年も同様だ。
 つまり、古賀氏側はチケットを購入した形で田中県議側に支出を行なったものの、購入額に見合う人数が『新春のつどい』に参加したという証明ができないのである。

取材拒否
 田中県議の事務所は取材に対し、平成21年に初めて古賀氏側に『新春のつどい』のチケットを買ってもらったことや、チケットが1枚3,000円であることを認めた上で、「(古賀氏側に)うちの厳しい財政事情を心配していただいたものだと思う」と話している。
 また、チケット代金と古賀氏側の支出に平成21年で1,000円、22年で2,000円の余剰金が発生することについては明白な回答をしていない。

 古賀誠元幹事長の事務所側は、最初の電話取材に対して「購入チケットは50枚。チケット1枚2万円。チケットは、後援会の中の党員に秘書が配布した」と明言したが、その後、詳しいことは会計責任者不在(退職)のため、支部の代表である古賀誠代議士本人に聞けという。

 古賀氏側が購入したチケットを無料で配布していれば、別の買収事件に発展する可能性もある。
 
 このため昨年3月に、「自由民主党福岡県第七選挙区支部」の支部長である古賀誠衆議院議員に、質問書を送付。その後、大牟田市の古賀事務所を訪ね回答を依頼した。
 質問は、ごく簡単な内容で《貴支部は、平成21年1月30日に、"チケット購入"を支出の目的として、「自由民主党福岡県大牟田市・三池郡第二支部」(支部長:田中秀子)に対し、1,000,000円を支払っておられます。これについて、チケット1枚の金額と、購入したチケットの配布先についてご回答下さい》というもの(このほか、別件についての質問が1項目)。

 その後の取材でチケットが1枚3,000円だったことや、余剰金が生じることなどが判明したが、古賀氏側からの返事はないままとなっている。事実上の取材拒否である。

事実上の寄附なら「買収」の疑いも
 田中県議サイドの『新春のつどい』をめぐっては、古賀氏側に購入されたとされるチケットの行方が不明なままだ。田中県議の事務所もその点は確認できないとしているうえ、肝心の古賀事務所側の話が不透明。小額とはいえ余剰金の扱いも杜撰だ。 
 
 平成21年といえば、総選挙を前に古賀氏が選挙区内の自民各支部に数千万円単位でカネを落とした時期。問題の100万円が例年にないチケット購入だったことなどを考え合わせると、政治資金規正法の抜け道を使った「寄附」だった可能性が否定できない。
 選挙支援を前提とするものなら、「買収」の疑いが生じるのは言うまでもない。
 



【関連記事】
ワンショット
 ガラスの向こうに積み上げられた洋書。オシャレな入り口の奥...
過去のワンショットはこちら▼
記事へのご意見はこちら
調査報道サイト ハンター
ページの一番上に戻る▲