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鹿児島・狂った県政(1)

職員動員の証拠を隠蔽

原発の地・薩摩川内産廃処理場めぐる闇

2011年11月10日 09:55

 自治体の健全性をはかるひとつの基準として情報公開への姿勢が挙げられるが、そうした意味において鹿児島県は、九州・沖縄8県のなかで最低と言える。

 HUNTERは9月、鹿児島県に対し、九州電力・川内原子力発電所がある薩摩川内市で建設が進められている産業廃棄物処理場に関連する公文書の情報公開請求を行なった。
 しかし同県側は、とうてい正当とは思えない理由をつけて開示決定を延期。問い合わせ電話にもまともに対応しようとすらしない。

 原発立地自治体特有の隠蔽体質と言えそうだが、請求したモノがモノだっただけに、隠蔽せざるを得ない状況に陥っていると見られる。

九州・沖縄では最低の透明度
 福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄。もともとこの8県の中では、鹿児島県の情報公開に関する姿勢がもっとも消極的だ。

 鹿児島県を除く7県のすべてが、請求から開示決定まで15日であるのに対し、同県のそれは30日。

 開示決定までの期間を、14日もしくは15日と条例で定めている都道府県が多いなか(例:政令市である福岡市は土・日・祭日を除いて7日、北九州市が15日、山口県は10日となっている)鹿児島県の「30日」は珍しいケースで、はなから県庁内部の情報を積極的に公開するという姿勢を欠いているのである。

原発に加え産廃処理場
 開発許可標識川内原発がある薩摩川内市では、鹿児島県が設立した第3セクター「財団法人 鹿児島県環境整備公社」が市内に管理型最終処分場の建設を進めている。

 事実上、産廃の許認可権者である鹿児島県が産廃処理場を作っているに等しく、権力を笠に着て地元住民らの声を無視した強引な手法がまかり通る状況だ。

 「原発」に加え「産廃処理場」までとなれば、薩摩川内市には迷惑施設が2つも揃うことになるが、地元選出の自民党県議らは諸手をあげて賛成している。

 背景にあるのは鹿児島県にある政・官・業癒着の構造。川内原発3号機の増設を推進してきた経緯と同じように、地元住民などの反対意見を平然と圧殺する。

県庁職員を大量動員し住民弾圧
 県庁職員を大量動員し住民弾圧先月4日早朝、問題の処分場建設予定地に取材に入った記者が見たのは、異様としか言いようのない光景だった。

 処分場計画への説明を求める数十人の住民らに対し、大型の重機を守るように県職員らが登場。「鹿児島県」の腕章を巻いた県職員らの数は、たちまち100人以上に膨れ上がった。

 隊列を作って住民らを包囲した後、じりじりと住民らを圧迫。重機の進行入り口を作るために県職員らがやったことは数の暴力だった。

 断っておくが、地元住民の大半は50代から70代といった年長の人たち、しかも女性が多い構成なのだ。

動員の証拠を隠蔽
 県職員の数からして、鹿児島県環境整備公社や出先機関だけの動員ではない。明らかに鹿児島市の県庁本庁舎の職員を使っているはずだが、こうした状況は9月中旬から続いていたという。
 
 gennpatu 607.jpgHUNTERが、事実確認のため9月25日付けで鹿児島県に請求したのは、処分場工事の警備・支援のため県職員を派遣するにあたっての庁内における動員要請や命令の文書。つまり動員の証拠だ。

 10月4日には、薩摩川内市での取材を終えたあと県庁まで出向き、処分場建設を担当する"廃棄物リサイクル課"に対して請求内容について詳しく説明までしている。

 この折、同課の担当職員が、当該文書が存在するかどうか調べてみなければ分からないというので、存在するかどうかについては、30日とされる開示決定までの期限にこだわらず早めに教えてもらいたいとお願いし、職員は「分かりました」と返答している。
 しかし、この日以降、回答を約束したはずの職員から連絡はなく、記者が同課に何回連絡を頼んでも梨のつぶて。

 そうこうするうちに期限の30日が経ってしまったのだが、送られてきたのは「開示決定等期間延長通知書」で、期限をさらに30日延長するという。

 延長理由は、HUNTERが別途請求した薩摩川内市の処分場に派遣された職員らの出勤簿などのデータを処理するのに時間がかかり、これと一括処理する必要があるためとする身勝手なものだ。
 
 鹿児島県庁しかし、開示請求の時点で、こうした事態を回避するためにそれぞれの請求内容を別のものとして分けて出しており、10月4日の時点でこちらの意向を説明し、確認もしている。
 請求内容は明らかに別のものであり、県側が勝手に一括処理を決めるべきものではないのだ。

 抗議のため担当職員に連絡を取ろうとするが、今度も徹底して電話に出ない。課長をはじめほかの職員に説明を求めるが、たった一人の"担当職員"にしか分からないとして、対応しようとさえしない。

 数日後、やむなく名乗らずに電話したところ、いつもいないはずの担当職員と電話がつながった。
 ところが、抗議内容については「上司に報告する」と言うばかり。該当文書が存在するかどうかの簡単な質問に対しても「開示決定時に明らかにする」と言って回答を拒否する始末だ。

 県職員のこの頑なな態度は、何らかの理由があって、一定期間当該文書を「隠蔽」する必要があるということではないのか。
 
 たった数枚(あるとすればこの程度のもの)の文書の存在確認を2カ月も引っ張り、隠さなければならないものとは何か。

 考えられるのは、薩摩川内市の産廃処分場建設の裏に県知事や県議らの利害が絡んでおり、知られたくない事実が噴出するのを恐れているという県の実態だ。

 そろそろ、県側が隠蔽した文書の存在についてけりをつけたくなってきた。



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