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玄海町 腐敗の現状

玄海原発関連工事を
  町長・町議の身内業者が施工

2011年11月16日 08:35

 九州電力玄海原子力発電所の立地自治体・佐賀県玄海町(岸本英雄町長)の原発関連公共事業において、町長と町議の関連業者が、それぞれ元請と下請で施工体制を組み、工事に参入していたことがわかった。

 玄海町では政治倫理条例が制定されていないため、同町発注の公共工事を町長と有力町議の関連企業が分け合う状況も続いており、これが原発マネーによる町政腐敗を招いている。

(写真は玄海原子力発電所。手前が1号機、その奥が3号機)

原発関連工事、有力町議の実弟業者が岸本組の下請け
施工体系図 玄海町は、玄海原発の隣接地に体験型の次世代エネルギー啓発施設「次世代エネルギーパーク」の整備を進めてきたが、今年から敷地造成工事の段階に入っていた。

 同工事の入札は今年3月に実施され、岸本町長の実弟が社長を務める地場ゼネコン「岸本組」が3,700万円で落札した。

 15日までのHUNTERの取材によれば、同工事の下請けに入った地場業者「中山土木」の代表者が、町議会原子力対策特別委員会の委員長を務める中山昭和町議の実弟であることが明らかとなった。

 「次世代エネルギーパーク」の総事業費約14億8,000万円(町側説明では減額を予定。現在14億6,000万円程度まで下げたとしている)のうち9億5,000万円は核燃料サイクル補助金に頼る。つまり、原発マネーを原資とする公共事業で、岸本町長と一体の岸本組や有力町議の身内が利益を享受している形だ。
 
 中山土木は毎年、玄海町からの公共工事を元請としても受注している。
 
 政治倫理条例が制定されていないことを盾に、やりたい放題といったところだ。

岸本町長と中山町議
岸本組 岸本町長と中山昭和町議をめぐっては、原発マネーである電源立地地域対策交付金や核燃料サイクル補助金を財源とする同町の目玉事業「薬草園」の建設工事でも、それぞれの身内業者が集中して受注を続けていたことが明らかとなっている。
 ただし、こちらの事業で岸本組と受注を分け合っていたのは、中山町議の次男が経営する「中山組」。
 中山町議は、「中山組」と「中山土木」という2社の建設業者の代表を身内に抱えているということだ。
 
 これまでに岸本組と中山組が受注した「薬草園」関連工事と落札金額は次のとおりである。(数字はすべて税抜き)

【平成20年度】
10月 薬草栽培研究所造成(1工区 ) 「中山組」 →3,250万円
 1月  薬草栽培温室棟建設(建  築)「岸本組」 →1,740万円
 1月  薬草栽培温室棟建設(機械設備)「岸本組」→4,560万円
【平成21年度】
 5月 薬草栽培研究所敷地造成(2工区-3)「中山組」→4,550万円
 6月 薬草栽培研究所敷地造成(2工区-2)「岸本組」→1億1,580万円
 6月 薬草栽培研究所管理棟他建設(建築)「岸本組」→7,950万円 
 6月 薬草栽培温室棟建設(建築)「岸本組」→2,850万円
 6月 薬草栽培温室棟建設(機械設備)「岸本組」→1,140万円
 1月 薬草栽培研究所展望所整備「岸本組」→1,350万円
【平成22年度】
 7月 甘草ハウス及び温室棟建設(建築)「岸本組」→1億6,250万円
 7月 薬用植物栽培研究所舗装工事「岸本組」→1,900万円

 岸本町長の公約でもあった「薬草園」関連工事では、「岸本組」が合計4億9,320万円、中山町議側の「中山組」が計7,800万円の工事を落札していた。
 2社の受注金額合計は5億7,120万円。同事業に費消された原発マネー7億6,000万円の、じつに75%を2社で独占していた勘定だ。
 
 町内を牛耳る政治家ふたりの身内の企業が原発マネーを独占する構図だが、これまで批判を浴びてきた不適切な公共工事の実態は何も変わっておらず、歪んだ町政の刷新は望めそうもない。
(下が玄海町が公表した次世代エネルギーパークの構想図)
玄海町次世代エネルギーパーク

 なお、先月実施された次世代エネルギーパークの建屋建設工事の入札でも「岸本組」が落札。契約金額は約6億1,000万円だった。

 じつは今回取り上げた「次世代エネルギーパーク」の整備計画には、隠された事情がある。



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