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佐賀知事側会計責任者の会社が県から多額の受注

問われる政治倫理

2011年8月29日 06:45

 古川康佐賀県知事の資金管理団体「康友会」の会計責任者が社長を務める印刷会社が、多額な佐賀県発注の仕事を、毎年受注していたことがわかった。
 確認できた平成19年度から23年度まで、年間3,000万円を超える印刷業務を受注している。
 主な印刷業務として佐賀県が発行する「県民だより」のほか、原発交付金によるプルサーマル啓発事業のパンフレット印刷も受注していた。
 知事側政治団体の会計責任者という立場を考えると、不適切との批判が上がりそうだ。

「県民だより」・「議会だより」で毎年3千万円超
 gennpatu 215.jpg古川知事の資金管理団体「康友会」の会計責任者・武富公二氏が代表取締役社長を務めているのは、佐賀市に本社を置く「誠文堂印刷株式会社」。
 同社は、昭和7年創業、年商9億円前後を維持する佐賀市を代表する印刷会社のひとつだ。
 HUNTERの記者が佐賀県に確認したところ、誠文堂印刷が佐賀県から受注する印刷業務は多岐にわたるというが、代表的な仕事は県内全世帯に配布されている「県民だより」と「議会だより」の印刷である。
 「県民だより」は毎月、「議会だより」は年4回の発行で、およそ307,000部が印刷・発行される。
 ふたつの印刷物の、一部あたりの単価と年間契約額を年度ごとにまとめた。
(注:数字は、一部ごとの単価、税込み年間契約額の概算の順。議会だよりは平成21年度からページ増となっている)。

【平成19年度】gennpatu 193.jpg
「県民だより」→(7.3円)→約2,820万円
「議会だより」→(3.9円)→約500万円
計約3,320万円
【平成20年度】
「県民だより」→(7.9円)→約3,050万円
「議会だより」→(4.2円)→約540万円
計約3,590万円
【平成21年度】 
「県民だより」→(7.6円)→約2,940万円
「議会だより」→(6.4円)→約820万円(この年からページ増)
計約3,760万円
【平成22年度】gennpatu 211.jpg
「県民だより」→(7.0円)→約2,700万円
「議会だより」→(6.4円)→約820万円
計約3,520万円
【平成23年度】 
「県民だより」→(7.3円)→約2,820万円
「議会だより」→(4.8円)→約610万円
計約3,430万円

 誠文堂印刷はこのほか、平成18年、19年と続けて「電源立地地域対策交付金」(つまり原発マネー)によるプルサーマル啓発に関するパンフレット印刷業務(佐賀県発注)を、それぞれ651,000円、5,517,540円で受注していたこともわかっている。

 古川知事の資金管理団体「康友会」の会計責任者、つまり知事側近が経営する会社が、少なくとも年間3,000万円以上の仕事を、毎年県から受注していることになる。

随意契約だった「議会だより」
 gennpatu 166.jpg問題は、「県民だより」の印刷業者選定は一般競争入札によって行なわれており入札結果が公文書の形で残されているが、「議会だより」については昨年度までの入札結果を示す文書が存在しないことだ。

 驚いたことに、「議会だより」の印刷業者選定で、入札を行なうようになったのは今年度からだという。
 佐賀県による説明では、「県民だより」と「議会だより」はセットで配布するため、議会側が「県民だより」の印刷業者に「議会だより」の印刷業務を随意契約の形で発注してきたのだという。
 
 さすがに随意契約ではまずいとの声が上がり、今年度から別々に入札するようになったとしているが、今年度の「議会だより」の印刷費は昨年度より25%ほど低い金額となっている。つまり、それまでは業者側の言い値で印刷費が決められていた可能性が高いということになる。
 
 公費支出のチェックが使命であるはずの県議会が、業者と馴れ合いで印刷費を決めていたと批判されてもおかしくない契約実態だ。

 印刷業者の社長が、知事の資金管理団体の会計責任者であることを考えると、知事側と議会のもたれ合いの構図が浮上する。

不適切、否定するが・・・
 誠文堂印刷の武富公二社長に、古川康知事の資金管理団体「康友会」の会計責任者の立場である以上、武富社長の会社が県発注の仕事を受注することは不適切ではないかとの質問を投げかけたところ、次の回答が返ってきた。
《すべての印刷受注は、公開入札方式の価格競争見積もりであり、佐賀県から何らかの配慮をいただいたことは一切ありません。よって私自身、受注が不適切であるとは思いません》。
 
 「議会だより」の印刷業務受注が、入札によるものではなったことは前述のとおりで、《すべての印刷受注》が入札だったとする竹富社長の言い分が間違いであることは明らかだ。

問われる知事の政治倫理
 こうした事実について、佐賀県政界関係者は次のように話す。「誠文堂の社長が知事の政治団体の会計責任者だったとは知らなかった。県と利害関係がある企業関係者をこうした立場(会計責任者など後援組織の幹部)に就かせるべきではない。取材の内容が事実なら、知事、あるいは県からの便宜供与が疑われてもおかしくない話になる。決して好ましいとは言えない」。

 他県の政治家からも冷やかな声が上がる。「考えられない。知事の後援組織の関係者ともなれば、役所側も気をつかう。会計責任者は知事の金庫番と同じだ。誤解を招かないよう、通常なら所属組織を持たない役所のOBなど、現役を引退した人物を起用する。佐賀県は政治倫理にうといのだろうか?」。

 古川知事、その知事の政治団体の会計責任者、会計責任者の会社と県および県議会・・・。
 外形上の事実だけを拾えば、佐賀県政界は、知事側会計責任者の会社を軸に、公金によって繋がっていることになる。
 知事の政治倫理が問われているのは言うまでもない。



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