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佐賀・自民支部の杜撰な政治資金処理
   佐賀新聞社からも献金?  
 九電献金の木原県議が代表

2011年8月25日 09:45

 九電幹部らからの献金が発覚し、佐賀県議会・原子力安全対策等特別委員会の委員長辞任に追い込まれた木原奉文県議(自民・当選5回)が代表を務める自民党支部が、杜撰な政治資金処理を行なっていたことが明らかとなった。
 同県議を中心としたグループ「奉清会」の個人的な会費を、まとめて団体からの献金として計上していたもので、実態とは異なる政治資金収支報告書を作成した疑いが濃い。
 献金を行なったとされた複数の企業関係者は24日、献金の事実を否定。報告書に献金をしたとして社名を記載された佐賀新聞社は、HUNTERの取材に対し、「奉清会」側に抗議したとしている。

「奉清会」
 gennpatu 190.jpg木原県議が代表を務める「自由民主党佐賀県佐賀市第三支部」(以下、自民・第3支部)が県選管に提出した政治資金収支報告書によれば、同支部は『法人』からの寄附として平成19年6月11日に70,000円、平成20年2月27日に226,000円を受け入れている。
 寄附を行なったのは「奉清会」となっているが、記載された住所や代表者は、「有限会社佐賀新聞佐賀東販売」(以下、佐賀東販売)のもの。佐賀東販売は、平成20年、21年と10,000円を第3支部に寄附している会社だ。
 報告書上、「奉清会」の代表とされる佐賀東販売の社長に取材したところ、「奉清会」による寄附も、自社の寄附についてもわからないと言う。さらに、「奉清会」は木原県議を中心とした経営者らの勉強会的集まりで、代表者は木原県議自身だと明言した。
 HUNTERの調べでも、同会が法人登記も政治団体の届けもしていないことがわかっている。

説明拒む木原県議側
 自民・第3支部の政治資金収支報告書に「奉清会」の代表として明記された人物が、献金の事実を知らないとした時点で木原県議側に事実関係を確認した。
 木原事務所側は、「奉清会」の実質的代表者が木原県議であることは認めたが、同会は単なる任意団体で、既に解散していると言う。
 任意団体からの寄附を法人からの寄附として処理するのは間違いではないかと尋ねたが、かつて佐賀東販売の社長が務めていた同会の事務局が別の人物に移ったため、そちらに聞いてほしいとして、一方的に取材を打ち切られてしまった。
 解散しているのに事務局があるというのもおかしな話で、現在の事務局はどこにあるのか確認するが、こちらも回答を拒まれた形だ。
 
政治資金処理上の問題
 この時点で、「奉清会」は任意団体で、木原県議を中心とする集まりであることが明白となったが、自民・第3支部の政治資金収支報告書の記載に問題が残ってしまう。
 「奉清会」で集めたカネは、その性格上個人から第3支部への寄附となり、法人からの寄附としてまとめて処理すべきものではない。第3支部の政治資金処理を認めてしまえば、政治資金規正法が収支報告書への記載を義務付けた5万円以上の寄附があっても、実態を隠すことにつながるからだ。
 つまり、木原県議側の政治資金処理は脱法行為ということになる。
 
佐賀新聞社から寄附?
gennpatu 191.jpg 会費を支払ったものと考えていた「奉清会」のメンバーは、自民支部への献金として処理されていたことに戸惑いを隠さない。
 自民・第3支部の政治資金収支報告書には、平成20年、同21年の2年間、「佐賀新聞社」が同支部に1万円を寄附したと記載されていた。
 地元メディアの代表格である新聞社が、自民支部に寄附をするというのは極めて珍しいことで、社としての中立性が疑われてもおかしくない。
 事実関係について佐賀新聞本社に確認したところ、24日午後、佐賀新聞側が文書で回答してきた。
 問題の1万円は、佐賀新聞社としての寄附ではなく、同社の中尾清一郎社長が個人的に参加していた異業種交流会「奉清会」への会費だったとしており、「奉清会」事務局に抗議したことも明記されている。
 前述の佐賀新聞佐賀東販売の代表者のケースも同じだが、企業献金をしたとされた側にとっては、寝耳に水の話だったことがわかる。gennpatu 189.jpg

木原県議に求められる説明責任 
 佐賀新聞社側の言い分が正しければ、木原県議側は、任意団体あるいは勉強会の会費という名目で集めたカネを、勝手に政治資金として計上していたことになる。
 たしかに、自民・第3支部の収支報告書には佐賀新聞社が10,000円を寄附したとされる平成21年6月22日と平成20年6月30日、同社分も含め10,000円の寄附が9件(9社分)記載されていた。同日付けの寄附は、すべて「奉清会」の会費だった可能性が否定できない。
 ただし、そうなると平成20年の「奉清会」から第3支部への226,000円の寄附が、何のカネなのか分からなくなる。
 さらに、平成19年には、「奉清会」からの寄附として70,000円が記載されているが、佐賀新聞社の社長がこの年から10,000円の会費を支払ったとしているにもかかわらず、政治資金収支報告書には佐賀新聞社からも同社社長からの献金もない。会費分を、すべて「奉清会」の寄附としていたということになる。
 杜撰な政治資金処理であることは間違いない状況で、木原県議自らが説明責任を果すべき問題だ。 

「奉清会」から見えてくるものは・・・ 
 自民・第3支部は、政党支部ではあるものの、事実上、木原県議の企業献金の受け皿である。
 九電幹部らからの寄附のケースのように、個人献金を資金管理団体「きはら奉文後援会」で受ける一方、企業・団体献金を自民支部で処理していたものだ。
 従って、自民・第3支部への献金の記載には、企業名と住所および代表者の氏名まで記載されている。
 同支部の収支報告書からは、「奉清会」を通しての木原県議と佐賀新聞の中尾社長との個人的なつながりが証明されたことになるが、ほかにも興味深い人物が登場する・・・。


 



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