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山口県知事側に建設会社代表らが献金

問われる政治倫理

2011年9月29日 08:30

 原発に揺れる上関町を抱える山口県の二井関成知事の資金管理団体が、県発注の公共工事を受注する企業の代表者らから、個人献金の形で政治資金提供を受けていたことがわかった。
 山口県知事選が行なわれた平成20年だけで、10社の会長や社長から受けた献金額は65万円。
 いずれも個人からの寄附であるため、政治資金規正法が禁止する企業献金とは見なされないが、県と利害関係を有する企業のトップから政治資金の提供を受けたことに変わりはなく、知事の政治倫理が問われる事態だ。

10社の代表らから65万円
 二井関成知事の資金管理団体「関友会」(代表:二井関成)が山口県選挙管理委員会に提出した平成20年分の政治資金収支報告書によれば、同会は山口県から公共工事を受注している建設会社の会長または社長らから個人献金を受けていた。10社の代表者らから集めた金額は合計65万円となる。
 内訳は次のとおりだ。(注・日付は寄附受入れ日を示す。すべて平成20年のもの)
・3月21日 A建設(長門市)会長から30,000円
・3月25日 A建設工業(山口市)会長から30,000円
・3月26日 N電気工事(萩市)社長から50,000円
・3月31日 H建設(萩市)社長から10,000円
・3月31日 T組(下関市)社長から50,000円
・4月7日  I 工業(山口市)社長(当時)から30,000円
・7月6日  O組(長門市)社長から100,000円
・7月7日  K組(長門市)社長から50,000円
・11月6日  K工業(山口市)社長から100,000円 
・11月10日 N建設(山陽小野田市)会長から200,000円


 平成20年は山口県知事選挙が行なわれた年だが、同様の献金は平成19年の収支報告書でも確認されている。

 政治資金規正法が禁じているのは、政党及び政治資金団体以外の政治団体への寄附であるため、「関友会」への献金がただちに同法に抵触するものではない。
 しかし、確認された10社は山口県発注の公共工事を受注しており、代表者らからの個人献金受け入れに道義的な問題が生じることは否定できない。

原発立地県に共通するもの
 原発立地県に共通しているのは、知事や県議の政治資金に関する認識の甘さである。
 
 とくに佐賀・古川康、鹿児島・伊藤祐一郎の両県知事は、県との間に利害関係を有する企業や団体の代表、役員などからの献金が問題視されても反省するそぶりさえ見せようとしない。
 
 ふたりとも、もらったカネが企業や団体からのものではなく個人献金だから問題はないと主張するが、これは政治資金規正法や公職選挙法の立法趣旨を無視する身勝手な主張でしかない。業者からのカネをもらっていることに変わりはないのだ。
 
 政治家にとって法令遵守は当たり前で、求められるのは高い倫理性のはずだが、カネに無頓着なのは佐賀・鹿児島の政治家だけではなかったようだ。

 中国電力が建設計画を進めてきた山口県上関町の上関原発は、福島第一原発の事故を受けて建設工事が中断したままとなっているが、県は毎年、電源3法交付金を受け入れてきた。
 万が一計画が進めば、これまで以上に巨額な原発マネーがばら撒かれることとなる。
 喜ぶのが建設業者と政治家たちであることは言うまでもない。



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