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タレント・高島福岡市長の馬脚

2011年12月16日 08:30

 就任から1年。タレントキャスター出身の強みを生かし、巧みな話芸で無難に市政運営を続けているかに見える高島宗一郎福岡市長だが、ここに来て底の浅さが見え始めている。
 
 1年間、さまざまな形で話題を提供した高島市長だが、こども病院人工島移転をはじめ手がけた諸課題の結論は大半がこれまでの市の方針を追認するもの。
 財政再建や公務員改革などの困難な問題では、これといった「情報発信」を行なっていない。
 
 テレビ向けのパフォーマンスは得意だが、洞察力や知識に裏打ちされたような施策は何一つ見当たらないという状況なのだ。

 そんな中、自身の政治資金パーティーをめぐって違法性が指摘される事態を招いたあげく、政治倫理の欠如を露呈してしまった。

問われる市長の政治倫理
 14日、福岡市議会12月定例会の一般質問で、自身の政治資金パーティーに絡む市役所内部での不適切なパーティー券販売の実態を追及された高島市長は、法的に問題ないと開き直り、謝罪すらしなかった。

 本会議後、報道陣の取材に対しては、法的に問題ないことを強調した上で「共産党としては騒いで私のイメージを悪くしようということ」などと述べたとされる。
 あきれた自信家ぶりだが、政治倫理への認識が欠如していることを表明したようなものだ。
 
 違法性が疑われる事態を引き起こしたのは、高島市長自身が代表を務める政治団体であり、事実上パーティー券を売り捌いたのは部下である副市長。にもかかわらず、自らの責任は棚に上げ、質問した市議らを批判する市長の態度は、公人としての資質が乏しいことを物語っている。
 
 「法」と「道義」は別のものであり、一方がシロだからもう片方もシロというわけではない。法的問題は司法が結論付けるものだが、政治家の道義的責任は政治家本人がある・なしを決めるべきだろう。
 高島市長の主張は、『法的に問題がないから道義的責任もなく、謝る必要はない。批判的な質問をした人の方が悪い』というもので、低レベルの政治家がよく使う論法なのだ。
 
 平成9年に起きた自民党パーティー券事件をめぐっては、パー券販売を押し付けられた市幹部が自殺するという悲劇を経験した福岡市。当時の関係者も数多く市役所に残っており、そうした人がキャリヤ官僚出身の山崎副市長が平然とパー券販売の仕切りを行ったことに憤りを覚えるのは当然だろう。
 
 何より、ことの発端は高島市長本人が代表を務める政治団体のカネ集めだったはず。疑いを持たれた時点でことの経緯を釈明するため、得意の「情報発信」を行なうべきだったが、定例会見などでは一切触れていない。
 都合の悪いことは隠すという、これまた政治家としては最低の選択をしており、むしろ倫理観そのものが欠如していると言ってもおかしくはあるまい。

法的問題を判断するのは司法
 法的には問題ないというが、地方公務員法は、《職員は、特定の政党その他の政治的団体又は特定の内閣若しくは地方公共団体の執行機関を支持し、又はこれに反対する目的をもって、あるいは公の選挙又は投票において特定の人又は事件を支持し、又はこれに反対する目的をもって、次に掲げる政治的行為をしてはならない》としたうえで、禁止される地方公務員の政治的行為のひとつとして《寄附金その他の金品の募集に関与すること》を規定している。
 
 さらに、《政治的行為を行うよう職員に求め、職員をそそのかし若しくはあおってはならず》とも定めている。いずれも地方公務員の政治的中立を求めたものだ。 

 また、政治資金規正法は、公務員がその地位を利用して、政治資金パーティーへの寄付や参加を求めたり、第三者が公務員に働きかけたりすることを禁じている。

 HUNTERの取材によれば、山崎副市長は自ら市長の私設秘書にパーティー券を持ってくるよう指示しており、積極的に市長の政治資金パーティーにおけるカネ集め、集客に動いたことが明らかとなっている。市役所職員をその対象にした段階で、違法行為を助長する可能性が生じていたのは事実なのだ。

 法的問題に結論を下すのは司法のやることで、市長や役人の判断でシロ・クロが決まるものではない。自分勝手な解釈をもとに他を批判するのは、間違いであることを指摘しておきたい。

 市長、副市長ともに市議会の答弁では肝心の部分を隠しており、うまく逃げ切ったつもりらしいが、「法的には問題ない」とするのは市長・副市長側の勝手な解釈であって、口裏合わせが綻びを見せれば事態は変わる。
 市職員らからは、新たな証言も寄せられており、改めて市長陣営の「パーティー券事件」を報じる予定だ。

かさむ公費支出
 こども病院や青果市場の人工島移転問題では、市側のこれまでの方向性を否定する結論を出したことは一度もなく、巨大公共事業が減ったという話も聞こえてこない。
 
 それどころか、もっとも心配された人工島事業へのさらなる公金投入も視野に入り始めている。今月になって公表された人工島での体育館建設計画がそれで、新たな人工島事業救済策であることには違いない。市民生活とは縁の少ない巨額な公金投入が進む一方だ。

 市役所内部における支出でもムダが目立つ。就任早々副市長を2名から3名に増員したが、県警OBの副市長は存在感に乏しく、市職員や市OBからは「何をやっているのかまるで見えない」との厳しい批判も。
 給与とボーナスで年間1,800万円以上もらう副市長を増員する必要があったのか疑問で、「2,000万円を超える退職金は辞退すべきだ」との声は、人事を行なった高島市長に向けられたものとも思える。
 
 大衆人気に支えられた市長がやってきたのは、じつは公費支出を増やすことばかりだった。
 
議会軽視
 高島市長は就任後、「こども病院」の人工島移転を決めるなど、難題解決に成功しているように見える。さらに、人工島計画や屋台の見直しといった課題についても果敢に攻め込んでいる形だ。
 
 だが、その手法は「市民参加」「会議の公開」といった一見民主的な形を利用したパフォーマンス型の市民懐柔策に過ぎない。これでは議会の形骸化を招くばかりである。
 高島市長に議会制民主主義についての理解が浅い証拠だが、議会に対して『顔を立てておけば良い』程度の認識しかないとすればとんでもない話だ。

 ある市議会関係者から、的を射た指摘を聞いた。「高島市長は、派手に見える大阪の橋下市長(前府知事)の政治手法と、大衆迎合との違いがわかっていないと思う。 発信力は大事だが、肝心なのはその内容。橋下さんは身体を張った改革を目指しているが、高島市長のやっていることは目立つところばかりに顔を出し、耳障りのいいことをまくし立てるだけ。市政改革や財政再建には見向きもしていないでしょう」。

不可解な政治団体の収支報告
 さて、不適切なカネ集めを行なっていた高島市長の資金管理団体「アジアリーダー都市研究会」(代表・高島宗一郎市長)」は、設立時には「高島宗一郎後援会」という名称だった。
 市長の支援組織には、もうひとつ「とりもどせ元気!!ふくおか 高島宗一郎君を応援する会」と言う政治団体がある。
 両団体が福岡県選挙管理委員会に提出した平成22年の政治資金収支報告書を見ると、不可解な収支の実態が浮かび上がる。
 次稿で、高島市長の政治資金の流れと、市長を取り巻く動きを検証する。
                                    



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