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副市長がパー券配布

「当然の対応」と明言

福岡市長政治資金パーティー問題で新展開 

2011年11月21日 09:45

 今月開かれた高島宗一郎福岡市長の政治資金パーティーに際し、市長側が市職員にパーティー券を販売していた問題で、福岡市副市長が市長側からまとまった枚数のパーティー券を預かったうえ、市職員らに参加を呼びかけていたことが分かった。
 
 問題の政治資金パーティーは、高島市長の政資資金集めが目的であることは明らか。副市長の行為は、地方公務員の政治的中立を犯す不適切極まりないものだったことになる。

 20日、取材に応えた副市長は、事実関係を認めたうえで「情報提供」だったと強弁。さらに「当然の対応」と開き直り、自殺者まで出した平成9年のパーティー券事件については「過去の話」と切って捨てた。

山崎副市長が市職員に参加呼びかけ
 gennpatu 655.jpg市長の資金管理団体「アジアリーダー都市研究会」(代表・高島宗一郎市長)からパーティー券を預かり、市職員らにパーティーへの参加を呼びかけていたのは、前内閣府参事官の山崎一樹副市長。

 山崎副市長は総務省出身。昨年11月の福岡市長選で初当選した高島市長が行なった初の人事にともない、3月までに内閣府参事官を辞任し、新年度から副市長に就任していた。
 山崎広太郎元市長時代に市財政局長を務めたことがあり、2度目の福岡市役所勤務である。
 3月11日の東日本大震災発生以降、被災地に派遣される消防や自衛隊の調整担当だったというが、こうした重要な任務を放り出し、福岡市の副市長に転身した形となっていた。

 19日までの取材によれば、今月15日に開催された高島市長の政治資金パーティー「政経セミナー"福岡市の新ビジョンを語る"」の準備段階で、市長の私設秘書が山崎副市長にパーティー券を渡し、協力を要請したとされる。
 市長側関係者の証言によれば、山崎副市長が受け取ったパーティー券は30枚程度。パーティー券を持ってくるよう要請したのは副市長本人だったという。

 20日、一連の事実について確認するため、山崎副市長に話を聞いたところ、市長側に案内状(パーティー券)を持参するように要請したことや、市職員にパーティーへの参加をうながしたことを認めている。

 ただ、パーティー券を「案内状」、参加呼びかけを「情報提供」と強弁したうえ、一連の不適切な行為について「当然の判断」と明言。
 さらに平成9年に福岡市役所を舞台に起きた"パーティー券事件"を「過去の話」と片付けた。(注:平成9年、自民党福岡市議団の創立40周年記念パーティーをめぐって市議らが市交通局幹部にパーティー券販売の斡旋を依頼。地下鉄工事を受注した建設会社に割り当てていたことが表面化し、交通事業管理者が自殺する事態を招いた)
 
 保身のため詭弁を弄し、パーティー券販売をめぐって市幹部から自殺者まで出した過去の事件を軽んじるなど、山崎副市長の言い分は幼稚かつ悪質。市幹部としては、最低レベルと言うほかない。

公務員の政治的中立
 地方公務員法は、《職員は、特定の政党その他の政治的団体又は特定の内閣若しくは地方公共団体の執行機関を支持し、又はこれに反対する目的をもつて、あるいは公の選挙又は投票において特定の人又は事件を支持し、又はこれに反対する目的をもつて、次に掲げる政治的行為をしてはならない》としたうえで、禁止される地方公務員の政治的行為のひとつとして《寄附金その他の金品の募集に関与すること》を規定している。
 
 さらに、《何人も前二項に規定する政治的行為を行うよう職員に求め、職員をそそのかし若しくはあおってはならず》とも定めている。

 いずれも地方公務員の政治的中立を求めたものだ。 

 また、政治資金規正法は、公務員がその地位を利用して、政治資金パーティーへの寄付や参加を求めたり、第三者が公務員に働きかけたりすることを禁じている。 参考のため、条文の詳細を記載しておきたい。

《国若しくは地方公共団体の公務員又は特定独立行政法人の職員で次に掲げるものは、その地位を利用して、政治活動に関する寄附を求め、若しくは受け、若しくは自己以外の者がする政治活動に関する寄附に関与し、又は政治資金パーティーに対価を支払って参加することを求め、若しくは政治資金パーティーの対価の支払を受け、若しくは自己以外の者がするこれらの行為に関与してはならない》。
《何人も、前項各号に掲げる国若しくは地方公共団体の公務員又は特定独立行政法人若しくは特定地方独立行政法人の職員に対し、同項の規定により当該公務員又は職員がしてはならない行為をすることを求めてはならない》。

開き直る副市長
 山崎副市長は20日、HUNTERの取材に応えたが、記者とのやり取りは次のようなものだった。

記者:高島市長の政治資金パーティーには参加したか?
副市長:しましたよ。

記者:副市長が市長側から30枚程度のパーティー券を預かったというのは事実か?
副市長:私はそんな枚数は扱っていないけど、事実関係から言えば、市長の私設秘書の方からパンフレットを預かったですね。

記者:副市長の方から持ってくるように要請されたということだが、間違いないか?
副市長:はい。そうですね。

記者:何枚だったか?
副市長:私の方は、10枚から20枚。15枚ぐらいだったですかね。

記者:それをどちらで捌かれたのか。
副市長:私が担当している局の局長さんたちに情報の提供をするという趣旨でお渡しするために私設秘書さんにお願いしたと・・・。私は情報提供しただけですからね。

