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佐賀県知事、「説明番組」制作に関与か

出演者情報、九電に漏らした狙いは?

2011年8月 7日 07:45

 九州電力「やらせメール」事件の引き金となった、経済産業省の原発説明番組「放送フォーラムin佐賀県『しっかり聞きたい、玄海原発』」の制作過程に、古川康佐賀県知事の意向が強く反映し、出演者の人選にも影響を与えていた可能性が出てきた。
 経産省側も知らなかった番組出演者の名前を、事前に九電側に漏らしていた疑いも浮上。番組の公平性は、「やらせメール」以前に、著しく損なわれていたと見られる。



暴露された知事発言メモ
 朝日新聞系列の週刊誌「アエラ」は、古川康佐賀県知事が、退任挨拶に訪れた九州電力の段上守副社長(当時)ら幹部3人に話した内容を記したメモの詳細を報じているが、同日午後、九州電力側もメモの内容が事実であることを認めている。
 メモの内容については、朝日新聞やその他のメディアも概要を報じているが、問題は、古川知事が21日の段階で話したとされる次の部分である。

《国主催の県民向け説明会は、ケーブルテレビやインターネットで中継し、県民代表5人程度が質問する形で開催する予定である。県民5人の構成をどうするかだが、1人は商工会議所の島内専務理事を予定している。反対派も1人入れようと考えたが、反対を標榜する人たちにもいろいろな考えがあり、複数のグループから代表者を1人選抜することが難しいとのことであったため、残りは県民代表として、普通の参加者を選ぶことになるだろう。(中略)県民の不安は原子力発電所そのものではなく、目に見えない放射線への恐怖に対してである。それに応えるべき保安院はまったく信頼を失っている状況。そのような不安に応えるために、長崎大学の放射線医学の専門家に同席してもらうことも考えているが、国主催の説明会なのでむずかしいかもしれない》。

不透明な「県民代表」人選過程
 HUNTERが文部科学省に情報公開請求して、今月4日に入手した文書によると、同番組に出演した県民代表7人の人選過程は極めて不透明であることが判明した。
 番組に関する一連の文書すべてを請求したが、出演者選定に関する分として開示されたのは、FAXやメールをプリントアウトした次の5枚だけ(注:文書をクリックして参照。赤いアンダーラインはHUNTER)。経済産業省は、これ以外の人選に関する「行政文書」は保有していないという。
 つまり、出演者の人選が、実質的な番組の制作現場で進められていたことを示している。


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問題その1― 番組制作に関与の疑い
 九電側が作成したメモの内容が正確なら、知事は、九電幹部らと会談した"21日早朝"の時点で、県民代表の1人が県商工会議所連合会の島内専務理事であることを知っていたことになる。
 一方、人選過程を示す文書で分かるとおり、経済産業省に「県民出演者」の人選リストが送られたのは6月22日(1枚目。赤いアンダーライン参照)。その後、24日の時点で島内商工会議所専務理事が出演者として確定した形となっている(2枚目のメール。同)。
 知事は、主催者であり、番組の制作権者である経済産業省を差し置いて、早い時期に出演者を知っていたことになる。
 さらに、「長崎大学の放射線医学の専門家に同席してもらうことも考えている」という知事の発言は、番組制作を指揮するする立場の人間が発する内容だ。
 知事自身が、県民代表を含む番組出演者の人選、さらには番組制作そのものに関与した可能性が高いことを示しており、そうなると「国主催・制作」という番組の性格は大きく変わることになる。gennpatu 031.jpggennpatu 032.jpg
問題その2― 事前に出演者を漏らした狙い
 原発の安全性が問われる番組であるにもかかわらず、知事が、当事者企業である九電の幹部らに、県民代表の1人として出演する人間の名前を漏らしたことは、決して許されるものではない。
 九電側が、番組制作前に商工会議所の専務理事に接触する機会を与えたに等しいからだ。
 佐賀県の政界関係者によれば、同専務理事は地場銀行のOBで、出身行も専務理事自身も、九電との関係は良好だという。九電側は、「21日」という早い段階で番組出演者のなかに旧知の人物をつかんだ形で、接触して原発擁護につながる発言を依頼することも可能だったということになる。
 知事の行為は、こうした不正を招来する可能性が高いもので、出演予定者の名前を当事者企業に教えた時点で、番組の公平性、透明性をも奪ったことになる。
 原発反対派が出演しないことも教えており、九電が専務理事に何らかの協力を要請するよう、暗黙のうちに仕向けたと見られてもおかしくない事態だ。

 原発説明番組の実質的な制作を行なったのは、佐賀新聞の関連会社「佐賀広告センター」だが、同社は佐賀県の広報関係の仕事を数多く受注している。
  



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