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福岡市、入札事務を恣意的運用

「基本設計は原課」の規定なし

2011年10月 4日 00:17

 福岡市が、長年にわたり市民を欺いていたことが明らかになった。
 
 市はこれまで、公共工事の「基本設計」に関する入札事務を、事業を担当する部署(以下、原課)が行なうことを認めてきた。
 しかし、予定価格が10万円以上の設計業務に関する入札事務は財政局契約課が所掌すると定めた市の規則に対し、基本設計の入札事務を原課が行なうとする例外規定を明文化していないことが分かった。

 市は、規則に違反する形で恣意的な行政事務を繰り返していたことになる。

 HUNTERの取材に対する市契約課の説明では、少なくとも昭和60年から内部の取り決めという形でこうした運用を続けてきたとしており、約26年間、不適切な状態を放置していたものと見られる。

 基本設計の入札事務を原課が行なってもいいとする市内部の取り決めを行なった時の文書は契約課に存在しておらず、行政事務の取り扱い根拠が見つけ出せない状態だ。

 市契約課は3日、現状が不適切であることを認めている。

例外規定、明文化されず 
 契約課福岡市は、昭和33年に「事務分掌条例」を、平成13年に「福岡市契約及び検査に係る事務分掌の特例に関する規則」を制定。契約事務を財政局契約課が所掌するとしたうえで、予定金額が250万円を超える工事や10万円を超える設計業務に限って同課が事務を行なうことなどを規定していた。
 
 しかし、一連の条例や規則には、基本設計の入札事務や契約を原課で行なうとする規定は明記されておらず、市内部の取り決めとして「基本設計の入札は原課」とする方針がひとり歩きしていた。取り決め自体は昭和60年に行なわれたという。

 今年8月に実施された「新青果市場」の基本設計業者を選定する一般競争入札は、原課である農林水産局新市場担当が全てを担当したが、契約金額は5,000万円を超えるものだった。

 同入札が原課によって行なわれた根拠について調べるなか、例外規定を明文化することなく、市側が恣意的に基本設計の入札を行なってきたことが判明した。

 市民オンブズマン福岡の児嶋研二代表幹事は、「誰もが、工事は250万円以上、設計なら10万円以上の入札のすべてが契約課を通すものだと思っているのではないか。例外があるという説明は聞いたことがない。市の規則には、基本設計の入札を原課でやることを認めた条文などはなく、明らかに不適切。市は長い間、市民を欺いてきたことになる」と話している。




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