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民主・福岡市議に公選法違反の疑い 
田中丈太郎議員が山笠で「寄附」
 開き直って「私はグレー」

2011年7月11日 09:00

 民主党の田中丈太郎福岡市議(「民主・市民クラブ」所属。当選2回。博多区選出)が、博多伝統の祭りである「博多祇園山笠」に関して1万円の寄附を行なっていたことが明らかとなった。
 公職選挙法は《公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者は、当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもってするを問わず、寄附をしてはならない》と規定しており、田中市議の行為に同法違反の疑いが生じている。

田中市議との一問一答
 田中市議は9日、取材に対し違法性を強く否定したが、同市議との主なやり取りは次のとおりだ。

記者:田中市議は、1万円を寄附しているが、参加する「流れ」に対するものだけか?
田中:自分が参加する「流れ」にだけ寄附しました

記者:公職選挙法に違反することになるが。
田中:ほかの人たちもやっているじゃないか。(同じようなケースは)たくさんある。全部調べてから聞いてくればいいじゃないですか。

記者:意味が分からないが?
田中:例えば、会合や集会があれば寄附なのに「会費」と書いてカネを払うしかない。みんなやってるじゃないか。

記者:ほかの議員ではなく、あなたのことを聞いている。さきほどはっきり認められたが、寄附したことに間違いないか?
田中:対価物が出るから問題ない。

記者:どういうことか?
田中:「直会(なおらい)」では食事や酒が出る。「直会(なおらい)」を知ってますか?あなた、山笠に参加したことはあるの?

記者:参加したことはないが、寄附の件とは関係ない。あなたの認識を聞いている。
田中:山笠について町内会や山の人たちに聞いてみればいい。まわりがみんな寄附してるのに、自分だけ寄附しないわけにはいかないだろう!

記者:寄附を認めるということでいいか?
田中:選管(選挙管理委員会)に聞いても「どうですかね」と言うに決まっている。連中だって判断に困るんだから。

記者:選挙区内での寄附が禁止されているということを理解しているのか?
田中:私ははグレーなんだ。グレー。

記者:グレーだと言う認識はあるのか?
田中:私だけが悪いなんて書かんでくれよ。他の連中もみんな調べてからにして下さいね。

ここで一方的に電話を切られてしまった。

通らぬ言い分
 田中市議が言う山笠の「直会(なおらい)」(山を舁いた後、流れの人たちがそれぞれの詰め所に戻り、飲食すること)と「寄附」は、まったく別次元の問題である。 
 「流れ」(山笠の構成単位で、現在は七つの「流れ」がある)ごとの掲示板には、寄付を寄せた個人や企業名とそれぞれの金額が記されており、会費支払い者の掲示板ではない。直会自体が会費制ではないのだ。田中市議の支払った1万円は飲食物への「対価」ではないということになる。
 問われているのは「寄附」だという認識があったかどうかなのだが、田中市議は最初に「寄附」を認めており、開き直って「グレー」と言い出す始末。同市議の強弁は最初に破たんしているのだ。 

同僚議員らの声
 田中市議が他の政治家もみんな同じようなことをやっていると断言したことについては、同僚議員からも批判の声が上がる。
 あるベテランの福岡市議は「どんな証拠があって同僚議員に罪を着せるようなことを言っているのか。みんな気を使いながら、法に抵触しないように政治活動をやっている。公選法を軽く見ている姿勢がそのまま出ただけの話だ。はっきり言って迷惑」。
 別の新人市議は「寄付行為が違法であることは政治家の常識。何に対しても毅然とした態度で臨むべきで、山笠だから許されるというものではない。『ほかのみんなもやっている』という前に、自分のことをしっかりやれと言いたい」。

問われる政治家としての姿勢
 山笠はたしかに博多の誇りである。政治家が参加するケースも少なくないだろう。参加すれば当然、田中市議が言う「直会(なおらい)」で飲食を共にすることになる。伝統行事に「会費」や「寄附」の厳然とした区別を求めるのは野暮かもしれない。しかし、政治家に求められているのは"法を守る姿勢"のはずだ。条例や法律を作る側の政治家が遵法精神を否定したら国の根幹が崩れてしまう。 
 伝統ある祭りである山笠だからこそ、法律遵守の姿勢が求められるのではないだろうか。 「政治家は寄附が禁じられています。それでも参加させてもらってもいいでしょうか」。それが政治家のとるべき態度だろう。
 なにより、山笠の話になる前に、ほかの議員たちのことを引き合いに出し「みんなやってるじゃないか」と言い放った田中市議の姿勢は容認できない。
 地方議員はみんなで違法行為を行なっているというのであれば大問題だ。田中市議が証拠を握った上でそう主張しているのならいいが、取材に応じた議員らは一様に否定している。
 
 選挙や政治資金について所管する総務省のホームページには「祭りへの寄附や差入れ」が禁止事項として明記されているうえ、福岡県選管も選挙区内での「寄附」は違法であると明言している。

民主県連幹事長「まずい」
 民主党福岡県連の吉村敏男幹事長は8日、HUNTERの取材に対し、事実関係を聞いたうえで、「非常にまずい。即刻『寄附』を取り下げるべきだ」とコメントした。



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