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原発「説明番組」の背景(下)

知事側会計責任者は佐賀新聞社長の側近

2011年8月31日 08:00

 古川康佐賀県知事と、原発の「説明番組」を制作した「佐賀広告センター」(本社:佐賀市)に、新たな接点が見つかった。
 
 知事と同センターは、印刷業務等を通じた"客と業者"の関係にあることがわかっていたが、今回浮かび上がってきたのは、同センターの事実上のオーナーである佐賀新聞社の社長と知事を結ぶ人的なつながりである。

 知事と地元メディアの代表格である「佐賀新聞社」は、どのような関係にあるのか。両者を結ぶキーマンは、知事の支援団体「古川康後援会」の会計責任者だった。 

知事と佐賀広告センター
 佐賀県選挙管理委員会から入手した、知事の支援団体「古川康後援会」の政治資金収支報告書によれば、平成19年から同21年にかけて、佐賀広告センターに対する次のような支出の記載が確認されている。

gennpatu 204.jpg平成19年5月 「印刷費」790,999円
  同  5月 「マニフェスト作成料」2,323,600円
平成20年9月 「印刷費」283,500円
平成21年7月 「印刷費」315,000円

 さらに、今年4月の佐賀県知事選挙に際し、古川知事陣営が県選管に提出した「選挙運動費用収支報告書」にも選挙運動費用として同社への支出が記載されている。これも古川知事と佐賀広告センターの関係を示すひとつの事実だ。

スタッフジャンパー 31,867円
ハガキ        168,000円
ハガキシール   357,000円
たすき      36,750円
のぼり旗     84,000円
選挙公報     52,500円
選挙事務所看板 127,314円
選挙カー装飾   279,300円
 
原発説明番組
 gennpatu 202.jpg九州電力の「やらせメール」は、経済産業省主催・制作の原発説明番組「放送フォーラムin佐賀県『しっかり聞きたい、玄海原発』」への対応が発端になったものだが、同番組をめぐってはいまだに大きな疑惑が残されたままだ。
 古川知事の番組制作への関与の有無である。

 古川知事は、同番組の出演者が決定する前の段階、つまり知事公舎で九電幹部らと会談した今年6月21日に、佐賀県商工会議所連合会の島内専務理事や長崎大学の放射線医学専門家の出演に言及していたとされる。
 さらに、HUNTERの取材から、佐賀県が経済産業省側に番組制作会社として「佐賀広告センター」を推薦していたことや、人選について注文を付けていたことがわかっており、同番組自体が佐賀県、もしくは古川知事のコントロール下で制作された可能性が浮上していた。

古川後援会の会計責任者
 古川知事と佐賀広告センターとの関係については、前述のとおり、同社が知事の支援団体の印刷物や、知事選における印刷物等の制作を請け負っていたことがわかっているが、それ以外にも極めて興味深い人的関係が浮かび上がってきた。
 注目すべきは、知事の支援組織「古川康後援会」の会計責任者で保険代理業「有限会社ノック」(本社・佐賀市)の代表者・恒松勇氏の存在だ。

 恒松氏は、九電幹部らからの献金が発覚し佐賀県議会・原子力安全対策等特別委員会の委員長辞任に追い込まれた木原奉文県議(自民・当選5回)を中心とする「奉清会」のメンバーだったが、HUNTERの取材に対する佐賀新聞社側の回答から、同新聞社の中尾清一郎社長も「奉清会」に参加していたことが明らかとなっている。
 
知事側会計責任者は佐賀新聞社長の側近だった
 gennpatu 213.jpgその後のHUNTERの取材で、恒松氏と佐賀新聞社の間に密接な関係があることがわかった。
 佐賀新聞社の関連企業に、新聞折り込みなどを主業務とする「株式会社佐賀新聞サービス」という会社が存在する。「佐賀広告センター」と同じく佐賀新聞社の中尾清一郎社長が代表取締役社長を兼任して会社なのだが、恒松氏は同社の非常勤取締役に就いている。
 さらに、恒松氏の「有限会社ノック」が、保険業務で佐賀新聞社から契約を取り付けていることが判明。これについては、取材に応えた恒松氏自身が認めている。
 
 恒松氏と佐賀新聞社の関係を追うなか、佐賀県政界関係者から次のような話が飛び出した。
 「恒松氏は、佐賀新聞の中尾さんの私設秘書的な存在といっても過言ではない。極めて深い関係だ。古川知事と中尾さんの一番大きな接点は恒松氏ということ」。

 gennpatu 217.jpgのサムネール画像こうした指摘について、恒松氏本人に確認してみたが、同氏は「まあ、光栄な話ですが、たしかに中尾社長とは親しくさせていただいており、佐賀新聞サービスの仕事に対して、アドバイスなどをしております。(社外)取締役への就任は中尾社長から依頼されてのもので、きっかけは佐賀新聞との保険の仕事でした」として関係の深さを否定しようともしなかった。
 古川知事の後援会で会計責任者の重責を担う恒松氏は、佐賀新聞社の社長で、佐賀広告センターのオーナーでもある中尾清一郎氏の側近だったということだ。
 恒松氏と中尾社長が、ともに木原奉文県議の「奉清会」に参加していたのは、偶然ではなかったと思われる。

 原発「説明番組」の背景にあるのは、知事の後援会会計責任者が、番組を制作した「佐賀広告センター」のオーナーである中尾清一郎佐賀新聞社社長の側近だったという事実だ。
 
 古川知事は、番組制作過程への介入を否定しているが、人的な関係を見る限り、早い段階で制作サイドの情報を入手することも、指示を出すことも可能となるルートが存在したことは明らかだ。
 



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