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民主党・原子力村議員の活動実態

2011年12月 7日 09:15

 電力各社の労働組合が加盟する「電力総連」は、2人の参院議員を国会に送り出している。
 
 まず、東京電力労組出身で、2回にわたって国会質疑の内容や政治資金の流れを報じてきた小林正夫議員。そして関西電力労組出身の藤原正司議員である。ともに当選2回の中堅議員だが、政治活動の大半は電力労組のために費やされてきたようだ。
 
 2人の議員の動きをそれぞれのホームページや参院の議事録などから確認したが、電力労組の世話と原発推進に全力を上げる姿が浮き彫りとなった。


電力労組の対応に追われる日々
 小林議員のホームページには、「活動日誌」が掲載されている。東日本大震災が発生した今年3月を境に事態が一変するのは当然だが、今年1月から2月にかけては、労組の出先と見紛うばかりの状況だった。

【1月】
5日 電力総連2011年新春賀詞交歓会
6日 関東電力総連平成23年新春賀詞交歓会
7日 J-POWERグループユニオン 平成23年新春賀詞交歓会
13日 平成23年東京都電力総連賀詞交歓会
14日 関電工労働組合 都内4支部「国会見学」来訪。平成23年銀座東電新年会。東京電力労働組合松本総支部来訪
20日 平成23年原電総連賀詞交歓会
21日 全国電力総連業種別連絡会「ポール・送配電線部門」来訪。東京電力労働組合送変電建設センター支部「国会見学」来訪。
27日 中部電力労働組合政治連盟静岡県本部「国会見学」来訪。 全国電力総連 派遣役員会議

【2月】
1日 中部電力総連
3日 中部電力労働組合政治連盟 静岡県本部「国会見学」来訪。全国電力総連業種別連絡会「発電・燃料部門」来訪
4日 四国電力総連 徳島県連絡会「国会見学」来訪。中部電力労働組合長野県本部青年部「国会見学」来訪
8日 東電労組東京総支部 友好議員懇話会
10日 北陸電力労働組合政治連盟 富山県連絡会「国会見学」来訪。九電ユニオン 青年リーダー研修会「国会見学」来訪
16日 電力総連 中央委員会
17日 北陸電力労働組合政治連盟 福井県連絡会「国会見学」来訪
18日 東京電力労働組合 栃木南支部「国会見学」来訪。東京電力労働組合 松本総支部「国会見学」来訪
25日 北陸電力労働組合政治連盟 富山県連絡会「国会見学」来訪

【3月】
3日 環境・エネ政策研究会「国政報告」(注:『環境・エネ政策研究会』は小林議員の支援組織)

 この月11日に東日本大震災が発生。それにともない東京電力福島第一原子力発電所で事故が起きる。小林議員の「活動日誌」から労組関係の記述は消えるが、夏ごろから電力総連向けの活動が、11月には電力労組の国会見学も再開されている。

【7月】
13日 関東電力総連大会

【9月】
26日  愛知県電力総連国政報告会
28日 関東電力総連・東電労組国政報告会

【10月】
26日 東電労組議員団会議総会
27日 北海道総連女性委員会国会見学

【11月】
2日 中部電労愛知県本部国会来訪
11日 Jパワーグループユニオン国会見学
18日 Jパワーグループユニオン中央委員会
22日 九州電気保安協会労組国会見学
24日 北陸電力労働組合魚津分会国会見学

 政権交代後の国会質疑で、原発や核燃料サイクル推進という、原子力村の声を代弁した小林議員だが、「活動日誌」を見る限り、その日常活動は電力労組のためだけにあったとしか思えない。

 一方、もう1人の原子力村代表・藤原正司議員の活動も似たりよったりだ。ホームページ上にある同議員の「国会訪問アルバム」は、すべて国会見学などに訪れた全国の電力労組メンバーとの記念写真。やはり電力労組への対応が日常活動の主軸となっていた。

 小林議員同様、国会では原発推進の姿勢を鮮明にしてきた藤原議員だが、次のような発言も行なっていた。
 
 《ただ、私は、この再生可能エネルギーというのは非常にきれいなエネルギーである。全部、ほとんど太陽から来るエネルギーですから、きれい。CO2はない。しかし、これを電気に変換したとき、これほど始末の悪いエネルギーもない。
 例えば、太陽光は夜は仕事しない。雲間に隠れたらけぽんとへっこむ。これは、風力だって太陽光ほど大きな変化はないけれども、天気図に従って仕 事、最近全国回りますと、風力発電機がぴたっと止まっているのをよう見ますね。回っているより止まっている方をよく見るような気がします。ああいう状況が 発生する。
 そういう中で、買取り制度を入れますと、買取り制度は価格と期間だけを決めるものですから、基本的に、ある意味では糸の切れたたこなんです。どのぐらい導入されるか分からない。値段と価格の設定いかんによっては糸の切れたたこ状態なんです》。(平成22年3月16日参議院経済産業委員会での質疑より)
 
 福島第一原発の事故以降、代替エネルギーに消極的なこうした考え方が通用しなくなったことは言うまでもない。

 自民党政権時代、「族議員」の存在と弊害を追及した民主党だったが、電力労組出身の同党参院議員らの活動実態は、はるかに矩(のり)を超えている。



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