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「不正の温床」

福岡市規定違反契約、3年間で約8億円

2011年11月 8日 09:15

 福岡市はこれまで、市が行なう公共工事の「基本設計業務」の業者選定を、市の条例や規則に定められた財政局契約課ではなく、直接事業を所管する部署(以下、原課)に行なわせてきた。
 しかし先月、HUNTERの取材で、その根拠とされた「基本設計は原課」とする市内部の取り決めが事務規則などに規定されていないことが判明。
 福岡市が市内東区の人工島(アイランドシティ)に建設を予定する「福岡市新青果市場」の基本設計入札(今年8月に実施)はもちろん、昭和60年から続けられてきた同様の事務処理は、すべてが規定違反だったことになる。
 市全体で、規定違反に基づく契約がどの程度横行していたのか。改めて福岡市に情報公開請求した結果、平成20年度から同22年度までの3年間で、規定違反の入札に基づき結ばれた契約は、市全体で133件、契約金額にして約8億円にのぼることが分かった。(写真は福岡市役所)

公表されない入札結果―3年間で約8億円分
 福岡市への情報公開請求で入手したのは、「基本設計の業者選定は原課」とする市内部の勝手な思い込みに基づく事務処理によって結ばれた契約に関する入札結果や契約書などの3年間分(平成20年度~22年度)。
各局ごとの3年間の契約件数と契約金額は次のとおりだ。  
gennpatu 614.jpg【道路下水道局】
49件 457,029,321円
【財政局】
2件 13,646,850円
【こども未来局】
2件 2,011,800円
【経済振興局】
4件 6,306,216円
【環境局】 
2件 6,069,000円
【農林水産局】
44件 145,640,229円
【住宅都市局】
22件 129,481,281円
【港湾局】
8件 35,342,580円

 規定違反の事務処理に基づく契約は、3年間で計133件、契約金額の合計は7億9,552万7,277円となるが、これらの入札結果を市のホームページなどから検索することはできない。

 市が入札結果を公表しているのは、財政局契約課が実施した入札分だけで、原課が取り仕切った基本設計の入札結果は、新青果市場のケースも含めて市民のチェックができない仕組みになっているのだ。

 規定違反に基づく契約は、確認できただけで年間2億円から3億円程度だったことになるが、こうした状況が長年続いていたことになる。

多くが「指名競争入札」と「随契」
 gennpatu 610.jpg133件の契約のうち、29件が随意契約だったほか、多くが「指名競争入札」によるものだった。

 なかには住宅都市局が委託した「博多口駅前広場(地下部)車路等工事基本設計業務」のように入札予定価格が約5,800万円におよぶものもあった(契約金額は約5,000万円)が、この入札も指名競争入札である。

 公共工事の入札については、一般競争入札が一定の基準を満たした業者のすべてに入札参加を認めるのに対し、指名競争入札は役所側が入札に参加する業者を指名し、その中から落札者を決める。役所側が業者選定の権限を握ることから、運用が恣意的なものになりがちで、官製談合や癒着の温床になる可能性が高い。 
 平成18年、談合事件が相次いだことを受けた政府は、『公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針』の改正を閣議決定。国土交通省は、入札の透明性を高めるため、一般競争入札の拡大や総合評価方式の導入を促進してきた。

 福岡市の場合、財政局契約課を通さない規定違反の業者選定では、原課が所管する事業ごとに専門性を有する企業を熟知しているため、指名競争入札や随意契約が繰り返されているものと見られる。
 
不正の温床
 こうした実態から懸念されるのは、原課職員と業者による癒着や談合といった不正を招きかねないことだ。
 
 事業を担当する原課の職員は、日常的に業者と向き合う機会が多い。つまりは互いに便宜供与を行ない得る立場にあるということで、こうした環境が基本設計の業者選定で入札価格を漏らすなどの違法行為を招来する危険性は高くなってしまう。

 さらに、基本設計はその後に続く「実施設計」に直結しているほか、建設業者の選定にも大きな意味を持ってくる。事実福岡市では、設計を委託された業者と、施工する側の建設業者にからむ黒い噂が以前から絶えない。
 
 不正防止の観点からも、10万円以上の設計業務の入札を財政局契約課で行なうように規定しているはずで、安易に例外を認めることは公共工事の適正化を形骸化させることにつながってしまう。

 規定違反の契約事務がまかり通ってきたことについて、市側による事実関係についての説明や謝罪は一切ない。
 「規定がなければ新たに作ればいい」という程度の姿勢だが、それで済む話ではないはずだ。



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