原発再稼動に向けて前向きの姿勢を見せている野田政権だが、現状のままでは到底国民の理解が得られるとは思えない。
東京電力福島第一原子力発電所の事故に関する国への情報公開請求を通じて、一層その思いが強くなった。
じつは、こうした国や電力会社の姿勢は、原発事故発生から8ヶ月以上経った現在も変わっていない。
今年5月に福島第一原発の事故報告について経済産業省原子力安全・保安院保安院側に情報公開請求していた文書が半年もかかってやっと開示された。
情報開示まで半年
HUNTERが保安院に対して求めたのは、3月11日に起きた福島第一原発の事故について、東京電力から保安院側になされた報告や連絡の未公表分(5月3日時点)だったが、開示までの過程はじつに不可解なものとなった。
まず、保安院側は30日とされる当初の開示期限を1ヶ月延長。開示期限が近づいた6月24日、これまで公表されていなかった東電による「10条通報」および「15条通報」に関する膨大な資料をホームページ上で一気に公表する。
これで情報公開請求による閲覧や資料のコピーは必要がなくなったのだが、請求内容の一部について「11月まで延長」と言い出した。保安院側の説明によれば「事業者側の情報が含まれており、事業者との協議に時間が必要」だと言う。
事業者とは東京電力に他ならないが、これだけの事態を招きながら、事業者の都合や保安院の判断で半年も開示を遅らせる必要がある文書があるとは思えない。しかし、保安院が東電との協議に半年もかけるというからには、よほど重要なものと考え待ち続けることになった。
結果、ギリギリまで引っ張ったあげく、出てきたのはわずか5枚の次の文書である。専門家でなければ理解できない部分もあるが、取り立てて新しい内容というわけではなさそうだ(内容については別稿で検証予定)。なぜこの程度の文書の開示に半年もかかったのかさっぱりわからない。
国や電力会社には積極的に情報を開示する姿勢がないということを示しており、これで「原発再稼動」を認めろというのは無理というものだろう。