記者:情報提供か?パーティー券を渡したということではないか?
副市長:そうです。こういう会があるよというのを情報提供するのが主たる趣旨ですからね。

記者:パーティー券を渡されたことは間違いか?
副市長:パーティー券というか案内ですよね。案内。

記者:案内と言われるが、案内文とパーティー券は切り取り式で、一体になっている。案内の下にあるのはまさにパーティー券そのものではないか?
副市長:だから、案内状ですよね。

記者:現物がここにあるが、案内状自体がパーティー券そのものではないか。
副市長:いや、だから参加のための・・・あの・・・。

記者:ところで、政治資金規正法22条や地方公務員法の規定はついてはご存知か?
副市長:おっしゃっている意味はわかるが、情報提供することに関して、おっしゃっている条文に抵触するとは考えていませんけどね。

記者:パーティー券を渡された方々は、一般職の公務員ということになるが?
副市長:私は、特別職の職員として、情報提供を行なったと・・・。

記者:案内文とパーティー券が一体である以上、単なる情報提供にはならない。
副市長:そこは解釈の違いだと思います。

記者:不適切な行為だったという思いはないか?
副市長:まったくないですね。むしろ当然の対応をしたと考えてますね。

記者:当然の対応?
副市長:組織のトップである市長の考え方を、幹部職員に関しては知るいい機会であると、いうことでの情報提供です。

記者:しかし、これは政治団体の主催。パー券には政治資金パーティーであることが明記してあるが?
副市長:ええ、それも承知の上で、参加は個々人の自由ですからね。

記者:しかし、参加を勧めること自体、法の趣旨に反するのではないか?
副市長:私は法の対象の人ではないじゃないですか。

記者:パーティーに参加するためには、1万円を支払わなければならないが、それも承知で勧めたということでいいか?
副市長:ちろんそうです。

記者:平成9年に福岡市で起きた「パーティー券事件」のことを知っているか?
副市長:知ってますよ。ただ、私は特段その話にかかわっている立場にはございませんので。

記者:もちろん、副市長が福岡市の局長になられたのは、その後であることはわかっている。
副市長:私が本市に来たのは平成12年ですから。平成9年の事件というのは、私にとっては過去の事件でして。

記者:過去の事件?過去の事件に過ぎないとおっしゃるのか?
副市長:ええ。福岡市にとっては当然事件ではあるわけですけど、私にとっては承知してる事件ではございませんので、ええ。

記者:平成9年のパーティー券事件のことも承知していたが、自分にとっては過去の話と言うのか。
副市長:そうです。はい。

記者:今回の問題については、何ら問題はないと・・・。
副市長:その件と今回の件とは、まったく性格が違うものだと理解してます。

記者:最後にもう一度確認するが、パーティー券を持ってくるように要請したのは副市長で、局長クラスを含めて市の職員に案内をされたということでいいか。
副市長:パーティー券と書かれると困るんですよね。何度も言いますけれども。

記者:いや、まぎれもなくパーティー券だ。
副市長:政治資金パーティーの案内ですよね。

記者:パー券は案内と一体だ。
副市長:ですから、案内を差し上げてどう判断されるかは個々人のご判断になりますよ。おわかりになります?

記者:わからない。あなたの話は無責任と言うしかないが。
副市長:まあ、私からのご説明はそういうことですよ、と・・・。情報提供を行ったということは、正確に私の言葉で書いていただきたいんですけど。

記者:もちろん、そのとおりに書きますよ。おっしゃったとおりに書きます。ありがとうございました。

通らぬ強弁
 山崎副市長は、市長側からパーティー券を預かり、市職員らに渡したことを認めておきながら、一連の行為を「情報提供」であるから問題ないと繰り返し強調している。

 副市長を支えているのは、副市長自身が『特別職』で、地方公務員法や政治資金規正法が言うところの公務員とは『一般職』のことを指ているからに他ならない。
 
 だが、「情報提供論」は詭弁に過ぎず、特別職セーフとする言い分は責任逃れの強弁でしかない。

 やり取りのなかで確認しているように、高島市長の政治資金パーティに参加するためには、市職員側が1万円の会費を払わなければならず、市長側に政治資金を提供することになる。
 つまり、パーティーに参加した職員は、「政治的中立」という公務員としての立場を逸脱していると見られてもおかしくないのだ。
 山崎副市長の言動が発端となって市幹部職員が他の職員に参加を呼びかけでもしたら、それは即、違法行為ということになる。
 現に、局長クラス以外の市職員から、「参加要請があったが断った」とする証言もあり、副市長の呼びかけが市内部で拡がっていた可能性は否定できない状況なのだ。
 違法行為をそそのかした場合、地方公務員法の、《何人も前二項に規定する政治的行為を行うよう職員に求め、職員をそそのかし若しくはあおってはならず》に抵触することになる。

 また、《何人も、前項各号に掲げる国若しくは地方公共団体の公務員又は特定独立行政法人若しくは特定地方独立行政法人の職員に対し、同項の規定により当該公務員又は職員がしてはならない行為をすることを求めてはならない》とする政治資金規正法の規定上の疑義も生じる。  

 『特別職』だからという理由で、副市長が市長の政治活動を支援するよう市職員を扇動することが許されるなら、公務員の政治的中立は保てなくなる。

 山崎副市長は「組織のトップである市長の考え方を、幹部職員に関しては知るいい機会である」と言うが、1万円支払わなければ市長の考え方を聞くことができないとしたら、市長と職員の信頼関係など築けるわけがない。

 山崎副市長の行為には、市内外から厳しい批判が上がり始めている。
 



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