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電力労組系議員の実態(上)

検証・電力労組の政治資金(3)

2011年12月 1日 08:30

 平成22年3月23日、参院予算委員会で、ある民主党参院議員が質問に立った。当時の首相は鳩山由紀夫氏だが、元首相をはじめ関係閣僚とのこの時の質疑の内容は、いまとなっては滑稽というしかないものだ。

 問題の質疑が行なわれた前年の夏、悲願の政権交代を果した民主党だったが、政府から原発やプルサーマル、核燃料サイクルと高速増殖炉を推進する答弁を引き出した参議院議員の質問は、選挙母体である電力業界の声を代弁したものに過ぎなかった。原子力村の国会議員による、「国策」再確認のための露骨な誘導である。
 
 質問者は、電力総連の組織内候補で、昨年の参院選で2期目の当選を果たした小林正夫参議院議員。電力総連系の政治団体の収支を見れば、小林議員の選挙に関する凄まじいカネのつぎ込み方に驚かされるのだが、まずは問題の国会質疑を紹介しておきたい。労組代表の主張は、電力会社の言い分そのもので、「労使一体」を証明するには格好の材料だからである。

平成22年3月23日 参院予算委員会質疑から
(質問者・小林正夫参議院議員。質問の冒頭部分は省略。議事録のままを記載)

小林議員:そこで、鳩山総理にお聞きをいたしますけれども、CO2を削減するために三月十二日の日に地球温暖化対策基本法の閣議決定がされました。その中で、原子力発電をめぐる論議もあったと、このように聞いております。資源が乏しいというこの日本の状態はどこの政党が政権を取ってもこの環境は変わらないと私は思います。ですから、これからも資源を有効に使って発電をしていく、そのことが大変大事だな、このように思います。
 
 そういう意味で、私は原子力発電は不可欠なもの、これからもきちんと推進をしていかなきゃいけないものだと思います。あわせて、ウランの再利用など考えると、プルサーマル発電をしっかり進めていく、それと核燃料サイクルの構築を行う。最終的には高速増殖炉、これの原子力発電、このことを行って、やはり資源が少ない国である我が国にとって、ウランを再利用していくという、こういうことが私は必要だと思います。もちろん、安全を最優先、このことは言うまでもございません。
 そこで、改めて鳩山政権として、エネルギー政策の原子力政策についてどのようにお考えか、お聞きをします。

鳩山:まさに、電気は私たちの文化的な生活になくてはならないものだと思います。そして、エネルギーに対しては、自給率がまさに4%でしょうか、極めて低い日本として、このエネルギーというものを大切にしなければならないことは言うまでもありません。私は、その中で、いわゆる気候変動の問題、地球温暖化に資するという意味においても原子力発電、原子力政策というものは不可欠だと、そのように思っております。
 
 言うまでもありません、安全性というものが最も求められていると。私は、新潟の地震のときに、その翌日柏崎にお邪魔をさせていただいて、若干一部で火事があったわけではありますけれども、本体というものが保たれていたということは、大変ある意味で優れた日本の技術力をそこでかいま見たと、そのようにさえ思っております。そのことを考えれば私は、原子力、これは世界に向けてももっとエネルギー外交をしていかなきゃならぬとは思っておりますが、原子力というものは、日本にとっても安全性というものを確認していく中で不可欠なものだと、そのように思います。
 
 核燃料サイクルのことのお尋ねがございました。プルサーマルは、ある意味で当然だとは思っておりますが、かつて「もんじゅ」で事故がございました。これは必ずしも本筋ではないところで起きてしまっただけに大変残念だなと、そのようには考えておりますけれども、そういった安全性というものを第一に考えていきながら、私は、原子力政策というものをやはり日本としては不可欠なものだ、そのように認識して展開をさせるべきだと、政府としてそのように考えております。

小林議員:原子力政策について着実に進めていくと、もちろん安全を第一義にしてと、こういうことでございました。そこで、経済産業大臣にお聞きをいたします。
 あしたの24日の日に総合資源エネルギー調査会基本計画委員会が開催され、そこでエネルギー基本計画を提示する、こういう報道が今されております。2030年までのエネルギー政策の指針を定めるエネルギー基本計画の中で、原子力発電についてどのような内容になるのか。報道では、地球温暖化対策基本法の具体化に向けた工程表への反映を目指して、安全の確保を大前提に原子力発電の新増設の着実な推進と稼働率の向上を図ると、このように報道ではされておりますけれども、この辺の取組についてお聞きをいたします。

国務大臣(直嶋正行):今御指摘のように、総合資源エネルギー調査会で我が国のエネルギー基本計画の見直しを行っています。これはエネルギー基本法に基づきまして3年置きに見直すということになっておりまして、今回の見直しでは2030年を視野に入れて、そこまでの日本のエネルギー供給の姿といいますか、これからの方向を示したいというふうに思っております。
 その中で、今御議論ございましたが、やはり安全確保を第一としながらということでございますが、国民の理解と信頼をいただいて原子力発電を推進をしてまいりたいということは、担当大臣として責任を持って取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 また、あわせまして、先ほど来お話ございました核燃料サイクル、それから、実は日本の原発は今物すごく外国の原発に比べまして稼働率が低いんですね。まだ60%台でございまして、やはり将来、環境対策ということを考えますと、この稼働率を上げていくという工夫も併せてしていかなければいけないというふうに思っていまして、それらのことを織り込んでまいりたいというふうに思っております。

小林議員:私は、今、日本の原子力は54基ありますけれども、2030年までの計画ということになれば、少なくとも今の数の3割から4割ぐらい数を増やしていかないと安定した電力供給にどうなのかなと、このように思いますので、できればそういう方向でも十分検討してもらいたいし、今大臣がおっしゃったように稼働率が今65%ぐらいしかない、せっかく造った原子力発電所が稼働率65%程度になっているということですから、これを私はやはり90%ぐらいの稼働率に持っていく、そして原子力発電を有効に使っていくというこういう施策が大事じゃないかと思いますので、是非そういう方向で取組をお願いをしたいと思います

原発めぐる政治環境 
 原発、そして高速増殖炉を含む核燃料サイクル事業の推進を国策として進めてきたのは自民党である。しかし、小林議員と民主党政権の閣僚とのやりとりを改めて確認してみると、原発をめぐる政治環境は何も変わっていなかったことが分かる。
 質問者が、電力各社をはじめとする「財界」と馴れ合ってきた自民党議員から、電力労組を後ろ盾にした民主党議員に代わっただけなのだ。
 
 この質疑から約1年後の今年3月11日、東日本大震災が発生し、それにともない福島第一原発の事故が起きた。原発や核燃料サイクルを取り巻く状況は激しく変化し、紹介した質疑に出てきた政府方針は大転換を迫られている。
 それでも民主党政権は原発再稼動に前向きであり、原発を輸出するという方針についても再考する気配さえない。電力業界による労使一体の政治操作は、今も続いているのである。
 小林議員は現在、厚生労働大臣政務官であるが、次稿で電力総連系政治団体の収支や同議員の活動実態について検証する。
                                                                 つづく



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