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鹿児島県の闇

県営住宅建設問題で事実上の「捏造」

2011年12月27日 09:35

 今月13日、鹿児島県議会で不採択となった県営住宅増設反対の陳情にからみ、県が議会に対し判断材料として示した関係住民の声を集計した数字が、杜撰な集計方法に基づいた根拠に乏しいものだったことが明らかとなった。
 
 関係者からは「捏造」との批判も出ており、鹿児島県のお役所体質に改めて疑問符が付いた形だ。

ガーデンヒルズ松陽台 
 鹿児島県は、鹿児島市松陽台地区にある分譲住宅地「ガーデンヒルズ松陽台」に県営住宅の大幅増設を進めているが、分譲開始時の計画と大幅に食い違う事業方針に地元住民らが反発。戸建住宅に住む大半が県営住宅増設反対の声を上げていた。
 
 問題の陳情は、今年6月に松陽台町の町内会が県議会に提出していたもので、これまでの経過を詳細に記した後、県側の唐突な計画変更や説明不足、不誠実な対応を列挙し、計画の撤回を求めていた。
 この際、松陽台町129世帯中111世帯が陳情書に賛同する旨を署名しており、戸建住宅の住民のほとんどが計画に反対であることは周知の事実となっていた。

県側報告では反対少数?
 陳情書は、先月29日から開催された県議会定例会で採択・不採択について審査に付されたが、所管の企画建設委員会で県側が松陽台の事情について報告したのが住民らの県営住宅建設に対する意思を表す数字。
 県は、松陽台地区計312戸のうち、「賛成、理解、特に意見なし」が256戸と報告したが、住民の8割以上が建設計画に賛同しているかのような結果である。逆に全面反対は19戸、計画に意見ありとするものが37戸としていた。
 松陽台町が提出した建設反対陳情に添付された署名世帯の数「111」とはかけ離れた住民の意思である。

事実上の捏造 
 事業を所管する県建築課住宅政策室に確認したところ、県議会で報告したのは戸建住宅だけを対象とした調査結果ではなく、松陽台地域にある市営住宅や県営住宅の住民の数を加えているという。
 さらに、市営住宅の数字は戸別訪問して聞き取った数字だが、県営住宅については役員会での話をまとめただけであることを認めた。
 前述したように、陳情書に賛同し、建設計画に反対している松陽台町の住民は129世帯中111世帯、つまり9割近くを占めている。
 県が議会で報告したのは、建設計画に反対するはずのない人たちの数字を入れ、分母を大幅にふくらませたあげく、都合のいい解釈で反対住民の声をもねじ曲げたものだったのである。
 県が陳情書を葬り去るために使った数字は、単に杜撰な集計に基づいたというだけでなく、あたかも反対住民が少ないかのように見せかけた幼稚なトリックだったということになる。

新たな反対署名も
 賃貸物件である市営住宅や県営住宅の住民は、もともと県営住宅の増設に反対しているわけではない。
 松陽台町の自治会が問題にしているのは、ガーデンヒルズ松陽台の分譲開始時、「戸建住宅」を整備するとしていた場所に「県営住宅」390戸を建設するという計画変更にともなう県側の唐突かつ住民無視の強権的姿勢だ。
 戸建住宅120戸以上が集まる松陽台町としては、積み上げてきたまちづくりの方向性が一変するのであるから、「はい、そうですか」と簡単に容認できるものではない。
 その証拠に、陳情書の不採択が決まった後、松陽台町は新たに建設反対の署名を集めたが、6月時を上回る112世帯の賛同を得ている。

鹿児島県の闇 
 県関係者からは、次のような厳しい批判が出ている。「数字の捏造ではないのか。建設反対派はごく少数という構図を県議会の場で残したかったのだろう。間違った数字、実態を表していない虚構を示され、陳情を『不採択』とし、これを放置すると言うのなら、県議会の存在意義はなくなる。改めて審査するなり、陳情書提出者に何らかの救済をすべきだ。それにしても鹿児島県はいつからこんなに程度の低い役所になってしまったのだろう」。

 松陽台の県営住宅建設問題に関しては、今年9月にHUNTERが鹿児島県に対し「鹿児島市松陽台町に移転・建設を予定している県営住宅に関するすべての文書」を情報公開請求。これに対し県は、同時に提出した薩摩川内市の産業廃棄物処理場に関する請求も含め、開示決定期限を遅らせた上、「開示、不開示のいずれの判断もしない」としていったんは情報公開を拒否していた。

 隠蔽、情報公開拒否、今度は数字の捏造・・・。鹿児島県の闇はどこまで深いのだろう。



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