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川内原発の「多勢に無勢」 

2011年7月25日 09:50

 少数意見を黙殺する国家に民主主義は育たないものだが、残念ながらこの国の国民は自分に関わりのないことには関心が薄く、得てして少数意見を無視するか無関心を装うことが多い。とくに原発についてそうした状況が続いてきたのは、国全体が、原発マフィア作の「安全神話」に依拠し、万が一、原発事故があっても自分のところは大丈夫だという身勝手な思い込みがあったからではないか。だからこそ「脱原発」は少数意見であり続けてきた。
 しかし、時に天変地異や大きな事件・事故が少数意見の正しさを証明し、状況を一変させてしまうことがある。福島第一原発の事故とあとに続く一連のできごとは、まさにその典型的なケースと言える。
 安全神話の崩壊。放射能の恐怖。伝来の土地を奪われた被災地。放射性セシウムに汚染された牛肉の流通。露呈した国や電力会社の隠蔽体質や「嘘」の数々・・・。少数派と見なされてきた人々の意見が改めて見直される事態だ。直近の世論調査では「脱原発」が約7割。原発をめぐる国民の意識は、3月11日を境にして、たしかに"変わった"のだが・・・。

「多勢」
 鹿児島県薩摩川内市には九州電力川内原子力発電所があるが、同原発の増設をめぐるこれまでの動きは、まさに大多数対少数の戦いだった。「多勢に無勢」というが、まさにそうした状況だったのである。。
 次に列挙したのは、九州電力川内原子力発電所3号機建設の「賛成」に関する陳情書を提出した団体名である。すべての陳情書が平成21年5月22日に提出されており、組織だった動きであったことが分かる。
 中核となっているのは陳情書を提出した「川内原子力発電所3号機建設促進期成会」で、会長を務めているのは同じく陳情書提出団体である「川内商工会議所」の会頭だ。
 建設、観光、飲食などの業界団体、さらには近隣自治体の団体までこの動きに同調していた。20110719_h01-01t.jpg

川内原子力発電所3号機建設促進期成会 
川内商工会議所
薩摩川内市の未来・展望を語る会
薩摩川内市ホテル旅館組合
鹿児島県タクシー協会川内支部支部長手打一也
鹿児島県建設業協会川内支部支部長廣瀬十士
太平橋通り商店街振興組合
川薩電気工事工業協同組合
鹿児島県印刷工業組合川薩支部
薩摩川内建築建友会
鹿児島県料飲業生活衛生同業組合川薩支部
薩摩川内市電設協会
社団法人川内青年会議所
薩摩川内市商工会
Woman 創ing
薩摩川内地区安全運転管理協議会
川内間税会
(社)鹿児島県環境保全協会川薩支部
入来建友会
鹿児島県建設業協会甑島支部
薩摩川内市危険物安全協会
北薩造園業協会
川内造園技術協会
川内川宮里グラウンドゴルフ同好会
食を観る会
川内商工会議所女性会
(社)川薩法人会
(社)川薩法人会女性部会
薩摩川内市特産品協会
川内ガス販売協同組合
(社)鹿児島県産業廃棄物協会薩摩支部
西薩クレーン協会
薩摩川内市管工事業協同組合
薩摩川内観光協会
川内食肉事業協同組合
阿久根市観光協会
阿久根市旅館組合
阿久根建友会
鹿児島県タクシー協会西薩支部
出水電気工事工業協同組合
鹿児島県料飲業生活衛生同業者組合
阿久根市飲食店組合
串木野市電設協会
川薩電気工事工業協同組合
串木野建築協会
串木野緑地建設組合
鹿児島県建設業協会日置支部
いちき串木野市管工事組合
 じつに48団体もの陳情書が一括して県に提出されていたことになる。

「無勢」
 一方、3号機増設に反対する側の陳情書は18件に過ぎないうえ、このうち6件は個人。あとは労組系の団体が目立つ程度で、まさに「少数意見」だったことは歴然。3号機増設に「反対」の陳情を行なっていたのは次の団体である。100418_1345~01.JPG
緑の地球と子どもの明日を守る会
グリーンコープかごしま生活協同組合
原発はいらない!!親子の会
川内原発増設反対鹿児島県共闘会議
川内原発建設反対連絡協議会
熊毛ブロック平和運動センター
蒲生町職員労働組合
北薩ブロック平和運動センター
姶良伊佐ブロック平和運動センター伊佐地区協議会
南薩ブロック平和運動センター
原発の危険に反対する鹿児島県連絡会
さくら花びら異変調査隊
他6名が提出。

 川内3号機の増設に向けて圧倒的な「賛成」意見が占めるなか、昨年6月には立地自治体である薩摩川内市の岩切秀雄市長が、そして11月には伊藤祐一郎鹿児島県知事が増設への「同意」を表明している。多勢が無勢を蹴散らしたかに思えた矢先、福島第一原発の事故は起きた。

川内原発の実情 
 「やらせメール事件」、玄海原発耐震評価数値の入力ミスと、原発事業者である九電の失態が続くなか、川内原発1号機の再稼動と3号機増設というふたつの課題を抱えることとなった薩摩川内市。
 少数意見が多数意見へと変貌したいま、同市をめぐるこれまでの動きも検証する必要がある。
 HUNTERは、今週後半から薩摩川内市を中心に鹿児島県内の取材に入る。



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