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高島福岡市政の危うさ

委員選定理由の公文書不存在

2011年8月18日 10:25

 高島宗一郎市長の下で進められてきた、市政の重要課題を民間有識者などで審議する「こども病院移転計画調査委員会」(委員長:北川正恭早稲田大学大学院教授)と「アイランドシティ・未来フォーラム」(委員長:出口敦東京大学大学院教授)の委員選定の過程は不透明なものだった。
 いずれも、公募した市民以外の委員についての選定理由が残されておらず、なぜ委員に就任させたのか、公文書上での説明ができない状態となっている。
 見えてくるのは「高島流」の危うさである。

不透明な委員選定理由
 HUNTERが福岡市に対し情報公開請求したのは、「こども病院移転計画調査委員会」や「アイランドシティ・未来フォーラム」の委員選定の理由および就任までの過程がわかる文書。
 16日までに開示された公文書のなかには、委員会、フォーラムともに委員選定の理由が記された文書はなく、委員の氏名がプリントされた決済文書が残されているだけだった。不透明というほかない。

こども病院調査委 委員長は市長指名起案の趣旨など
 「こども病院移転計画調査委員会」は、市政の重要課題となっていた福岡市立こども病院の移転問題について、市側が選んだ有識者や公募した市民らで、同病院の人工島移転を決定したプロセスの合理性、妥当性について検証を行なうため今年1月に設置された。
 7回の議論を経て出された報告書は、現地建替え費用を1.5倍とするに至った経緯などに妥当性を欠いていたとしながら、全体としてはおおむね合理性・妥当性はあったとする意見が多数。移転地についても、結果として「人工島」を容認する形となっていた。
 前述のとおり、北側委員長以下の委員選定理由については、文書が残されておらず、不透明感は拭えない。
 「こども病院移転計画調査委員会」の関連文書については、委員会の終了とともに担当した職員が各職場に散らばっており、秘書課が文書を保管しているという。
 同課の職員に、委員長は「誰が、どのような理由で推薦したのか」確認したところ、「市長との話のなかで出てきた」との言葉が飛び出した。
 《委員長人事は市長によるものか?》、何度も確認したが、職員は押し黙ったまま。事実上、高島市長が委員長を指名したことを認めた形だ。

 「アイランドシティ・未来フォーラム」設置方針について見えない港湾局
 「アイランドシティ・未来フォーラム」は今年7月、『アイランドシティにおける事業の意義や効果、事業推進方策について、行政のみならず、多くの方々と共に考える機運を醸成し、アイランドシティ整備事業に対する市民や企業等の理解、共感を得るとともに、アイランドシティにおける市民の豊かな暮らしを支えるみなとづくりやまちづくりを着実に推進するため、これまでの枠組みに捉われることなく、まちづくりを先導するプロジェクトなどの新たな取り組みについて、様々な立場の方から広く意見をいただくこと』(「アイランドシティ・未来フォーラム設置要綱」より)を目的として設置されたが、同委員会の委員選定理由も定かではない。
 同フォーラムについては、総務企画局が担当しているが、委員選定理由について「口頭で説明できる」とは言うものの、文書上は何も残されていないのだ。
 人選についての過程を確認したが、市港湾局と相談しながら委員を決めたとしながら、残された決済文書には港湾局と「合議」した証拠は残されておらず、総務企画局内の職員だけで決済されている(文書参照)。

「高島流」の危うさ
 高島宗一郎福岡市長が就任して8か月。この間、市政の懸案となっていたこども病院問題に方向性を打ち出し、同病院の人工島移転は計画通り進むことが決まった。
 人工島に関するフォーラムでの議論は始まったばかりで、議論の行方を見守るしかないが、どちらの委員会にも不透明感が付きまとう。

 それぞれの委員会を構成する委員は市側が選んだものだが、なぜ選ばれたのかについての詳しい説明が欠けているためだ。

 市長会見などで人選理由に触れた場面もあったようだが、多くの市民が納得する詳細な説明はなかった。
 行政が行なった事業については、後々説明がつくよう、文書の形で残すべきで、この点については「こども病院」の現地建替え費用を1.5倍にした根拠となるメモを廃棄し、社会問題化したことでも分かっていたはずだ。

 重ねて述べるが、市政の重要課題について議論し、結果が市長の判断に大きな影響を及ぼす委員会である以上、委員の人選についてはきちんと説明責任を果たせるよう、文書の形で残すべきだ。
 なぜなら、担当職員が異動になったとして説明を逃れるのは役所の常套手段で、市側の「口頭」による説明ほど当てにならないものはないからだ。

 高島市長の議会軽視の姿勢にも疑問が生じている。
 市議会議員は、日常活動を通じて市民に接しているうえ、自らの公約や政治信条を、選挙を通じて公にしている。
 対して、市側が選んだ委員会の委員は、それぞれ立派な方々ではあるが、議員に比べて市民になじみが少ない人が多く、どのような姿勢で市政の課題に向き合うのかさえ分からない。
 市側が一方的に選んだ委員に、事実上市政の重要課題についての方向性を打ち出させることが、果たして幅広い議論と言えるのか疑問だ。

 委員会方式で市政の課題を片付けていく手法は、一見民主的なようでじつは議会制民主主義を否定することにもつながりかねない。
 高島市長が議会におもねる必要などないが、2元代表制や議会の意義について、さらに理解を深めるべきだろう。

 専門家に市民を加えた委員会を設置し、公開の場で意見を交わすことが「分かりやすい」との評価を得ている「高島流」だが、一方で、市側の恣意的な委員選定により結論を誘導する危うさが見えてきた。



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