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鹿児島県知事 杜撰な政治資金管理
選挙運動収支報告に大量の間違い

2011年8月11日 12:50

 伊藤祐一郎鹿児島県知事の、杜撰な政治資金管理の実態が明らかとなった。
 伊藤知事陣営が、平成20年に行なわれた鹿児島県知事選挙に際して県選挙管理委員会に提出した「選挙運動費用収支報告書」に記載された政治団体からの寄附の大半が、実際には知事の政治団体への寄附で、選挙に対する寄附ではなかったことが判明。確認できただけで11団体分、450万円の寄附の記載が間違っていた。
 「法的」にも、「道義的」にも問題が生じた形だ。

選挙運動費用収支報告書1

選挙運動費用収支報告書2

選挙運動費用収支報告書3

選挙運動費用収支報告書411団体、450万円は資金管理団体への寄附
 伊藤知事の「選挙運動費用収支報告書」には、11の政治団体から次のとおり寄附があったと記載されている。【注:( )内は政治団体の届け出先】
6月12日 1,000,000円 鹿児島県医師連盟(県選管)
6月24日 1,000,000円 鹿児島県中小企業団体政治協会
               (県選管)
6月25日  200,000円 鹿児島県商連政治連盟(県選管)
6月25日  100,000円 日本商工連盟(総務省)
6月27日  500,000円 泰進会(埼玉県選管)
6月30日   50,000円 鹿児島県印刷工業政治連盟
               (県選管)
7月 1日  300,000円 鹿児島県商工政治連盟(県選管)
7月 1日   50,000円 ティグレフォーラム(総務省)
7月 3日  100,000円 鹿児島県酪農政治連盟(県選管)
7月 3日  200,000円 鹿児島県商連政治連盟鹿屋支部
               (県選管)
7月 4日 1,000,000円 全国澱粉流通対策政治連盟
               (総務省)

 しかし、各団体が届け出先選管に提出した政治資金収支報告書や団体への直接取材によれば、寄附の相手先は伊藤知事の資金管理団体「いとう祐一郎後援会 祐祥会」(以下、祐祥会)となっていた。
 取材に応じた各団体の経理責任者などによれば、祐祥会発行による領収書もあるとしている。11件・450万円の寄附は、選挙に対する寄附ではなかったことだ。
 伊藤知事側は、"法律に従って"、祐祥会の政治資金収支報告書に11件の寄附を記載すべきで、選挙運動費用収支報告書に記載したのは明らかな間違いである。

 現時点では、伊藤知事の「選挙運動費用収支報告書」および祐祥会の政治資金収支報告書は正確さを欠いており、公職選挙法や政治資金規正法に抵触している状態。いずれも訂正が必要となる。

疑惑の100万円寄附も同選挙で
 伊藤知事に関しては、間違いが見つかった「選挙運動費用収支報告書」が作成された平成20年の知事選で、鹿児島県からの計24億円あまりの補助金や、約20億円の貸付によって建設が実現した粒子線がんの治療施設(鹿児島県指宿市)を運営する「財団法人メディポリス医学研究財団」の理事長から、選挙資金として100万円の寄附を受けていたことが発覚。会見で釈明する事態となっていた。

強弁通じぬ杜撰な資金管理 
 知事は会見で、、100万円の寄附に疑惑が持たれていることについて、総務省官僚時代に選挙担当として公職選挙法などの改正にたずさわったとしたうえで『法律的に問題が全くない。従って道義的な問題も全くない』と強弁していた。
 
 今回、知事自身の「選挙運動費用収支報告書」や資金管理団体の政治資金収支報告に間違いがあったことは、陣営の政治資金管理が杜撰極まりないものだったことを示しているばかりか、法律的な問題が生じたということになる。
 知事の論法では、道義的責任も生じたことになる。

 伊藤知事の後援会事務局長は11日、HUNTERの取材に対し「詳細について調べて、善処する方向」としており、報告書を訂正する方針であることを認めている。

 鹿児島県選挙管理委員会も同日午後、HUNTERの指摘を確認、知事側の選挙の出納責任者および祐祥会の会計責任者に訂正を指導するとしている。 



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